たゆたう
そよ風にたゆたう、爽やかな青リンゴ色の髪。
彼女、ではなく彼は私達を率先して、目的地まで道案内をしてくれている。
場所は山の中、道なき道。
生い茂った草ばかりの道は、私達の足を巧みに翻弄する。
何度も転びそうになる者もいれば、そのまま見事にずっこけて周囲に醜態を晒す者もいる。
当然ながら私も、その中の一人に数えられる。
もう既に三度、派手な転び方を皆に披露してしまった。
だが不幸中の幸いとも言うべきか、皆は仕方ないと言わんばりに笑わないでいてくれる。
「音には気をつけてね、もうそろそろ目的地に着くから」
彼、誘意 朝は進行が遅い私達に、颯爽とそう言う。
ほんの少し、憎しみの種が心で芽生えてしまうが、すぐにソレは枯れる。
彼はこの乱雑に整えられた道なき道で、一瞬たりとも体勢を崩していないのだ。
まるで長年、歩き慣れた通学路の道を歩くように。
しかし当然と言えば当然の事。
彼や夕闇さんは、私達とは住む世界そのものが違う。
幼少の頃から、あらゆる教育を受けてきた彼と夕闇さん。
その教育は凄まじく、文字通り血反吐を吐きながら毎日を過ごしたらしい。
「ここが、今回の目的地なんですか」
ここは、前に私と夕闇さんが訪れた鬼の洞窟?




