【詩】沁みていく言葉
黄色の花に蝶がいる
黄金に染まっていく
赤い花に蝶がいる
紅赤に染まっていく
花のいのちと
蝶のいのちは
色になって
行き交うもの
祈りは全てを透かす
目に見えない速さで
透明を宿したいのちの
向こうに見えた光
まだ染まらない
色の無い蝶の
まだ目覚めない
ガラスの花の
夜明けの最初の光の
つらぬく無垢色のいのちは
やがて吹き荒れる
嵐に粉々にされないように
固く
羽を
蕾を閉じている
やがて それが開くとき
少女は微笑みを捨て
細い指先に陰りを絡め取る
夢の綻びに
祈りの意味を深く知れば
自ずから
夢の彼方への憧れを思うだろう
次第に
いのちの色は満ちて
瞳には諦めと理解が沈むけれど
時折よぎる大きな虹
花々の華やかな祈りは
風に乗り遠くまで届き
雪嶺にまだ眠る
純心のこころの
かおを撫でて
大海原の真ん中で
昼寝をしている
ゾウの大きな耳をくすぐる
空が海を染めるように
祈りがこころを染めていく
静寂の白へ
穏やかな波へ
微かな温かみへ
沁みていく言葉へ