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生きる為に。  作者: 井吹 雫
三章
8/175

~試練・1~

 各章のサブタイトルの訂正について活動報告に記載しましたので、よろしくお願いします。


「ここは……なんだ?」


 扉を開けた先に待っていたのは、そう長くはない一本道だった。

 辺りを見回すと、昨晩から見ていた石造りの壁とは打って変わり、木の根っこが所々に生えている。

 それでいて十分過ぎるくらいに明るい、そんな土で出来た壁。

 木の根っこから葉が生えているのも発見した。


――うわー、なんかアドベンチャーに出てくる映画の中って感じ。


 蓮花たちが普段目にしていた何気ない文明の技術が、いかに発達していた物だったのかが手に取るように分かる程、科学的要素が一つもない。


――私たちって本当に、発展した技術の中で生活していたんだな~。


 改めて感心した蓮花は自分が今まで目にしていた世界よりも、明らかに退化しているこの場所を見てやや強気になる。


 この文明の差に、待ち構えているのであろうこの後の試練とやらも、つい甘く考えてしまう。


「少し、砂埃っぽいですね」


 敦と会話していた水野大樹がそう言ったので振り返ると、煙たそうに顔をしかめていた夏木と目が合った。


「大丈夫ですか?」


 そう声を掛けた蓮花に「平気。」と返事をする夏木。

 すると、何かを発見したのか宵歌が声を発しつつ、壁を指差した。


「あれ、何か書いてありますよ」


 宵歌が指している先を見ると、確かに壁に何か刻まれていた。

 しかし、蓮花のいた位置からでは丁度根っこから生えている葉で、何が書いてあるのかが分からない。

 見える場所まで移動し改めて見直してみると、そこには人のような形が描かれている絵が二つに、横に真っ直ぐ描かれた二本の線、その先に付けられている上下のバツと丸の印に、その印の反対側に塗りつぶされた円も描かれていた。


「なんだ、これは……」


 敦たちも蓮花の後ろから覗き込むようにして、この描かれている絵を眺める。

 二人よりいくらか若い分、柔軟な考えが思い付く蓮花。


――うーん、きっとこの絵は、この道のヒントだと思うんだけど……。


 敦と水野大樹が首を傾げていたので、蓮花は自分の意見を伝えてみる。


「多分、この道の事を記しているんじゃないですかね」


 敦は蓮花の声が聞こえなかったかのように反応しなかったが、代わりに水野大樹が答えてくれた。


「ん? どういう事?」


 蓮花の説明を、素直に聞いてくれる水野大樹。


「此処に、二本の線が描かれているじゃないですか。多分これは、この道の事を示しているんだと思います」


 気が付くと宵歌に夏木も、一緒になって蓮花の話を聞いていた。


「それと、この二本線の先にあるバツと丸の印。多分道の先に二つ行く場所があって、どちらかが行ってはいけないって事だと思うんです」


 無言で目すらも見てくれない敦だが、一応話は聞いてくれているので安心する蓮花。


――きっと上がバツで下が丸になっているから……これを道に当てはめて考えると、右が行ってはいけなくて、左が正解って事かな?


 蓮花の説明を一通り聞いた進一が「すっげー! 楽勝じゃん!」なんて言いながら、急かすようにさっさと進もうとしたので、まだ謎が説ききれていない蓮花は慌てて進一の腕を掴む。


「ちょっ! 何するんですかー!」


 つんのめった進一をスルーして、再び引っかかっている絵を見据える蓮花。

 その代わりに夏木が「まだ安全って分かった訳じゃないのに、勝手に行動しないでくれる?」と注意してくれた。


――うーん、なんなんだろう。この、人のような形をした絵は……。


 描かれている絵には、線の他にもまだ謎が解けていない人の形をした絵が二つある。

 一つは一人で描かれ普通に歩いているのに対し、もう一つの方は何人もの人が倒れ、その上を同じように丸く塗りつぶされた一つの円が押し潰していた。

 しばらくその絵を見つめていた蓮花は、ふとある事に気が付いた。


――もしかしたらこの円って……。


 人が描かれている絵と、先程の二本の線を見比べる蓮花。


「何か分かったの?」


 何かを閃いた蓮花に気が付いた水野大樹が、問い掛ける。


「多分、分かったんですけど……」


 そう言って言葉を詰まらせる蓮花。

 まだ確証が持てない蓮花は、とりあえず道の先を確認して自分の考えが合っているのか試してみようと思い、皆に声を掛ける。


「まだ確証がないので、合っているかどうか、ちょっと確認してきます!」


 そう言って道へと走り出した蓮花。


「皆さんはそこで待っていてください!」


 皆が付いて来ないよう「皆で行ったら危ないと思うので!」と声を掛けつつ、一本道の終わりまで目指す。

 蓮花の考えが正しければ、きっと一人なら危なくない筈だ。

 それを確認する為にも、蓮花はこの道を進んで行った。




 今日も夜に、もう一ページ更新したいと思います!

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