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プロテイン賢者が征くっ!  作者: 鹿角フェフ
第一章:伝説の幕開け
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第八話:筋肉痛つんつん

「つまりだな。ポリポリパール症候群とは、体に流れるマナがポリパールと呼ばれる因子によってコンセンサスする事で、ビヨン酵素がアジェンダして起きるんだ。だからこそ筋トレでビヨン酵素をエビデンスする事で魔法が使えるようになる」


 訓練場の端、休憩用の椅子に座ってじぃとこちらを見つめる二人にとりあえず思いつくばかりに語る。

 俺の胸中を占めるのは諦めだった。

 もうどうにでもなれ……。

 もはや真剣さとやる気をなくしたせいか、自分自身でもよく分からない話は湯水のように溢れ出てきた。


「ごめんなさいフェイル。ちょっと聞いてなかったらもう一度言ってもらえるかしら。もちろん全部言えるわよね?」

「本当に鬱陶しいなぁクシネ!」


 問題はこの駄メイドだ。

 ニコニコと興奮と幸福を同時に撒き散らす彼女は、俺に対する追求の手を休めようとしない。

 若干のいらつきを覚えながら、彼女をあしらっていると助け舟は意外な所からやってくる。


「大丈夫ですよクシネさん! お師様のお手を煩わせる必要はありません! ポリポリパール症候群とは体内に流れるマナがポリパール因子によってコンセンサスする事によってビヨン酵素がアジェンダして起きる症状なんです! 偉大なお師様はその症状改善として筋トレでビヨン酵素をエビデンスする事で魔法が使える様になると仰っているのですよ!!」

「「すげぇ……」」


 適当に並べたはずの言葉を一字一句違える事なく暗記しているピュセラ。

 すでに自分自身忘れている為にそれが正しいのどうか判別できないが、淀みなく語られるその態度から察するに間違いは無いのだろう。


 無言でちょいちょと指を動かし呼びつける。

 相手は俺と一緒にピュセラの記憶力に引いているクシネだ。

 キョトンとするピュセラには聞こえないように、クシネに小声で尋ねる。


『ど、どういうことだよクシネ』

『ぴゅ、ピュセラはすごく賢いから……一度聞いた言葉は全部その場で暗記できてしまうほどなのよ』

『う、迂闊な事が言えねぇ……』

『既に手遅れよ』


 絶望しか無い。

 俺の言った言葉は一字一句暗記され、矛盾があれば即突っ込まれる。

 アホの子かと思っていたが、ただ単に天才肌だったというだけでそのスペックは非常に高かったのだ。

 ふと彼女と出会った時の事が思い返される。

 ああ、きっとあの時の言葉も全部覚えているんだろうなぁ……。

 本日の夜。枕を涙で濡らす事が確定したも同然だった。


「それで、お師匠様は筋トレとおっしゃいました! 筋トレをすることによって私は魔法を使えるようになるんですね!」

「う…………うん!!」


 ドツボだ。これがドツボというやつだ。

 誰だよ、筋トレすれば魔法が使えるとか言い出した馬鹿は――俺でした、ごめんなさい。

 念願の魔法を使える道筋が提示された事でピュセラも心なしか興奮気味だ。

 今更嘘でしたとは言えないだろう。

 となればもうここは突き進むしか無い。

 そう、筋トレあるのみだった。


『ちょ、ちょっと! ピュセラに筋トレさせてどうすのよ!? あの子が幾らムキムキになった所で魔法は使えないわよ!』

『ま、まぁ待て。一応理由はあるんだよ。魔法使いって言っても部屋にこもるような研究者でもない限り体力は重要だ。魔法が使えない理由の原因がわからない現状、そっちから鍛えるのもありだろう?』

『う、うーん。確かに言われてみれば。それに本人もやる気みたいだし、当面のごまかしにはなりそうね。でも大丈夫? 筋トレだけじゃいつかはバレるわよ?』

『そこはまぁ大丈夫だ。俺も完全に考えなしって訳じゃない。ピュセラにある程度体力ついたらまた別の方法を試してみるさ』

『……そう』


 慌てるクシネを何とか説得する。

 でまかせ気味の言葉だったが、よくよく考えてみれば悪くはなかった。

『ウルスラグナ』でも魔法職の基礎ステータス向上は重要な要素だ。

 実際に敵の攻撃を受けたり、長時間の冒険をしたりする為にはHPや体力と言った要素も必要になってくる。

 魔法に関して全く不明な現状、代替として基礎体力を鍛えるのは重要に思われた。

 まぁ、その後は知らんが。


『……期待しているわよ』

『ああ、任せろ。少なくともピュセラを悲しませる様な事はしないよ』

『その言葉を聞いて安心したわ』


 どこか安堵した様子で、柔らかく笑うクシネ。

 なんだかんだ言って、本当にピュセラの事が大切なのだろう。

 わりとふざけた所のある彼女であったが、ピュセラを想う心は確かだ。

 今までの態度で、それはハッキリと分かる。

 ――だからこそ。

 俺は「この後の事は全く何も考えていません! てへ!」とは口が裂けても言えないのだった。


 ………

 ……

 …


「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……。疲れました!」

「結構走ったからな。ピュセラって意外に体力あるのな。でもやっぱりこの程度じゃまだまだ不足かー」

「うう、ポリポリパール魔法症候群とはなかなかに厄介な病気なんですね! けど私は負けません!」

「……ポリポリパール? ……! そうそうその意気その意気。頑張ればきっとマッスル神も微笑んでくれるさ」


 思わず「ポリポリパール? なにそれ?」って言いかけたが慌てて思い出しピュセラの頑張りを褒め称える。

 当面の方針が筋トレに決定した今、まずは基礎体力の向上として各種運動を行っている。

『ウルスラグナ』であれば敵を倒してレベルアップすれば自ずと体力もついてくるのだが、個人的に言うのならばそれは愚策としか言い様がない。

 筋肉とは降って湧いてくるものではなく、自ら肉体をいじめ抜いた果てに得られるものなのだ。

 レベルアップを全面的に否定する訳ではないが、少なくとも筋トレする事の大切さを知らずに成長して欲しくはなかった。


 そういう点ではピュセラは良い弟子とも言える。

 彼女は自分が持つ全てを使って必死に運動に励んでいる。

 きっとこれは将来彼女の糧となってくれるはずだ。数値には出ないが、確実に彼女の力になると……。


「持ってきたわよー」

「おお、きたきた。ピュセラ! ダンベルが来たからランニングは中断してまずはアームカールからしてみようかー!」

「わかりましたお師様!」

「二人共頑張ってねー」


 すべき事は山ほどある。

 ダンベルの重量は、ランニングの距離は、今後どんどん増えていくだろう。

 明日は今日よりも、明後日は明日よりも、きっと彼女は成長してくれるはずだ。

 天を見上げ、マッスル神に祈る。

 どうか、彼女に筋肉の加護がありますように……。

 いないはずのマッスル神が、何故か微笑んだ気がした。


◇   ◇   ◇


「ピュセラが寝込んでいる?」


 彼女への方針が決定し、筋トレを始めた翌日の事だった。

 朝起きて支度を終えた俺にクシネが相談を持ち掛けてくる。

 どうやらピュセラが体調を崩したみたいだ。

 風邪だろうか? 普段天真爛漫な様子しか知らないが彼女も風邪をひく事があるらしい。特に原因は思い当たらないが――。


「全て貴方のせいよフェイル」

「どういうことだよ? 昨日はあんなに元気だったじゃないか、俺もピュセラに筋トレ教えられて――あっ」


 唐突に理不尽な言いがかりを付けられて気分を損ねる。

 まるで俺が悪いみたいな言い方だが、どうして俺が原因となるのだろうか?

 今まで行動を思い出し、文句を言い返してやろうとしたが、その中である一点に気がついてしまった。


「気がついたようね」

「筋肉痛か……」

「結構酷いから貴方も一応見てあげて」

「分かった……」


 そう、ピュセラは頑張っていた。

 だが、頑張りすぎたのだ。

 活発な印象があるが、彼女はあくまで伯爵令嬢だ。

 それが初日にランニングとダンベル運動三セットのメニューを都合四回こなしたとなれば当然だろう。

 普通に考えればちょっと頭がおかしいトレーニング量だ。ハードにも程がある。

 彼女のやる気にあてられてついつい調子に乗ってしまった、これではトレーナー失格ではないか。

 自らの行いを反省した俺は、彼女の様子を見るために慌ててピュセラの部屋へと向かう。


「ピュセラ。入るよー」

「ピュセラ。フェイルを連れてきたわよ」

「うう、お師様ー、クシネさーん。」


 ピュセラの部屋は落ち着いた調度品に彩られた豪華は一室だった。

 数々の品物はその高級さをこれでもかと主張しているが、全体的に落ち着いた色合いのために嫌味が無く品がある。

 ところどころに置かれたぬいぐるみや少女らしい小物がやはり年頃の女の子の自室なのだと理解させる中、部屋の端にあるキングサイズのベッドの中でピュセラはつらそうに寝込んでいた。


「あらあら、結構大変みたいで」


 軽く観察する。

 ピュセラはベッドの上から起きるのも辛いらしく、ベッドの中でうーうーと唸っている。

 ……筋トレし始めの筋肉痛は辛いんだよなぁ。

 昨日の練習量も相まって相当な苦しみであろう事を察すると、今日の修行は体を休める事だと彼女に伝える。


「どうにかして痛みを和らげる事ができないかしら?」

「暖かい恰好をして血行を良くしておけば多少ましなんだが……まぁ根本的な解決策はないな」


 ピュセラからどの程度痛むかを確認し、対処法を考える。

 筋肉痛とは基本的に筋肉に蓄積したダメージと疲労が引き起こすものなので自然治癒に任せるしかない。

 風邪や病気みたいに薬を飲むといいよ! と言う物でもないのでそのままにしておくのが良いのだ。


「ピュセラが寝間着姿を見られる恥をしのんでまで貴方に助けを求めたと言うのに、使えないわねー」

「うっせぇよ」

「変な目でピュセラを見てたらただじゃ置かないわよ!」

「静かにしろよー」


 ピンクの可愛らしい寝間着を着ながら唸っているピュセラ。

 普段見ない彼女を新鮮な気持ちで眺める。

 うーむ。確かにレディとしては寝間着を見られるのはあまりよろしくない事かも知れない。

 だが、別に俺が見せてと言った訳じゃないので俺が文句を言われる筋合いはない。

 どちらかと言えばそっちが無理やり見せて来たのだ。

 なのでこの場合悪いのはクシネだと思うのだ。


「体をちょっとでも動かす度に痛いです。うう……」


 寝巻き姿で筋肉痛を訴える彼女。

 でも、確かにその姿に何も思わない訳ではない。

 自然と、俺の中で彼女に対してある感情が湧き上がってくる。

 ああ、確かにクシネ言う通りだ。

 俺はピュセラに対して……。


「羨ましい……」

「えっ!?」

「羨ましいと言ったんだ」


 そう、俺の心に浮かんだ感情。

 それは彼女に対する羨望だった……。嫉妬とも言ってもいいかもしれない。

 俺は、確かに筋肉痛で苦しむ彼女を羨んでいたのだ!


「ど、どういうことでしょうかお師様!?」


 痛みを堪えながら俺の意図を尋ねるピュセラ。

 大声を出すだけでも体中が痛むのだろう。彼女の整った美しい顔が苦痛にゆがむ。

 分かる。それ、すごくいいよね。


「筋肉痛ってのはな、俺達にとってはご褒美なんだ。筋肉が軋みを上げる度に俺達は喜びの声を上げ、その痛みを快感へと転じさせる」

「つ、つまりは!?」

「ピュセラ、ちょっと失礼するよ」


 言葉で語るよりも実際に体験してもらった方が早い。

 俺はベッドの布団より出た彼女の腕をそっと掴むと、昨日のアームカールでさんざんいじめ抜かれ筋肉痛を発症している上腕二頭筋をツンツンと突く。


「えっ? な、なにを――ひゃうっ!!」

「ちょ、ちょっとフェイル! 何をするのよ! 可哀想じゃない!」

「い、痛いれふ、お師様……」


 痛みに驚きの声を上げるピュセラ。

 腕をさすりながら涙目でこちらを見つめてくる。

 だが、彼女は理解していない。

 自分がどれだけ素晴らしい環境に置かれているかを……。


「本当にそうか?」

「えっ!?」

「本当に、本当に痛みだけかと聞いたんだよ」

「な、何を仰っているのですか? こんなの痛いだけじゃないですか!」


 どうやらまだ理解していないらしい。

 ふぅ、ここまで言わないといけないとは、なかなかに駄目な子だなピュセラくん。

 では仕方ない。

 説明してあげよう。

 俺が、俺達が、俺達アスリートが何よりも喜ぶその真実を!


「あるはずだよ。その痛みの中に――」



「――快感が!」



 ピュセラが驚愕に目を見開く。

 クシネが気持ち悪い物でも見るような冷え切った瞳で俺を見つめてくる。

 両者の様々な思いが乗った視線を一身に受けながら、俺は筋肉痛が如何に素晴らしく尊いものであるかを自らの弟子へと説明してやる。


「か、快感ですか!?」

「ああ、快感だ。筋肉痛は確かに痛い。だが同時に快感でもあるんだ。俺達アスリートは筋肉痛に陥る度に筋肉をモミモミしながらその痛みを楽しむ。それこそがアスリートにとってのご褒美であり、筋肉を鍛える者にとっての目的の一つなんだ!」

「凄い気持ち悪い顔してるわよ、フェイル」

「クシネは黙ってくれ。今筋肉の話をしてるんだ」

「えっ!? ご、ごめんなさい!」


 クシネを睨みつけ、黙らせる。

 幾ら仲の良い間柄だったとしても、言って良いことと悪いことがある。

 俺がバカにされるのは許される。だが、筋肉がバカにされる事だけは許されなかった。


 びっくりした様子で謝りシュンと静になるクシネに満足しながら、筋肉に思いを馳せる。

 筋肉痛は俺達に対するご褒美だ。

 一般的に筋トレのご褒美は筋肉の増加や引き締まった身体だと思われがちだがそれは違う。

 本当のご褒美、それが筋肉痛なのだ。

 通常であれば痛みしかない筋肉痛。だが、筋肉をいじめにいじめ抜いた果てに、ある奇跡がアスリート達に訪れる。

 そう、いつしか筋肉痛の痛みは、快感となって自身を覆い尽くすのだ。

 その為に筋肉痛を目的として筋トレを行うアスリートも少なくない。

 筋肉痛の筋肉をもみもみマッサージする瞬間が、それこそが我々にとって至宝にも等しき輝ける時間なのだ。


「今君は岐路に立たされているんだピュセラ」

「岐路……でしょうか?」


 信じられないと言った表情で俺を見つめるピュセラ。

 優しく諭すように彼女に伝える。


「筋肉痛に怯え、筋トレをする事を諦める敗北者……そして、筋肉痛を受け入れ、快感と共に筋力アップを目指す真のアスリート!」


 さぁ、君はどっちかなピュセラ。

 俺に教えてくれ――。


「君はどっちだピュセラ=エルネスティ!」


 静寂が訪れる。

 つつ……とピュセラの瞳から涙が一滴こぼれた。


「目が、目が覚めましたお師様……」


 感動に打ちひしがれた様子で俺を見つめてくるピュセラ。

 その瞳は真理を知った感激で溢れており、何より筋肉に対する愛で溢れていた。

 少し離れた場所から突き刺すような視線を感じるが、この際これは置いておこう。

 そう、今重要なのはピュセラが筋肉とどう向き合うかだ。

 ゴミを見るような視線を向けてくるクシネにかかわっている暇などなかった。


「こんな程度で挫けているわけではなかったのですね。見ていて下さい!」


 何をしようとするのだろうか?

 ピュセラはまるで課せられた試練に立ち向かうかの様に高らかに宣言すると、ベッドから起きようとしだした。


「くっ……はぁ! きゃっ!」


 だが、痛みは彼女に容赦なく襲い掛かる。

 いまだ和らぐ事のない鋭い痛みは彼女にとってはまだ苦痛でしか無いだろう。

 にもかかわらず彼女は筋肉痛に打ち勝とうしている……。

 否!

 彼女は筋肉痛を受け入れようとしているのだ!!


「ま、負けて……くぅ! られない、いつつ! ……です!」

「ピュセラ……」


 俺の頬を熱い物が流れ落ちる。

 それは涙だ。同時にこみ上げてくる熱い気持ちはまごうことなく彼女への賞賛だった。

 なんて、なんて逞しいんだ。

 なんて男前なんだ!

 彼女の師匠を始めた時、俺の心には面倒な気持ちしか無かった。

 だが今なら言える。

 彼女の師匠になって……本当に良かった。


「ど、どうでしょうかお師様! 私、筋肉痛を克服して見せました! この位なんとも無いです! これで、また一歩魔法使いに近づけましたよね!」


 やがて彼女は自らの足で立ち上がる。

 想像を超えるほどの苦痛だろう。

 本当ならばベッドの上で休んでいたいだろう。

 だが、彼女の魂が、願いが、それを良しとしなかった。

 彼女の夢が、立ち止まることを許さなかったのだ。


「ああ、ああ、もちろんだ! もちろんだよピュセラ!」

「凄いわピュセラ! 本当に頑張ってるのね!」

「負けませんよ!」


 身体のふしぶしが痛むのだろう、プルプルと震えながら、それでも虚勢を張るピュセラは輝いている。

 俺の胸中を感動が占める。彼女は弟子として相応しいあり方を見事俺に魅せたのだ。

 ――ならば、次は俺が魅せる番だった。


「ふふふ、慣れてしまえばなんともありません。どうでしょうかお師様? 貴方の一番弟子は――きゃあ!」


 おもむろに彼女の肩の辺りをツンツンする。

 ほうほう。痛がっておる痛がっておる。

 そう、この程度で満足してもらっては困るぞ、ピュセラ=エルネスティ!

 筋肉の道は長く険しいのだ!!


「では次のステップだピュセラ。他人が筋肉痛になっているのをツンツンしていじめるのはすごく楽しい。これもアスリートの嗜みだから覚えておくように」

「なるほど、おもしろそうね!」


 セクハラにならない程度に彼女の腕や肩をツンツンする。

 端でつまらなさそうに話を聞いていたクシネが天啓を得たりとばかりに駆け寄ってくると同じくピュセラをツンツンし始めた。

 女性同士の為か、さほど遠慮の無いそれにさしものピュセラも悲鳴を上げる。


「クシネさんまで! ちょ、ちょっと待って下さい! まって――いたぁい!」


 いやぁ、楽しい。

 やっぱり筋肉痛の人をいじめるのは楽しいなぁ!

 この後クシネと一緒に筋肉痛のピュセラをさんざんツンツンして遊んだ。

 なんだか久しぶりに他人の筋肉痛を弄る事が出来て非常に満足した一日だった。

 もっとも、その翌日にピュセラが自室に立てこもってストライキを起こし、大層面倒な思いをするのだが、今の俺には分かるはずもなかった……。

―――――――――――――――――――

ピュセラ・エルネスティ

【職業】 見習い魔法使い

【称号】 脳筋賢者の弟子

【状態異常】 筋肉痛 *new!

HP 142/160 *up!

MP 30/30

筋力  14 *up!

強靭力 11 *up!

魔力  10

知能  50

素早さ 15

技量  20

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