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いずれ
お茶の優しい香りが、私の鼻腔をそっと撫でた。
「了解しました、では行って参ります」
飲み干した空の湯のみをテーブルに置いて、今日も私は与えられた仕事を全うする。
それが私の日常の始まり。
「あー、ちょっと待って」
襖に手をかけた所で、夕闇さんに呼び止められた。
「何でしょう?」
私が振り向くと、夕闇さんは隣の襖に手招きをしていた。
隣の部屋に誰かいるようで、今呼んでる最中らしい。
するとゆっくり襖の片側が横にスライドしていく。
「今回はコイツと組んでもらうわ」
襖の向こうに居たのは、一人の少女。
雪のように白い肌と、青リンゴのような爽やかな碧色の髪。
"いずれ"とは、今日の事だったらしい。




