もーいーかい?
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もぉーいーかい?
まぁーだだよ。
…………。
もぉーいーかい?
まぁーだだよ。
…………。
もぉーいーかい?
まぁーだだよ。
小さな子供の声だった。
あどけない無邪気な声を聴きながら加瀬良太は暗闇の中を歩く。
もぉーいーかい?
まぁーだだよ。
…………。
もぉーいーかい?
まぁーだだよ。
…………。
もぉーいーかい?
もぉーいいよ。
少年期に友達とした遊びにどことなく懐かしさを感じながら、誰かの視点を借りて良太は遊びの開始と小さく蹲った。
どれくらいの時間が経った頃だろう。暗闇が暗闇のまま気配が感じられないちいさな虚無。そして同時に起こる不安に、小さな膝小僧に隠していた顔を上げる。
「もぉーいいよっ!」
場所が気づかれてしまうということよりも探しに来てほしい一心で大きな声を出した。
それでも何も変化はなかった。
思わず隠れていることも忘れてその小さな誰かは動き始めてしまった。
闇の中をひたすら目的もなく動き回る。
不安が小さな息を何度も吐き出させた。
それからも時間は過ぎる。
いつからだろう、良太は誰ともわからない小さな影を後ろから見ていた。助けてあげたいと思う。それなのに、行動は小さな誰かと同じようにあたりを見渡すだけ、声をかけてあげるだけで状況は変わるとわかっている。それなのに何もしてあげることはできない。
なぜ?
その疑問を抱いた時には、その小さな背中も消えてしまった。
暗闇の中にポツンと佇んでいる。
「もーいいよ」
ふいに聞こえた誰かの声に後ろを振り向いた時には、背中を押され加瀬良太は暗闇に落ちて行った。
「うわぁあああああっっ!」
ベッドから飛び跳ねて起きた場所は、見覚えのないがらんとした部屋。
「…………夢?」
だが、少しの時間が過ぎてもどことなく残る違和感によってどちらが正しいのか答えを遠ざける。ベッドに腰掛けたまま窓辺から外を眺めた。
外は夜と錯覚するくらい曇天模様。しかし、見る風景には見覚えがある。十数年暮らしてきた町並みだった。
しかし、
「どこだここ?」
その町並みのどこにいるかはすぐにわからなかった。
いったい誰の家にいるのか?
なぜ自分はここにいるのか?
ブブブブッ!
ポケットの中にあるスマートフォンが音もなく震えた。そこでようやく、違和感の一部に気づく。寝ているのになぜスマフォがポケットに入っているのか、そしてなぜ学校指定の制服のままでいるのか。
「ああ? なんなんだいったい?」
仕方なく訳も分からないまま、スマフォを操作した。
そうして表示される文字に、忘れ始めていた夢を脳裏に植え付けられた。
【裏かくれんぼへようこそ】
ゾクリの背中に寒気が走る。
良太は震える手で強くスマフォを握りしめながら、曇天を眺めた。
その時その瞬間を以って、加瀬良太をはじめとした三十九名は【裏かくれんぼ】を開始する。
活動報告をご覧いただいた方はわかると思います。
精進します。
以後もしくは今後もよろしくお願いします