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地獄の妖怪退治の修行

 深夜にもかかわらず、広い屋敷を隅々まで案内されて身も心もクタクタになってしまった。


 明日から妖怪退治の修行が始まるらしいし、今日は早く寝よう。



 案内された私の部屋に入る。



 それにしても不思議な気分だ。この屋敷には今日はじめて来たはずなのに妙に居心地がいい。なんでだろ。

 まぁ考えるだけ無駄か。



 押入れの中の寝具一式を床に敷いて、私はバタンと倒れこむようにダイブする。



 今日はたった数時間のうちにいろんなことがあり過ぎた。突貫にも程がある。


 いや、むしろ本格的なのは明日からか。

 先がおもいやられるなぁ。


 まぁいい、続きは明日にしてもう寝よう。



 私は深い眠りの底に落ちた。



 ☆



 重い瞼がゆっくりと開いてゆく。



「ん......」



 窓ガラスをつらぬく陽光を思わず手で遮る。

 そしてゆっくりと上体を起こして、まだ薄目がちのボヤけた視界で辺りをキョロキョロと見る。


 世界は少しづつ原型をとどめていく。私はただただその景色をボーと見ている。



 あれ、ここどこだっけ。

 ああ、そうだ......私は......。



「おっはよーーー!!!」



 襖がもの凄い勢いで開けられた。

 そして雷鳴のような声が部屋中に響いて私の中のまどろみを完全に消し去った。



 私は朝に弱い。だから起きたばかりでこのテンションは相当キツイ。


 早朝は静寂のままでいるべきだと常々思う。


「おはようございます、夕闇さん」


 誘意(いざない) 夕闇(ゆうやみ)

 それがこの赤い瞳の少女の名前だ。昨日の夜、屋敷を案内してもらっている時に教えてもらった。


 聞いたことが無い苗字だった。


「さあ、朝のトレーニングといこうか!」


 あ〜、そういえば朝からみっちり教えてくれるって昨夜言ってたような。すっかり忘れてたなぁ。



 私はハーイと答えて夕闇さんについて行く。



 案内されたのは広い中庭。下は玉砂利。中央に松の木が何本か植えられていて、野球やサッカーができそうなほどの広さだ。



「じゃあまずは腕立て伏せ三千回と腹筋三千回、それとスクワット三百回ね」



 .....ん? あれ、ゼロが二個多かったような。


 聞き間違いだな。絶対聞き間違いだ。


 私は手を挙げてゼロが二個多いことを発言。しかし夕闇さんはニコニコしながら手に持っている竹刀をバシバシと手のひらに軽く叩いてこう言う。


「さっさっとやらないとメシ抜きだよ?」


 鬼だ。ここに鬼がいる。

 ずっと笑顔なのが余計に怖い。これはやらないとメシ抜きだけじゃ済まないと本能が言ってる。


 妖怪退治の前にトレーニングで死ぬ。


「あと朗報だよ、今さっき妖怪が見つかったって報告受けたから、このトレーニングが終わったらすぐ討伐しに行くよ」


 突貫にも程があるって。即戦力にしようとしてるのは分かるけどその前に朽ち果てるわ。


 まぁ拒否権が無いからやるしかないんだけど。


仕方ない、まずはここをなんとか切りぬけよう。その後はその後だ。


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