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ミラーハウスの怪  作者: メーティス
1/1

ようこそ!夢の遊園地へ!


「此処が、ハッピードリームランド?」


今は廃れてしまった門をみる。

そこらかしこに蔦がはびこっており、草などもぼうぼうに生えている。


そう、此処は一年前に廃れてしまった廃遊園地、ハッピードリームランドの出入り口。

何故潰れてしまったのか、詳しい事は分からない、だけど噂ではミラーハウスに入ってから、まるで人が変わったようになるなどとの噂が出回っていたらしい。

今回、私達はそのドリームランドに親達の目をしのんで、夜に来ているのだ。


「おー、すげ~な、まるで魔界みてぇだ。」


「魔界なのですぅ!」


「気味が悪いですわね。」


「...........。」


それぞれにコメントを述べているのは、私の同級生達だ。

一番上のコメントは、自称イケメンの 田智 陸【たち りく】

二番目のコメントは、お坊ちゃまのせいでか、ハーフで金髪だというのに、どこかフワフワしている

西園寺 ラーフ【さいおんじ らーふ】。

三番目のコメントは西園寺 ラーフの双子の姉で、ラーフにクリソツな西園寺 椿【さいおんじ つばき】、少しキツい性格?

そして最後の無言が高橋 蓮【たかはし れん】、私の幼なじみで、皆を纏めるリーダー的存在だ。

と、皆を紹介している私は斎藤 要【さいとう かなめ】、どうして私達がこの廃遊園地へ来たのかというと、それは一年前に遡る。

私には3つ違いの姉がいるのだが、名を斎藤 雪【さいとう ゆき】、という。

そのお姉ちゃんが、あの日、ハッピードリームランドから帰って来た後の事、いつもなら私が話しかけると笑いながら返してくれるのだが、あの日は違った。


『お姉ちゃん、あのね、明日なんだけど....。』


『話し掛けないで!』


お姉ちゃんは私が近寄ろうとしたら、私の事を睨みつけ、自分の部屋へと戻ってしまったのだ。

どうしてあの優しいお姉ちゃんがああなってしまったのか。

お母さんに相談しようにも、お姉ちゃんはお母さんやお父さんの前では、前のようにニコニコとしているので、お母さんに信じてはもらえなかった。

そんなとき聞いた噂がハッピードリームランドが閉園するとの噂。

そういえばあの日、お姉ちゃんはドリームランドに行っていたと思い出した私は、より詳しくドリームランドについて調べた。

すると、ミラーハウスではたびたび入った人の人格が変わってしまうという噂を知ったのだ。

もしお姉ちゃんの性格が変わったのが、そのミラーハウスの勢だというのなら、元の性格に戻す方法もあるのではないかと思い、今日に至った。

他のクラスメイト達は、なんだかんだで私の事を心配して来てくれたのだ。


「それにしてもオンボロだな~、いったいどんだけ掃除してないんだよ。」


「グラグラなのですぅ!」


ラーフが出入り口の門をツイッと押す。

その瞬間、押された門は何故か私達の方へと倒れてきた。


「危ない、ラーフ!」


蓮が咄嗟にラーフを門の下から助けだした。

何故門が私達の方へ倒れたのか、よく分からないが、凄くハラハラしてしまったではないか。


「もう、ラーフったら、もう少し反省なさいませ!」


「はぁ~いなのです。(>.<)」


「.......顔文字を入れれば許される訳じゃないぞ。」


まあ、とりあえず門が開けたので皆で中に入っていく。

このハッピードリームランドは、真ん中に大きな噴水があって、遊園地自体は空から見ると丸く見える。

そしてお城型のアトラクションが5つあることでも有名だ。

小城が4つと、お城が一つあり、それぞれにイメージカラーなどがある。


「それにしても、この遊園地、本当に人が誰一人いないね。」


「確かに誰一人いないのは不気味だな。」


思わずそう呟いた私に蓮が返す。

私達以外がいない遊園地は、驚く程静かだった。

そして、全く動く気配のないメリーゴーランドや観覧車が並んでいる。


「あそこがミラーハウスか?」


蓮が指差した先には、木製の看板に確かに『ミラーハウス』と書かれている看板が飾られてある建物があった。


「なんだか本当にあそこに雪さんの性格を変える程の物があるとは思えませんわね。」


「だよな~、あの肝っ玉シスコン姉ちゃんだもんな~。」


此処にいる全員には、一応お姉ちゃんがおかしくなったことを話しておいた。

よく皆とは私の家で遊ぶので、皆は私のお姉ちゃんと会った事があるのだ。


「本当にミラーハウスに入るんですの?」


「何怖がってるの?椿お嬢様ともお方が、この位で挫けちゃうの?」


「っ!そんな事ありませんわ!なんたって私は西園寺家の令嬢ですもの!!」


なんとも扱いやすいお嬢様です。

逆にお嬢様がそんなに扱い易くってもいいの?って感じもするけど。

他に怖がっている人もいないので、皆でミラーハウスに入る。


「僕が百匹いるのですぅ!」


「おお!すげ~、イケメンが百人いるぞ!」


幾つもの自分が映し出される。

ラーフはいつの間にか羊の着ぐるみを着ていて、ピョンピョン飛び跳ねている。

陸は鏡に映った自分を何故か自慢してくる。


「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹........、スピー。」


どうやらラーフは自分を数えていて寝てしまったようなので、陸が背負う。


「要、大丈夫か?」


「うん、私はあんまり怖くないけど......。」


「けど?」


「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い..........。」


「椿ちゃんが凄く怖がってる。」


「いや、どう考えたって幽霊より今の椿の方が怖いだろ。」


椿ちゃんを連れてきたのは下策だったかもしれない。

流石にここまで怖がるとは思わなかったのだ。

このままでは椿ちゃんはもうミラーハウスを捜索するのは無理そうだ。

それにしても......、


「ラーフと陸はどこにいっちゃったんだろ?」


さっきからラーフと陸の姿が見えない、確か眠ってしまったラーフを陸がおぶっていたはずなのだが。

もしかしたら二人とも迷子になってしまったのだろうか?


「ねぇ、蓮、椿ちゃん、陸とラーフの二人が見当たらないんだけど.........。」


二人に話し掛けようと、私の前を見る。

蓮と椿は私の前を歩いていたはずなのだが、何故か二人もいなくなっていた。


「え、椿ちゃん~?蓮~?いないの~?」


呼んでみるが、何の反応も返ってこない。

ただ一人、ぽつりと鏡と鏡の間の世界に私がいるたけだ。

陸とラーフは迷子だとしても、蓮は結構しっかりしているので、迷子だという訳ではないと思うのだが.......。


「はぁ。」


鏡に向かいあって、手をつける。

やっぱり鏡の中の自分も溜め息をついていて、今にも泣き出しそうだ。


「わかってた...、本当は、鏡のせいなんかじゃなくて....、お姉ちゃんは、私の事.....、嫌いになっちゃっただけだって....。」


鏡の中の自分に向かって、ぽつりぽつりと愚痴をこぼしていく。

お姉ちゃんがもしかしたら鏡のせいで私の事を嫌いになったんじゃないかって、期待.....、していたから。

でもやっぱり、鏡は鏡でしかなくて、その期待も打ち砕かれた。


「どうしたらお姉ちゃんとまた、仲良くなれるのかな?」


『こうしたらまた、仲良くなれるんじゃないかしら?』


「え?」


私の質問に対して、私の声で答えが聞こえた。

その声は私の真正面から聞こえた気がして.....、

鏡にはやっぱり私が映っていた。


「って、鏡の中私が答える訳.....。」


あ、ヤバい、フラグたてちゃった。


心の中でそう思っていると、ふと、違和感を感じた。

鏡の中の私をもう一度、まじまじと見る。


「なんで....?」


鏡の中の私は、確かに、笑っているのだ。


その時、グイッと凄い力で手が引っ張っられる。

手元を見ると、私の手を引っ張っているのは、鏡の中の私だった。

その力は凄まじく、気を抜いたらその瞬間鏡の中へと引きずられそうだ。


「えっ、えっ、いや確かにフラグは立てちゃったけど、だからって必ずしもフラグ回収とかしなくても.......!?」


『あなた、馬鹿ね。』


あっ、どうしよう、鏡の中の自分に呆れられた。

私が私に呆れられるなんて、ショックなんだけど。

てゆうか、私の爪が私の腕に食い込んできてるし!

痛い痛い痛い痛い......!!

その間にも、体はどんどん鏡の中へと吸い込まれていく。


「もう!ギブ、ギブ、ギブ!運営の馬鹿ヤローーーー!!!」


叫んだ瞬間、腕を引っ張っる力が強くなり、私は鏡の中へと吸い込まれたのだった。

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