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碧に香る

 援軍は、本当に数分足らずでやってきた。


「よし、では朝様に追いつこう」


 葉桜さんは援軍を仕切っている部隊長と、軽い挨拶をお互いに交わした。

 そしてすぐに、私達は朝さんの所へと移動を開始する。


 走っている最中、引き連れてきた援軍の足音は葉っぱが地面に落ちる音と聞き間違えるくらいに、静かで軽やかなステップを踏んでいた。


 足音で敵に見つかる事はないだろう。


 森の中というモノは、絶えず何らかの音が鳴っている。

 小鳥や木々の葉が擦れ合う音、風が木々の間を縫うように抜けていく音などが常に演奏している。


 それらの音が、彼らの足音を巧みに隠しているのだ。

 しかしこれだけ大勢なのに対し、足音がほとんど聞こえないのは最早、多少の恐怖を抱いてしまう。


 おそらく四十名はいるんじゃないだろうか。


「よし、森を抜けるぞ」


 葉桜さんが誰に言うわけでもなく、そう呟いた。

 そして間もなく、私達は森を抜けて再び洞窟の前に身を晒した。


 すると、そこには一面の赤が広がっていた。

 誰かが乱暴に、赤いペンキの入ったバケツをそこらじゅうにぶちまけたような、乱雑な赤色だ。


 そしてその赤色の端に、鬼が何体も横たわっている。

 まるで集団で雑魚寝をしているかのような。


「一、二、……八体か」


 部隊長が横たわっているモノに、人差し指をてんてんと空中であてがいながら呟く。

 まるでそこにあって当然と言わんばかりに。


 見慣れた光景なのか。


 彼らは大して驚きもせず、真珠のように滑らかな動きで歩を進めていく。


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