治ってた
入院してから二週間。
私の体の怪我は、ほぼ全て完治してしまった。
重症だった手足も、今では立ってシャドーボクシングもできる程にまで回復している。
全身の切り傷も跡すら見つからない。
自分でも分かる、明らかに異常だ。
おかげで、担当していた医者と看護師は、これでもかというくらいに目を見開いて、腰を抜かしていた。
あの光景は忘れようにも、忘れられない。
見舞いに来た夕闇さんも、びっくりしていた。
間も無くその後、様々な医療機器で私は念入りに体を調べられた、心電図、脳波、呼吸、脈、血液、骨、などなど。
でも、どこにも異常は見当たらなかった。
ただ、自己の治癒能力がハンパじゃないって言う結論に至っただけ。
私に分かるのは、その程度の解釈が限界だ。
私自身も分からないんだからしょうがない。
「でもまぁ、ちょっと怖いけどねぇ」
私は両の掌を開いてジッと見つめる。
もしかしたら、私は人間じゃあ無いのかもしれない、などといった発想が込み上げてくるのだ。
確信が無くても、もしもと思うだけで身が震えてしまう。
もしそうだったら、私はこの屋敷の人達に……
いや、考えないでおこう。
考えるだけ無駄な事だ。
今はとにかく、修行に勤しもう。
先の戦いでは、ザコ相手に瀕死の状態にまで追い詰められてしまった。
このままでは、いずれ敵に殺される。
そうならない為には、まず時間を努力に注ごう。
練習と修行を重ねて、より一層上へ昇る為に。




