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苦汁
「うわ、最悪……」
逆八の字に切られたダンゴムシから、生ゴミが腐敗したかのような強烈な悪臭と、大量の血が辺りにランダムに飛び散った。
まるで水風船が爆発したかのよう。
あまりの異臭に、私は思わず鼻を手で隠す。
それでもなお、異臭は雪崩のように私に襲ってくる。
「一匹でこれ程、となると……」
ああ、心が鉛みたいに重い。
この数え切れない程多いダンゴムシを、全部狩るとなると……
想像するのは難しくない。
そして瞬時にその想像を、煙をうちわで扇ぐが如く、頭の中で打ち消す。
同時に、身体中を鳥肌が走った。
もしも、体液が体か服に付着したら……
「うう、今すぐ帰りたい」




