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生きる為に。  作者: 井吹 雫
七章
39/175

~姉妹~

 すみません。

 昨日の活動報告にも書かせて頂きましたが、せっかく旅へ出ているのに、今日もほとんど会話です。汗

 どうかご了承下さい。


「私は、あんたの事もすごいと思うけどね~」


 再び走り始めた馬車に揺られながら、蓮花の隣に座っていたセルフィーナは言う。


「えっ?」


 言われた意味が、良く分からなかった蓮花。

 思わずそう聞き返すと、セルフィーナは答えてくれた。


「いやね、あんたってさ、してもらった事に対して、きちんとお礼を言うでしょう?」


 それって結構、すごい事だと思うわよ。

 そう言って蓮花へ顔を向けたセルフィーナ。


「間違えた事をした時は、きちんと謝る。これは案外、身に付けてしまえば簡単に出来る事だわ」


 だってそれは、最終的には自分の為だもの。

 そう言ってセルフィーナは、蓮花の頬を優しくなぞる。


「自分の価値を下げない為に、きちんと誠意を見せる。でもそれは、今後も自分が生きていけるようにする為」


 蓮花の頬から、手を離したセルフィーナ。


「誰も、しなくて良いなら、わざわざ他人に頭なんか下げたくないでしょう」


 なんて笑ったセルフィーナは、尚も言葉を続ける。


「だから謝る事は、身に付けてしまえば、案外簡単に出来るわ」


 ここまでは、はっきりとした口調で話していたセルフィーナ。

 しかし、一呼吸置いたセルフィーナが次に言葉を発した声は、とても優しい声だった。


「でも、やってもらった事に対して、毎度きちんとお礼を言える人は、中々いないと思う」


 人は皆、どこかで他人より優位に立ちたい生き物だし。

 まるで誰かを褒めるように、セルフィーナは優しい声で言葉を続ける。


「自分の為じゃないのに、素直に感謝を伝えるのって、結構難しいのよ」


 そう言って、少し微笑んだセルフィーナ。


「それなのにあんたは毎回、当たり前に誠意を持って、きちんとお礼を言ってくれる」


 セルフィーナの話を、真剣に聞いていた蓮花。

 その話の中に、いきなり自分が出てきたので、蓮花は思わず戸惑った。


――えっ? 私? 


 そんな蓮花の横で、更にセルフィーナは続ける。


「『ごめんなさい』や『ありがとう』の言葉をただ流すだけなら、誰でも簡単に出来るけど、でもその言葉に想いを乗せられる人は、中々いないわよ。ましてやそれが、自分の為じゃない事にはね」


 そこまで話し終えると、セルフィーナは声色を明るくした。


「だから感謝に、毎回誠意を乗せられるあんたは、すごいわよ!」


 にっこり笑ったセルフィーナは、そのままの勢いで、蓮花の肩を強めに叩く。


「っ!」


 褒められた事と、叩かれた肩の痛みで、蓮花は何とも言えぬ顔になる。


――……そっか。私も、人に褒められるような事が、あったんだ……。


 ちょっとずつ、褒められた実感が出てきた蓮花。

 段々と嬉しくなり自然と顔が綻んでいく蓮花の横で、セルフィーナは気が付かずに話を続けた。


「あんたのそういうところ、妹たちにも見習って欲しいわ~」


 なんて笑いながら話すセルフィーナ。

 その話を聞いて、蓮花は思い出したようにセルフィーナへ問い掛ける。


「そう言えばさっきも言っていましたけど、セルフィーナさんって、妹さんは何人いらっしゃるんですか?」



――馬車を待っている時も『達』って言っていたし、きっと二~三人ぐらいかな。


 セルフィーナが持ってきた大量の荷物を見ながら、微笑ましくそんな想像をした蓮花。

 しかし、次のセルフィーナからの返事で、蓮花はびっくりしてしまう。


「ああ、妹は六人よ」


 あっ違った、この間もう一人生まれたから、七人ね~。

 そう平然と答えるセルフィーナ。


「……っええ! そんなに?」


 思わず大きい声で聞き返してしまった。

 蓮花の反応を楽しむように「そうよ~、すごいでしょ?」と笑うセルフィーナ。


――まさか、そんなにいたなんて……。


 兄はいたが、妹や弟はいなかった蓮花。

 自分より下が欲しかった蓮花は、純粋にセルフィーナがうらやましかったが、流石に若干引いてしまう。


――そんなにいたら大変そう。……あっ、だからあんなに大荷物だったのか。


 今朝、妹たちへのお土産と聞いた時は素敵な姉なんだと思っていたが、人数を聞いた今改めてこの大荷物を見ると、セルフィーナに同情してしまいそうになる蓮花。

 しかしそんな蓮花の思いには、全く気が付いていないセルフィーナ。


「そう言えば、全員女の子なんですね。弟さんは、いらっしゃらないんですか?」


 蓮花は同情を悟られないように、さり気なく話題を少し変える。


「ああ! そう言えば、言っていなかったわね!」


 すっかり忘れていたとでも言うように、セルフィーナは身体ごと蓮花へ向き直ると、こんな事を口にした。


「私の種族はねー、女しか生まれないのよ」


 胡坐を掻きながら、にこりと笑ってセルフィーナは言葉を続ける。


「だから私の故郷に、男はいないわ」


 身体を左右に揺らしながら、笑ってそう言うセルフィーナ。


――……男が、いない?


 言われた意味が理解できなかった蓮花。

 身を乗り出すようにして、蓮花はとりあえずセルフィーナの話の続きを、聞く事にしてみた。




 明日はセルフィーナについて……と言いますか、種族についてちょろりと触れます!

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