~姉妹~
すみません。
昨日の活動報告にも書かせて頂きましたが、せっかく旅へ出ているのに、今日もほとんど会話です。汗
どうかご了承下さい。
「私は、あんたの事もすごいと思うけどね~」
再び走り始めた馬車に揺られながら、蓮花の隣に座っていたセルフィーナは言う。
「えっ?」
言われた意味が、良く分からなかった蓮花。
思わずそう聞き返すと、セルフィーナは答えてくれた。
「いやね、あんたってさ、してもらった事に対して、きちんとお礼を言うでしょう?」
それって結構、すごい事だと思うわよ。
そう言って蓮花へ顔を向けたセルフィーナ。
「間違えた事をした時は、きちんと謝る。これは案外、身に付けてしまえば簡単に出来る事だわ」
だってそれは、最終的には自分の為だもの。
そう言ってセルフィーナは、蓮花の頬を優しくなぞる。
「自分の価値を下げない為に、きちんと誠意を見せる。でもそれは、今後も自分が生きていけるようにする為」
蓮花の頬から、手を離したセルフィーナ。
「誰も、しなくて良いなら、わざわざ他人に頭なんか下げたくないでしょう」
なんて笑ったセルフィーナは、尚も言葉を続ける。
「だから謝る事は、身に付けてしまえば、案外簡単に出来るわ」
ここまでは、はっきりとした口調で話していたセルフィーナ。
しかし、一呼吸置いたセルフィーナが次に言葉を発した声は、とても優しい声だった。
「でも、やってもらった事に対して、毎度きちんとお礼を言える人は、中々いないと思う」
人は皆、どこかで他人より優位に立ちたい生き物だし。
まるで誰かを褒めるように、セルフィーナは優しい声で言葉を続ける。
「自分の為じゃないのに、素直に感謝を伝えるのって、結構難しいのよ」
そう言って、少し微笑んだセルフィーナ。
「それなのにあんたは毎回、当たり前に誠意を持って、きちんとお礼を言ってくれる」
セルフィーナの話を、真剣に聞いていた蓮花。
その話の中に、いきなり自分が出てきたので、蓮花は思わず戸惑った。
――えっ? 私?
そんな蓮花の横で、更にセルフィーナは続ける。
「『ごめんなさい』や『ありがとう』の言葉をただ流すだけなら、誰でも簡単に出来るけど、でもその言葉に想いを乗せられる人は、中々いないわよ。ましてやそれが、自分の為じゃない事にはね」
そこまで話し終えると、セルフィーナは声色を明るくした。
「だから感謝に、毎回誠意を乗せられるあんたは、すごいわよ!」
にっこり笑ったセルフィーナは、そのままの勢いで、蓮花の肩を強めに叩く。
「っ!」
褒められた事と、叩かれた肩の痛みで、蓮花は何とも言えぬ顔になる。
――……そっか。私も、人に褒められるような事が、あったんだ……。
ちょっとずつ、褒められた実感が出てきた蓮花。
段々と嬉しくなり自然と顔が綻んでいく蓮花の横で、セルフィーナは気が付かずに話を続けた。
「あんたのそういうところ、妹たちにも見習って欲しいわ~」
なんて笑いながら話すセルフィーナ。
その話を聞いて、蓮花は思い出したようにセルフィーナへ問い掛ける。
「そう言えばさっきも言っていましたけど、セルフィーナさんって、妹さんは何人いらっしゃるんですか?」
――馬車を待っている時も『達』って言っていたし、きっと二~三人ぐらいかな。
セルフィーナが持ってきた大量の荷物を見ながら、微笑ましくそんな想像をした蓮花。
しかし、次のセルフィーナからの返事で、蓮花はびっくりしてしまう。
「ああ、妹は六人よ」
あっ違った、この間もう一人生まれたから、七人ね~。
そう平然と答えるセルフィーナ。
「……っええ! そんなに?」
思わず大きい声で聞き返してしまった。
蓮花の反応を楽しむように「そうよ~、すごいでしょ?」と笑うセルフィーナ。
――まさか、そんなにいたなんて……。
兄はいたが、妹や弟はいなかった蓮花。
自分より下が欲しかった蓮花は、純粋にセルフィーナがうらやましかったが、流石に若干引いてしまう。
――そんなにいたら大変そう。……あっ、だからあんなに大荷物だったのか。
今朝、妹たちへのお土産と聞いた時は素敵な姉なんだと思っていたが、人数を聞いた今改めてこの大荷物を見ると、セルフィーナに同情してしまいそうになる蓮花。
しかしそんな蓮花の思いには、全く気が付いていないセルフィーナ。
「そう言えば、全員女の子なんですね。弟さんは、いらっしゃらないんですか?」
蓮花は同情を悟られないように、さり気なく話題を少し変える。
「ああ! そう言えば、言っていなかったわね!」
すっかり忘れていたとでも言うように、セルフィーナは身体ごと蓮花へ向き直ると、こんな事を口にした。
「私の種族はねー、女しか生まれないのよ」
胡坐を掻きながら、にこりと笑ってセルフィーナは言葉を続ける。
「だから私の故郷に、男はいないわ」
身体を左右に揺らしながら、笑ってそう言うセルフィーナ。
――……男が、いない?
言われた意味が理解できなかった蓮花。
身を乗り出すようにして、蓮花はとりあえずセルフィーナの話の続きを、聞く事にしてみた。
明日はセルフィーナについて……と言いますか、種族についてちょろりと触れます!




