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遭遇

 朝さんに下された指示の内容は、鬼を退治するのは私と朝さんだけで、他の人達は入り口から出てきた鬼、もしくは入り口に入ろうとした鬼を残らず殲滅するというモノだった。


「朝様はまだ分かりますが、嬢ちゃんもですか」


 葉桜さんはとても心配そうな眼差しで、私を一瞥した。

 ここまでくると、なんだか私の保護者みたいだ。

 きっと、この劣悪な環境でまともに戦える者が少ないからだろう。

 もしくは、怪我をしても恐ろしいスピードで傷が治っていく私だからこそ選ばれたのか。

 死ににくい体というのは、何とも便利なモノか。


「うん、彼女なら怪我の心配はいらないからね。 こちらとしても、犠牲と負傷はないに越した事はない」


 言って、朝さんはクルリと背中を向ける。


「あまり時間は無いんだ。皆、さっさと行動するよ」


 そうして、彼は皆に言い含めた。

 終始、葉桜さんは何か言いたげだったが、仕方ないと言わんばかりに口をキツく締めて、やむなく行動を開始した。

 彼は私の横を通りすぎる直前、私の肩に手をポンっと置いて、絶対に無理するんじゃないぞ、と耳元に囁いてから後ろの皆に号令をかけた。


「……善処します」


 後ろへ向かう彼に、聞こえるか聞こえないかくらいの小声で、私はそう返事をした。

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