ENEMY OF K@REHA
第1話です。
ー4年後
私は白い部屋の外の世界に立っている。
正確には戦場。20年前に突如シベリアに出現した外敵《LIFE-LESS》によって人類は瞬く間に生活領域を失った。
現在地は中南米コスタリカの戦略拠点基地。あれから私は壊滅した《研究所》を後にした。現在はアラスカで彼に出逢って組織のメンバーとして世界を旅をしている。
電動バイクの充電に立ち寄ったつもりだったが30分前に現れた《LIFE-LESS》によって襲撃を受け、戦闘状態にあり、増援の要請がなされている。
先程まで隣で銃を構えていたポールマン伍長が具合悪そうに状況報告をする。
「カレハ嬢、type-rail gunのタートルが前方200メートルに1機、増援はtype-chariotのスパイダー2機と交戦中…増援は期待できないですね…」
基地の自動迎撃システム《SAD》を突破し、第2防衛線に差し掛かりつつある敵は金属のフレームをゆっくりと前進させながら基地機能に物理的ダメージを与えていく。亀を連想させるフォルムからは計4機の電磁加速砲が唸りを上げている。
「友軍継戦力47%減退。第3格納エリアに被弾。…流石に基地ごと《モノリス・バースト》で自爆放棄するかもしれないですよ、これは」
こんなところで人生終了なんて冗談じゃない。『カレハ』のこともまだ分からないことが多いのに死ねない。
「…《flight-carrier》は待機させてあるでしょ、それでこの場の全員を脱出させて」
「的になるだけですよ」
「私がアレの相手をする」
はっきり言って無茶苦茶だ。滑空砲でダメージを与えられない相手に生身で勝てるはずがない。…『カレハ』以外では…
『カウント開始…5、4、3…』
カレハ…私はまだ死ねないから…私と闘って…ッ
『2、1、burst!』
《flight-carrier》は滑走路を走り始める。
タートルがそれに気づいて砲塔を傾ける。
だけど、私は、『カレハ』は既に敵を捕捉している。
『カメさん、遅いよっ』
右手に握られた白亜の銃《Code-K@REHA》のトリガーが引き絞られる。
世界は劇的にそのカタチを変える。
無骨な亀の甲が、砲塔が消し飛ばされる。一瞬で地面を抉り、その巨体を分子レベルまで分解し霧散させて、その残滓がゆっくりと世界に溶けていく。
これが私が、『カレハ』が持つ能力《mono-material》、人類が《LIFE-LESS》と武力で渡り合うために用意した切り札。
そして、これが私。たった3人しかいない《Designs》の1人。
この日、人類は南米最後の防衛戦を失った。
頭上を《flight-carrier》が横切る。
『こちら、ポールマン。カレハ嬢、パナマの海上部隊から入電です。『対《LIFE-LESS》戦略部隊《liberty》カレハ=キルシュタイン特尉に新たな作戦要項です』
「次は、どこの国かな…?」
レビューや感想、アドバイス等々よろしくお願いします。