表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生きる為に。  作者: 井吹 雫
十一章
76/175

~戦法~

 更新が遅くなってしまい、申し訳ありません!汗

 セルフィーナ、久々の登場です!


「あっ、鎧塚さん。昨日はありがとうございました」


 訓練場で大鎌を華麗に操り、蓮花の何倍もの太さがある丸太を一瞬で切り裂いた鎧塚。

 蓮花はそんな鎧塚を見つけると、駆け寄って昨日の件について礼を述べた。


「……ああ、もう動けるのか?」


 声に反応した鎧塚は、商売道具である大鎌を地面に降ろし蓮花へ身体を向ける。

 昨夜はあの後、結局鎧塚に部屋のベッドまで運んでもらった蓮花。

 鎧塚が帰っていくと、そのまますぐに眠ってしまっていた。


――やっぱり、さすがに一日で二回も魔力を切らすのは、その後の身体に影響出ちゃうから考えないとな……。


 一度も目覚めずに眠り続けていた為、蓮花は身体の重みを感じている自身の肩を回しながらもこう答える。


「はい! もうすっかり元気になりました!」


 満面の笑顔を見せて答えた蓮花。

 そんな蓮花の様子を見抜いた鎧塚。

 ちらりと蓮花の全身へ目を向けると、降ろしていた大鎌を再び手にしながら言葉を落とす。


「……お前は魔力が十分にあるのだから、体力も並行してつけていった方が良いと思うぞ」


 魔力が切れる度に倒れていたら元も子もないだろう。

 手にした鎌を肩へ担ぎながらそう話す鎧塚。


「あっ……でも、昨日倒れたのは魔力を切らしちゃったからで……」


 なんて何気なく蓮花は鎧塚へ反論する。


「……ああ、それは知っている。魔力を切らせて炎が消える瞬間の感覚を覚えさせる……そのやり方も手っ取り早くて、ある意味では良いだろう」


 まるで蓮花の言い分は納得しているかのような言い方。

 しかし鎧塚は蓮花を見据えると、こんな事を口にした。


「だが、それとは別に魔力を切らした如きで倒れているようじゃ、ファイターとしては務まらないと思うぞ」


 お前は魔力が切れたら、試合中でも倒れるつもりか?

 じっと見据えてはいるが、どこか優しい言い方をしている鎧塚。

 見た目の印象だけでは、まず鎧塚のこんな優しい物腰がある事が分からなかっただろう。

 しかし蓮花は、そんな鎧塚の見た目とは裏腹の優しさを、初めて出会った試練の時から心の何処かで感じていた。


「例え魔力を切らそうとも、相手に致命傷を与えられていなかったら殺られるのはお前だ」


 だからなのか、蓮花は鎧塚の落とす言葉が毎回すとんと心へ響く。


――……そっか。ファイターとして闘技場で闘うって事は、私が闘えなくなった時点で、死ぬって事か。


 ファイターとして戦う……それは自身が戦う相手を殺す事だとは蓮花も理解している。

 しかし、自身が倒せなかった後に待ち受けている未来がない事実だけは、他人事のように考えていた蓮花。


――私が戦えなくなったら、そこで試合のストップが掛かる訳じゃないもんな……。


 鎧塚の言いたい事がなんとなくだが分かった蓮花。


「……ファイターとして挑むなら、例え魔術が使えなくなったとしても、試合が終わるまで戦い続けろって……事ですよね」


 それがこの闘技場のファイターとしての役割……ですよね。

 そう言って蓮花は鎧塚を見る。


「……分かれば良い」


 蓮花の目付きから、意図が伝わったと分かった鎧塚。

 静かに大鎌を持ち直すと、まるでもう伝える事は無いとでも言うかのように、蓮花へ背中を向けて丸太と向い合せとなる。


――体力づくり……か。でも、デビュー戦まではもう時間もないから、今回は魔術を主にした戦法じゃなくて、別の物を止めにした方が良いのかな。


 そんな事を考えた蓮花。

 既に蓮花の事は気にも留めていない鎧塚は、丸太相手に訓練を再開している。

 大鎌を大きく振りかぶり、勢いよく置かれた丸太を切り裂く鎧塚。

 その迫力を前にし、蓮花は自身の戦法について考える。


――私は鎧塚さんみたいにダイナミックな闘い方を見せた所で、きっと観に来た人たちは、それを望んでいないと思う。かと言って、炎を切り札とした闘いをする技術は私にはまだ無いし……。


 鎧塚の大鎌を操る様を見据えながら、真剣に悩む蓮花。

 するとそんな蓮花の背中に、懐かしの声が投げ掛けられた。


「たっだいま~!」

 そう大きな声を響かせて、振り返った蓮花に全力で体当たりでもするかのように突撃した誰か。


「ちょっ! セルフィーナさんっ?」


 そのまま勢いを殺さずに蓮花を抱きしめる、水色の肌をしたセルフィーナ。

 顔が見事にセルフィーナの胸へ埋もれた蓮花は、突然の身体の圧迫に混乱しつつ、何とかセルフィーナの身体から逃れようとする。

 しかしセルフィーナは「あ~、これこれっ! やっぱりあんたの肌はすべすべで気持ちいいわ~!」なんて言いながら、蓮花の事はお構いなしに身体を左右へ振り回す。


「……いい加減離さないと窒息するぞ」


 同じくセルフィーナの声に反応して振り返っていた鎧塚。

 振り回されている蓮花を見て、呆れてセルフィーナを離した。


「あら~、ごめんなさい! つい嬉しくって」


 にこやかな笑みを見せてそう話すセルフィーナ。

 やっと解放された事で、蓮花は安堵の溜息を付く。

 そんな蓮花の前に改めて立つと、セルフィーナは蓮花の両頬を自身の両手で包み込む。


「ただいまっ! 元気だった~?」


 変わらない元気を見せてそう話すセルフィーナ。

 突然のセルフィーナの登場に戸惑っていた蓮花も、やっと状況を理解すると「はい!」と返事をし、笑顔をセルフィーナに向けて見せた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ