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光明
まぁいい。
ソレの対策は、おいおい考えるとしよう。
無理に頭を働かせても、大したモノは得られない。
「日の出でも見るか」
私はゆっくり立ち上がり、戸を開けて廊下に出る。
そして縁側へと足を運び、そのまま腰を下ろした。
久しぶりに見る日の出。
それは暗い部屋に、突如灯った蝋燭の火の如く、私を驚かせ、同時に安心感を与えた。
辺りの闇を徐々に晴らしていく浄化の光。
そのような幻想が、私の心に優しく滲むように、溢れかえる。
今までは、朝が来るたびに憂鬱だったのに。
環境と状況が、こうもガラリと変わると、これほど美しく感じるモノなのか。
今の私はさながら、太陽の光を待ちわびる雪溶けの花だ。
「明日もまた、ここで陽の光を迎えよう」




