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風見の月
雪のように白い満月。
放つ光は日本刀の刀身のように美しく、私の座っている縁側に、シャワーの如く降り注ぐ。
「おやおや、眠れないのかい?」
清流のような爽やかな声色。
例の碧髪の少女。
「つきまとうなって言いましたよね」
背後から聞こえた声に、私は振り向かずに答える。
「ははは、ごめんごめん、今回はたまたま通りかかっただけだよ」
馴染みの友人と話すような口調。
少女の声からは、いつも感じていた胡散臭さを感じない。
多分、本当なんだろう。
「ちょっと考え事です」
少女は私のすぐ隣に座ってきた。
少女は視線をゆっくり下に流して、目を半ば閉じながら、語るように話してくる。
「僕はねぇ」




