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骨花
暗い岩肌を、淡いハチミツ色の光が照らしていく。
「む? 急に広くなったな」
私のすぐ横を歩いていた仲間の一人が、皆に聞こえるように呟いた。
確かに、私達を挟んでいた岩壁はいつのまにか無くなっている。
「何か、へんな臭いがしますね」
ランプを持っていた私は、少しでも先を照らして見ようと、皆より少し前へ足を運んだ。
すると、バキッと何かが靴の裏で容易く折れてしまった。
まるでウエハースを、足で踏んでしまったかのような弱々しい抵抗力だった。
「ひゃっ!?」
情けない声を漏らしてしまった私は、慌てて踏んでしまったモノにランプを近づけて確認する。
照らされたモノは白く、赤い斑模様が着いている。
骨だ。
素人目の私からでは、人のモノかどうかは判別できないが。
でもこれだけは分かる。
この骨は出来て、まだ新しいみたいだ。
「……なるほど、ついさっきまで食事してたか」
不意に、背後から朝さんの声が聞こえる。
彼の声からは、一切の不安や恐怖などは感じない。




