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東雲
「私の事……ですか」
この子の言いたい事は、なんとなく分かる。
いや、正しくは分かってしまう。
日に日に身に沁みていく、この体の驚異。
手に持った武具は、長年使ってきたスプーンや箸のように手に馴染み、無意識にスムーズな動きを実現する。
今まで鎌しか扱えなかった私も、今では剣や槍、弓や銃などといったモノまで、難なく扱える。
既に私は、私自身の事が一番分からない。
見た目も感情も変わらない。
けれど日に日に、何かが私の中で変わりつつある。
「その様子だと、やはり思う所があるんだね」
正直言って、その通りだ。
ここに来てから、私の日常は逆転した。
私自身も含めて。
「貴女は、一体何者なんですか」




