第九話:ああ愛しきプロテイン
エルネスティ家の食事は些か寂しいものである。
家長であるダンチ伯爵と、その愛娘であるピュセラしか席に着くものがいないからだ。
母は現在居らず、兄妹はそもそもいない。
強いて言うのならばクシネが彼女の姉代わりではあったが、彼女とて数多くいるメイドの中の一人。当然一緒に席に着くことなど許されない。
だがダンチ伯爵はそれでも食事の時間を不満に思ったことはない。
何よりも彼の自慢の娘が、寂しさを一切感じさせないほどに暖かさを与えてくれるからだ。
だが、普通ならば伯爵の役目を一時忘れ、父親として食事を楽しむダンチ伯爵の顔色はすぐれない。
その視線の先には、いつも以上に量の少ない食事を取るピュセラが居た。
「ピュセラちゃん。今日のご飯はそれだけかい?」
「はい、お父様! 今日はこれだけです!」
「ちょっと少ないんじゃないか? 幾ら年頃の女の子とは言え、それでは病気になってしまうよ?」
「大丈夫ですよ! 計算の上です! ――ごちそうさまでした!」
ピュセラに出された食事の量は、彼女がプロポーションを気にする年頃の少女だったとしても尚少ないものだった。
食事を行う前の祈りが終わってからそう時間は経っていない。
ダンチ伯爵などまだ出された料理の半分も食べていないにもかかわらず、ピュセラの食事はもう終わっていた。
「クシネ! クシネ!」
「はい、何でしょうか旦那様?」
「ピュセラちゃんはああ言っておるが、本当か? あんまりにも少なすぎやしないか?」
側で控えるクシネを呼びつけ、思わずピュセラの食事量に関して尋ねてしまう。
あまり年頃の愛娘の機嫌を損ねてしまうような詮索は憚られたが、それ以上にピュセラが体調を崩してしまいやしないか心配だった。
「それは……フェイルが関係しているのですよ」
「何だと!?」
クシネが告げた言葉は、ダンチ伯爵を激昂させるに十分だった。
強引な話の中で無理に仕事を押し付けたとはいえ、ダンチ伯爵はいまだフェイル=プロテインの事を認めてはいない。
そもそも、愛娘を溺愛する彼はピュセラに近づく全ての生物学上のオスを認める事はないのだが……。
それでも娘を心配する父として、今回の事は捨て置くことが出来なかった。
「あの詐欺師が! ピュセラちゃんをどうするつもりだ!」
「まぁ、ご覧になっていればわかりますよ旦那様」
「ん? どういう事だ?」
クシネはため息混じりにピュセラに視線を向けている。
いつもならば食事が終わり少し休憩すれば自室に戻るピュセラであったが、珍しい事にまだ自分の席に座っている。
それどころか、何やら懐から木製のコップと何らかの袋を取り出すと、不思議な行為を始めた。
――サササッ
コップに袋の中身を移す。どうやらそれは乳白色の粉末の様だ。
――とぷとぷとぷ、カシャ
テーブルにあったミルク。どうやら他のメイドに用意させた物を木製のコップに入れると、今度は同じ木製の蓋らしき物でしっかりと封をする。
――カシャカシャカシャ!
やがて、両手で持つと、高級バーのバーテンダーがするように勢い良く振り、撹拌を始める。
――ごくごくごく!
その上で、謎の粉とミルクが混ざった液体を勢い良く飲み始めたのだ。
「ぷはっ!」
勢い良く中身を飲み干し、まるで酒場で一気飲みをする客の様にやや品の無い声を上げるピュセラ。
彼女は空になったコップの中身を見つめると満足気に頷き、今度は腕をグッと曲げて力こぶらしき物を作るともう片方の手ですりすりと撫で始めた。
「ふぅ、また一つ魔法使いに近づいてしまいました! 体中に魔力がみなぎって来ているのがわかります!」
娘の奇行に良い言葉が浮かばない。
チラリと横目で見たクシネも呆れた表情で首を左右に振るばかりだ。
ダンチ伯爵は愛しい娘がこの様になった責任を必ずフェイルに取らせる事を固く決意しながら、恐る恐るピュセラに謎の液体について質問する。
「ピュセラちゃん。えっと、それは……なにかな? パパに教えてくれるかな?」
「もちろんですお父様! これは――」
ぱぁっと晴れやかな笑みを浮かべ、彼女は謎の袋とコップを掲げる。
ややあって、ダンチ伯爵が最近見た中でも一番のドヤ顔を浮かべると高らかにその名を宣言した。
「プロテインです!!!!」
◇ ◇ ◇
「おい、ゴミクズ」
「……はい」
正座をさせられている。
「今日はなんで呼ばれたかわかっておるか?」
「……はい」
綺麗な正座をさせられている。
本日、唐突に激怒するダンチ伯爵に呼び出された俺は現在絶賛土下座中だった。
何が何やら分からない。
とりあえず呼ばれた理由は分からないが、それを正直に言うと怒られる気がするのでイエスと答えておく。
ダンチ伯爵は相当お冠の様だ。
背後に控えるクシネが何かやらかしたのかと思ったが、俺に憐れみの表情を向けている為にその線もなさそうだった。
「お前にはピュセラちゃんに魔法を教えてくれるように頼んだよな!?」
「……仰る通りです」
「じゃあなんでピュセラちゃんが筋トレしていい汗かいてるのだ?」
「いえ、えっとその……ポリポリパール魔法症候群が……」
「はぁ!?」
「いえ、なんでもないです……」
ダンチ伯爵にはどうやら誤魔化しは効かなかった様だ。
彼が怒っている原因はこれだろうか? だがそれも違う気がする。
そもそも俺が魔法を使えない事は彼だって知っているし、ピュセラが筋トレをする理由はクシネを通じて報告しているはずだ。
じゃあ何が彼をここまで激怒させているのか……。
心辺りの無い俺はとりあえず反省しているフリを見せて怒りが過ぎ去るのを待つ。
「それにだ。あのあれ、あれはなんだ? 訳のわからないものをピュセラちゃんに飲ませよって!」
「訳の分からないもの? なんですそれ?」
――ん? なんだそれ?
ここに来て、始めて俺の知らない話が出てくる。
ピュセラに何かを飲ませた? そんな記憶は無いし、そんな予定も無い。
ではダンチ伯爵が言う訳の分からない物とは一体なんなのだろうか?
「ん? お前が飲ませたのじゃないのか!? ほら、あれだ……なんだっけクシネ」
「プロテイン……です。旦那様」
「は? プロテイン?」
「そうだ! プロテインだ!」
珍しい単語があり得ない人の口から出てきた。
なんで彼がプロテインを知っているのだろうか?
それに――ピュセラがプロテインを飲んでいるとはどういうことだ?
訳の分からない出来事に混乱気味になる中、とりあえずは怒れるダンチ伯爵をこれ以上爆発させない為、その質問に答える。
「あれは何なのだ! あれを飲むとどうなる!?」
「えっと、プロテインはタンパク質を効率的に補給できるアスリート必須の食品で――」
「御託はいい! つまり、それを飲むとどうなるかと聞いておるのだ!」
「ムキムキになっていい筋肉がつく」
「駄目じゃねぇかこの野郎がっ!」
とりあえず部屋に戻ったら説教だな……。
プロテインを勝手に飲んだ――しかも師匠である俺に黙って。
そんな羨まけしからん思いをこっそりしているピュセラに怒りを燃やしながら、俺は何故か彼女が持っているプロテインをおすそ分けしてもらう事を企むのだった。
◇ ◇ ◇
「はい、と、言うわけで俺はダンチ伯爵に怒られました」
ピュセラの自室。今日は急遽授業を取り止めにしてお説教タイムだ。
あの後自分はあずかり知らぬ事をダンチ伯爵に説明した俺は、なんとか彼を諌める事に成功する。
だがもちろん彼がそれで許してくれるはずも無く、今回の問題に関してしっかりと後始末を付ける事を命じられたのだ。
俺は何もやっていないのに後始末。
理不尽で仕方ないが言い返せないのが雇われ人として辛いところだった。
「な、なんてひどいことを! お師様の方針に口をはさむなんて! お父様は何を考えているのですか!?」
「その前に、だ。ピュセラ。俺に何か言うことは無いの?」
「……? いつもお世話になっております」
「いえいえ、こちらこそ。じゃなくて!」
じぃっと彼女の澄んだ瞳を見つめる。
吸い込まれそうな魅力をたたえる美しい瞳だが、その中に一切の悪意とか反省とかがない所が若干イラッとする。
「ほら、ピュセラ。あれよあれ、プロテインの話」
「あっ! …………えへへ」
たっぷり時間を取り、師弟が見つめ合う奇妙な時間が過ぎ去る。
謎の時はたまりかねたクシネの援護射撃によって終わりを告げる。ようやく彼女は何に関して咎められているのか気がついたらしく、ばつが悪そうに舌を出した。
「確かにピュセラにはこの前プロテインの話をした。けど、実物を用意するのはどういう事だ?」
「えっと、その……筋肉痛の時に飲むと強くなれるって聞いて、いてもたってもいられなくて。錬金術士の方に頼んじゃいました」
実はプロテインの話をピュセラにした事がある。
筋トレによる筋肉痛が酷く寝たきりだった時に暇つぶしに話してやったネタだったが、やけに食いついてしつこく聞いてくると思ったらこの様だ。
主に牛乳や大豆からタンパク質だけを抽出して作られる高タンパク食品、プロテイン。
筋肉の修復段階である筋肉痛の時に摂取すると効率的な筋量増加をはかれるアスリート必須の食品なのだが……。
どうやら彼女は自ら聞き学んだ知識と行動力だけで実物を用意してみせたらしい。
無駄な行動力とスペックの高さに呆れを通りこして感心してしまう。
だが、若い頃にプロテインを過剰に摂取する事はおすすめしない。
今回は俺の許しも得ずに勝手に行動した事も含め、少しばかり強めの口調で彼女を叱りつける。
「そういう事をする時は必ず俺に一言伝えてからするように。万が一体を壊すような事があれば後悔するのはピュセラなんだぞ?」
「うう、ごめんなさい。お師様を驚かせようと思って……」
彼女にはこの位で言いだろう。
プロテインは毒じゃないんだし、別に大量に摂取したからと言って問題が起きることもない。
しいて言うならばウ◯チが絶望的に臭くなる位だ。
それよりも、俺には気になる事があった……。
「まぁいいや。んで、その……プロテインはどこかな?」
「倉庫です。お師様」
そ、倉庫にプロテインがあるのか……!
俄然テンションが上がってくる。まさか異世界でプロテインにありつけるとは思わなかった。
アスリートの恋人、プロテイン。
二度と会えないと思っていたあの乳白色の粉に想いを馳せる。
ふふふ、ホエイプロテインかな? ガゼインプロテインかな?
あっ! もしかしたらソイプロテインかも!
ワクワク感が止まらない。
きっと今の俺はトランペットを眺めるボーイの様に純粋無垢な瞳をしているだろう。
「なんだか気持ち悪いわねフェイル。そんなにプロテインが気になるの?」
「プロテインは男の魂だから当然だ。気にならないほうがおかしい。俺の居た世界では老若男女に愛されるソウルフードだったんだぞ。プロテインを飲まない奴は死罪になった程だ!」
どうやらクシネとか言う駄メイドにはプロテインの素晴らしさは理解できないらしい。
愚か者め。
ああ、あっちの世界にもいたさ。やれ「そんなの無駄」だの「筋トレとか気持ち悪い」だの……。
挙げ句の果てには「細マッチョがいい」と来たものだ。
俺からしたらお前達のゆるふわこそ認められん。頭までゆるふわなんじゃないか?
過去、多くの女達と激論を繰り広げた記憶が蘇る中。
俺の味方はすぐ近くに存在していた。
「そ、そんな力が秘められていたのですね! それをこんな盗み飲む様な形で……お師様! 本当に申し訳ございません! ピュセラは、ピュセラは間違っておりました!」
「分かればいいのだピュセラ君。君もプロテインについてようやく理解できたみたいだね」
女は全てプロテインの敵と断じていたあの頃の俺を否定しよう。
ああ、紛れも無い事実さ。
ここにプロテインを愛する一人の少女がいるじゃないか!
ピュセラ=エルネスティ。君はまさしく俺の弟子だ!
「感動です! 感動しました! プロテイン、プロテイン凄すぎます、お師様!!」
「……だからさ、早くそのプロテインの所に案内してくれないかな!?」
「もちろんですお師様! 私のプロテイン、どうぞご覧くださいませ!」
そう、俺の目的はプロテインだ。
奇跡の再開は究極のドラマとなりうるだろう。
思わず瞳に熱いものがこみ上げそうになるのを必死で抑えながら、俺は元気よく先導するピュセラにウキウキと付いていくのだった。
◇ ◇ ◇
「なんだこのプロテインの量は! 天国じゃねぇか!?!?」
小さな馬小屋程もある倉庫の一角、プロテインが入った大きな麻袋を目の前に俺は喜びの声を上げる。
麻袋は大の大人がようやく持ち上げる事が出来るくらいの大きさで、もちろんずっしり重くその中身の量を伝えてくる。
俺は震える手で丁寧に袋を開けると、その中身をそっと掬って軽く舐める。
……わぁ! プロテインだぁ!
幸せな気持ちが筋肉に行き渡る。
決して会えないと思っていた最愛のソレに出会えた俺は、ピュセラが今までやらかした全ての事を今この瞬間、許すことにした。
「お小遣いを全部使いました!」
おお、偉いぞピュセラ。お小遣いを全部使ってまでプロテインを作るなんて感心だ。
俺も昔は食費を削ってプロテインを飲んだものだ。
必死でいちばん安いプロテインをネットで探した日々を思い出す。
あの頃の俺、輝いていたなぁ。
「ちょっとまってピュセラ。貴方のお小遣い、確か平民の家が建つくらいにはあったわよね? もしかして?」
「プロテインになりました!!」
「え?」
何やら不穏な言葉が聞こえてきたようで、思わず舞い上がっていた気持ちが冷める。
……今、家って言ったよね?
そう言えばピュセラって伯爵令嬢だよね。生粋のお金持ちでお嬢様だよね。
えっと、これ、プロテインって、今手元にあるこれだけだよね?
「家が建つくらい……?」
「しかも高級な方よ。わかりやすく説明すれば貴方のお給料の十年分」
「もしかして、この倉庫結構広いけど……」
チラリと辺りを見回す。
小さな馬小屋程の倉庫にはぎっちりと荷物が詰め込まれている。
別の食料か何かと思っていたが、よくよく見ればそれは全て目の前の麻袋と同じ物だった……。
「プロテイン専用倉庫です!」
どやぁ! っと高らかに宣言するピュセラさん。
大きく両手を広げてまるで宝物を自慢するかの様に報告してくれる。
気持ちは分かる。俺だってこれだけの量のプロテインがあったらネットに画像をアップしてさんざん自慢するだろう。
だがまて、このプロテインの量……ちょっと洒落にならないぞ!
「ど、どうするんだよ? ヤバイぞ!」
「そうよフェイル。すごい量よ、どうしましょう!」
どうやらクシネも俺の懸念に気がついたらしい。
良かった。彼女はプロテインを理解できないゆるふわ系女子だったから、この芳醇なるタンパク質よりも隠れ家的お店を探す事の方が大事だと決めつけていたんだが。
この際ゆるふわ系でも構わない。
彼女の、クシネの助けが必要だ。この量だと早急に手を打たないと駄目だろう。
――そう。
「こんなに沢山あったんじゃ賞味期限までに全部使い切れないじゃないか!」
「そう言う問題じゃないわよ!」
「保存の魔法がかかっているから賞味期限は大丈夫ですよお師様!」
「マジか、ということはプロテイン飲み放題なのか……」
えっ。大丈夫なの?
ってか保存の魔法ってなに? あ、所謂生活魔法的なの?
『ウルスラグナ』ではそういった物は無かったが、先に聞いた錬金術同様この世界は魔法と生活が密接に結びついているらしい。
ああ、ありがとう魔法。ありがとうファンタジー。
俺は目の前に溢れんばかりに積み上げられる、決して腐ることの無い宝物に目を輝かせながら、これから訪れるであろう幸福な日々をマッスル神に感謝する。
「これだけの量のプロテインを……飲み放題」
そう、これだけの量のプロテインを飲めるのだ。
値段を気にせず。思う存分に……。
「完全に心奪われているわね」
「げに恐ろしきはプロテインの魔力です! お師様ですら魅了されてしまうとは!!」
ハッと気が付き冷静になる。
危ない危ない、完全にプロテインの闇へ引きずり込まれていた。
舞い上がった気持ちを抑える。
ここで中途半端に喜んでピュセラを調子づかせては今後彼女がもっと余計な事をしてしまう。
ある程度の牽制をしなくては……。
「と、とにかく、プロテインは禁止とは言わないが、今後は節度を持って飲むように。そもそもあれは成長段階のピュセラが無理して飲むようなものじゃないんだ。 他の栄養がおろそかになって体を壊す」
「うう、ごめんなさい……」
「それに、あくまでこれは筋肉の補修を補助する為の物であって、飲んだからそれだけで力がつくような魔法の食品じゃないからな」
「そうですか。やっぱり、プロテインを飲んだだけでは魔法使いにはなれないのですね……」
「ちょっと言ってる意味分かんないけど、その通り」
とりあえずの説得は完了。
なんでプロテインを飲んだら魔法使いになれると思ったのかよく分からないが、とりあえずはこれで大丈夫だろう。
ダンチ伯爵も納得してくれるに違いない。
「分かりました。プロテインは今後控えます。ちゃんとした食事を取って、その上でプロテインを取るようにします」
「ああ、そうしなさい。ほらごらん、あそこに何が見える?」
軽く彼女の肩に手を置き、倉庫の向こうを指さす。
そこにあるのはもちろんプロテインの入った麻袋だ。
「プロテインです。お師様」
「見えないかい? プロテインが笑っているように……」
「……はい! 心なしか、微笑んでいます!」
「きっとピュセラが正しいトレーニングを学んでくれたからプロテインが喜んでいるんだよ。さぁ、これからもプロテインがもっと笑ってくれるように、一緒に頑張ろう」
「はいっ! はいっ! お師様!!」
いろいろあった。
本当にいろいろあった。
プロテインはマッスルになれる万能の魔法薬じゃないんだ。あくまで筋肉を手に入れるのは本人の努力。
プロテインはその補助をするだけでしかない。
その事を理解してやらないと、プロテインも浮かばれない。
でももう大丈夫。
プロテイン笑ってる。プロテイン喜んでるよ。
良かったねプロテイン。俺も、嬉しいよ!!
「ねぇ、感動してる所で悪いんだけど、結局このプロテインはどうするの?」
俺とピュセラがプロテインに話しかけていると、冷ややかな瞳のクシネがプロテインの処理について尋ねてくる。
ふむ。ピュセラも飲むし、今後は俺も飲む。
だがこの量だと流石にちょっと使いきれないだろう……。全部なくなるのは果たしていつになるのやら……。
「とりあえずダンチ伯爵の食事に混ぜておけ。どうせ分からねぇよ」
そういやダンチ伯爵には理不尽に怒られた恨みがあった。
この際彼にも協力してもらおう。
その後ダンチ伯爵の食事は三食全てプロテイン入りの料理となり彼が微かにマッチョ化するのだったが、それはまた別の話である。
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ピュセラ・エルネスティ
【職業】 見習い武闘家 *new!
【称号】 プロテイン大好き *new!
HP 210/210 *up!
MP 30/30
筋力 21 *up!
強靭力 17 *up!
魔力 10
知能 50
素早さ 19 *up!
技量 21 *up!
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