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大夜ノ

短文でしたが、これで最終回でございます。


今までありがとうございます!

 襖の向こうから、只ならぬ気配が伝わってくる。

 およそ尋常ではない。

 先日の鬼が、赤子同然に感じてしまう程だ。


 私は緊張に震える手で、襖に手をかける。


 すると、まるで鋼鉄でできた扉のように重い。

 息苦しさすら感じてしまう程の重圧は、私の指先の感覚すらも鈍らせた。


「………開けようか?」


 まるで欲しい物にまで背が届かず、頑張って手を伸ばし続ける子供に話しかけるように、夕闇さんは気を利かせてくれた。


「いえ、これくらい大丈夫です!」


 私は握り拳を作って、ガッツポーズで答える。


 無論、空元気である。

 しかし、触れてもいない相手に負けるというのはどうにも癪に触って気にくわない。

 私は覚悟して、ゴクリと生唾を飲んだ。


 襖はゆっくりとスライドしていく。


「あ……」


 襖の向こうは、以前、訪れた時と何も変わらない。

 床に敷き詰められた十五畳の畳と、中央に置かれた長方形の黒いテーブルのみ。


 ただ、一人の女性が本を読んでいた。


 テーブルの側で黙々と。

 タワー状に積み上げられた大量の本を、どうやら私が来るまで熟読していたらしい。


 一体いつからここで待っていたのだろう?


「……会うのは二度目、だね」


 パタンと、読んでいる本を閉じ。

 女性はこちらに顔を向けた。


 深みのある藍色の瞳。

 宝石がそのまま絹になったかのような、艶のある藍色の髪。

 雪のように白い肌。


 まるで人形のような。

 見惚れてしまう程に、玲瓏な女の人。


「あ……喫茶店の…」


 確か、喫茶店でマスターと話していた人だ。

 その後、何故か私と相席して、何も言わずにすぐ去っていった、女の人。


 すると、すぐ後ろから紹介するわと聞こえた。

 夕闇さんは右手の掌を彼女に向ける。


「私と朝の姉にして一族の頭首。 誘意 夜(いざない よる)よ」

誘う夜桜はこれにて終わりですが、また新たな夜桜が咲きますので、どうかそちらもご覧頂けると幸いでございます!


今までありがとうございました!

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