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ご近所防衛隊13 ランドセルマーチ

 桜吹雪、花吹雪。黄色いカバーの掛かった真新しいランドセル。

 あちらの路地からランドセル。こちらの道からランドセル。

 黄色い滴が集まって、何時しか大きな河となり、学校と言う名の海へと注いで行く。


「菜都美ちゃん。それじゃ宜しくね」

「はーい」

 大人の目に、踏みつぶしそうな新1年生の手を引いて学校へ向かうの女の子。

(「どのクラブ入ろうかな? 写真部も良いけど、友達沢山出来るとこ無いかなぁ」)

 新4年生。上級生になるとクラブに入れるので楽しみにしていた。

 そんな気持ちで通学路を進んで行くと、

「はい」

 お兄さんがパンフレットを配っている。

「今度、中学生と小学生の合唱団を作るんだよ。良かったら応募してね。あ、それから。これは近くの塾の案内です」

 興味を引かれて受け取り畳んでポケット。


 数楽塾。何故か5年生の入塾者多数で新しくクラスを新設。

 塾関係のジョーカーメンバーが精力的にセールスしたせいでもある。今度中学生になるメンバーの強っての希望を容れて、地域のコーラスグループの話も動かした。ためにハムは多忙である。

「算数だけじゃなくて他の教科もですか……」

 要望書を手に思案するハム博士。

 教科を算数に絞ったのは理由がある。算数ほど成果が目に見えて解る教科も少ないからだ。積み重ねの教科であると同時に、基本をマスターすればてきめんに結果に現れる教科でもある。位取りがズレぬよう丁寧に書き、補助算と検算を徹底するだけでも、確実に成績UPする教科。その上、これらがそのまま受験にも通用する基礎学力となる点で、他とは一線を画していた。

「いかんせん手が足りません。国語は実力が備わるまで時間が掛かる教科ですし、現物が無ければ理科とは言えません」

 ようは塾経営として、教材費や人件費のパフォマンスが算数よりも悪いのだ。

「さしあたって、人員を増やしましょうか……」

 呟いたハム博士は、講師募集に踏み切った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【応募問題】

 あなたは以下の内容をどう教えますか?


<1>整数と小数


 東山マラソン


 東山競技場→東山城(8.12km)→東山公園(18.27km)

→東山タワー(21.9km)→折り返し地点(26.213km)

→東山駅(32km)→東山競技場(42.195km)


 マラソンは42.195kmあります。


 小数や整数の表し方の仕組みを調べましょう。


[1]42.195と言う数の仕組みについて調べましょう。


一番左の4は10の位ですから、10が4つ有ることを表しています。


 4 2.1 9 5

十 一 小小 小

の の 数数 数

位 位 第第 第

     一二 三

     位位 位


★1.一の位はどんな大きさを表していますか。

  また、ほかの位の数字についても考えましょう。


42.195は、次のような仕組みになっています。


42.195=10   ×4……40

      +1    ×2…… 2

      +0.1  ×1…… 0.1

      +0.01 ×9…… 0.09

      +0.001×5…… 0.005

               ――――――――

                  42.195


★2.□に当てはまる数字は何でしょうか。

  605.9=100×□ + 10×□ + 1×□ +0.1×□


 0から9までの数と小数点を使うと、どんな大きさの整数や小数でも

表すことが出来ます。


(1)□の中にカードを当てはめて、色々な数を作りましょう。

 また、一番大きい数と一番小さい数を言いましょう。


 □□.□□□


 (カード)[8][3][1][5][7]

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「該当者が居るかどうか難しいわね」

 パソコン画面に映るペルソナ、ノアが否定的な笑みを浮かべた。


 さて、ジョーカー組織の息が掛かっていると目される数楽塾の募集広告を見て、ジャスティス側も対応する活動を開始した。

「これ、五年生の教科書の4ページだね」

 幼い司令は首を傾げる。

「難しい課題ですね」

 ケイは画面にもっと簡単な問題で方向性を示した。

―――――――――――――――――――――――――

問題

100を45個集めると幾つになるでしょう


4000――100を40

            >合わせて45

 500――100を 5


方法1.ジャンプ問題の分解

・板書(説明を入れない)

100を3こ= 300

100を7こ= 700

100を15こ=1500

100を45こ=4500


方法2.そっくり写させる。

・指示

下に答えが書いてあります。指さしてごらんなさい。

「4000は100を40、その下に500は100を5、合わせて45」

そっくりそのままノートに写しなさい。

―――――――――――――――――――――――――

「ケイが講師に応募したら?」

 ペルソナである事を百も承知で幼い司令は言ってみた。


●講師断念

 土管下の秘密基地。難問を目の前にジャグルス・ディセンバーは脂汗。

「なぁヒロ。塾ではどんな風に教えてるんだ?」

 藤堂緋色は頷いて

「そうだね。時間が来ると挨拶しとかしないでいきなり始まっちゃう。教科書のページを言って」

 緋色はいつもの先生達を真似て、冒頭をやって見せた。


・ノートの新しいページを開き、1.整数と少数と書きなさい。

・日付もページも書きなさい。

・教科書の4Pを見なさい。色々な距離が書いてあります。『マラソンコースは……』を一緒に読みます。さんはい。


「こんな感じかな? 大体指示と指示との間は5秒くらいだったと思う」

「なんか、俺の時と違いすぎる……」

 ジャグルスは早々に自信を無くした。いつも見ている緋色の方が講師に向いていそうだ。

「やっぱり講師潜入は諦めたよ」

「んー。じゃあ、生徒として入るのね? だったら最初から、頭がいいんですってアピールしておくとか。空き時間にヒロが勉強のこと教えてもらったりする姿を見たりすれば、周りにもジャグルスの頭の良さを印象づけられるかも!」

「あそこは進学塾じゃなくて、どっちかというと補習塾だよな。塾に行く理由を付けなければ」

「んー。和気藹々なとこだから、友達作りのためって言うのは? ジャグルスはちょっと気難しく見えるから、違和感無いと思うよ」

「解った。その路線で行こう」

 ジャグルスは腹を括った。


●あんたが大将

 楽器店。3階の楽譜と合唱CDのコーナー。

「……青森の新しい中学校だと混声6部合唱なんて校歌があるそうだけど、そこまでいかなくとも音の重なり合った瞬間ってすごく気持ちいいんだよねぇ」

 宇佐美・冬慈が楽譜を探していると、駆け足で怪談を昇ってくる音がする。南風極楽丸だ。

 フロアに入るなり、

「目移りするな……」

 極楽丸はキョロキョロと辺りを見渡す。お目当ては、パート毎に録音された教材用CDだ。合唱は主旋律以外のパートが重要であるのに、なかなか馴染めないのはパート別の物を聞く機会が少ないからだ。

「あれ? ぴーちゃん。なにやってんの?」

「お前こそ」

 出くわしたのは暴行女こと緋月。制服姿のせいか、やけに大人びて見えやがる。事情を離すと

「このコーナーだよ。それにしてもあんたがねー。大変だよ。生暖かい目で応援してあげる。あ、冬慈君も何か探しているの?」

 緋月は、彼も合唱団の曲選定でしかも初代リーダーが極楽丸と聞いて、笑いながら楽譜選びに協力してくれた。

「そうか。アンパンマンかぁ。これならちっちゃい子も馴染めそうだな」

 極楽丸はこれに決めた。

「歌詞とか、結構深いよこれ」

「そうですね。知らない子は居ないでしょう」

 冬慈の希望にも適う。何年も放映しているので、世代を越えた認知度があり、メロディーも馴染みっぽい。

「あとさー。コーラスとか合唱団って聞こえが真面目っぽいってか固いよな。なんかクールかつ気軽に入りやすい名前ってないもんかな」

「ぴーちゃんが大将でしょ?」

 そんなものは自分で決めろと笑う緋月だった。


●お引っ越し

 本腰を入れてジャグルスは知立に腰を据える事にした。普段の姿で部屋を借り、コスチューム[蕾]で変身した姿・ジャン・ノエルと同居している親戚の『お兄さん』。二人一役と言うことだ。

 子供服の洗濯物に、流行の少年漫画も定期購入。

「本格的だな。ついでに私も、時々様子を見に来る親戚と言うことで……」

 部屋の中から志雄座衛門の声。

「おぉい! いつからそこにいた!」

「変身最中に何かあって、保護者が行かないと拙い場合もあるんだな。万が一の場合に備えてお助けに来た」

 一理ある。

「それは判ったが。そっちは何でそこにいる?」

 西洋甲冑姿の絶望より暗い物。その目立つ姿をご近所に見られていたらと思うと、頭がくらくらとしてきたジャグルスであった。

『仕事仲間で、本業がサンドウィッチマンと言うことにしよう』

 フリップに書く甲冑。

「ほい。これで全快だ」

 治療を終えた志雄座衛門はコスチューム[蕾]で子供の姿になる。

「やっぱり、あんただったか」

 ご近所でH君と呼ばれている子だ。

「判った……頼む。ボロ出す訳する訳にもいかないからな」

 ジャグルスは不本意なものを感じながらも承知した。

「ゲームや攻略保線にも目を通した手方がいい。話題が合わないととけ込めないんだな」

 ゲーム機に中古カセットをごそっと置いた。

 オモチャ業界など、子供がターゲットの業界には一つのセオリーがある。それは『11歳を狙え』だ。子供の文化は小5を中心に生まれ、そこから上と下に伝播する。つまり、オピニオンリーダーなのだ。そして幼稚園児にまでブームが降りてきた辺りでお終いである。ごく希に幼稚園児より前に大人にまで広がることもあり、その時は国民的ブームとなる。

「白バラ黒バラと同じ学年に合わせたが、まずったかな? どう思う志雄座衛門」

「べつにー」

 彼は、既に思考が適応していた。


●ヒロ閣下

 学校近くのおまじないショップ。

「ヒロ。お茶を飲んで行かない?」

 烏鳩先生に呼び止められて店の中に入る。緋色と一緒にいたために、成り行きで声を掛けられるH君とジャン。注がれるジャスミンティーに添えられるおみくじクッキー。

「あははは。最悪の運勢だね。でも、新しい友達を作ると最高の結果になるって書いてある」

「こういう物は確率だからな。大凶引くのは大吉引くより稀なことだぜ」

 ジョンはまるっきり信じてない。

「ねー。ヒロ。こういう物があるんだけど」

 烏鳩は新しく出来る合唱団のパンフを渡した。


 その緋色達の様子を伺う一人の少年。子供姿の武道だ。ショップを出た緋色を密かに尾行する。目的は取り巻きの誰がジャスティスであるかを確認するためだ。ヒロ閣下ほどの大物を、単身で潜入捜査に当てるとも思えない。

「?」

 武道は自分の後ろに迫る気配を感じ、さてはジャスティスの護衛かと仕掛ける。十字路で緋色達が右に折れるや、武道は歩を早め左に身を隠した。

「……ダヴ」

 正体を確認した武道は苦笑い。

「そんな格好で何やってるんですか?」

 今のどさくさで緋色達を見失って仕舞ったことは言うまでもない。


●心のハーモニー

 四月初旬。

 下は年長さんから上は高校生まで。知立の地域住民有志によるサークルが誕生した。この運動には知立小の、戸島先生他の若い先生方も協力しているようだ。

「初めにご家庭の皆様にお断り申し上げます。私たちはコンクールで優勝を狙う等を目的としません。地域に根ざした子供達の年代を超えたコミュニティーを作ることが目的です」

 不思議そうな顔をするお母さんがいる。

「子供達が学年を越えた交わりを持たぬ無くなって何十年経つでしょう? 現在、年齢が違う子供達が交わる機会は、幼稚園や保育所、そして学童保育くらいなものでしょう。ご家庭でも一人っ子が多くなり、年上や年下の子と接触を持つこと自体稀な出来事となっています。結果、何が起こったでしょう? 今の子供達は、放置すれば人と交わる術を学ぶ機会のないまま成長し、どうやって友達を作って良いのかも判らず、他人の気持ちを推し量ることも出来ない大人になってしまいます」

 ハムは、学校でわざわざ友達の作り方を教えている現状を示した。

「かつてはどんな子供でも、年下の子と遊ぶことによって幼いうちから自然と指導力の訓練を受けてきました。責任者としてどう振る舞えばよいのかを、年下の子から学びました。しかし、今ではどうでしょう?」

 ハムは間を取り見渡す。

「私たちの合唱団は、子供達の学年を超えたコミュニティーを作ります。私たちが掲げる目標は『心のハーモニー』です。これはなにも歌うことだけではありません。この主意に賛同出来るご家庭のお子様だけ、加盟して頂きます」

 プリンタで打ち出されたカラーパンフが配られる。

「この教材費って何ですか?」

「著作権法が五月蠅いご時世です。全員、オリジナルの楽譜を購入します。そのうち、私たちのオリジナルも創りますよ」

「制服とかは要らないのですか」

「普段着で充分です。別にコンクールに出る訳でも、TV番組で歌う訳でも有りませんからね」

「あのう……塾や習い事とかとぶつかる場合は……」

「出席は自由です。練習には参加できる時だけいらして下さい。途中から参加しても、練習の時間が終わってから来ても構いません。目的は子供達のコミュニティーなのです。但し、それを決めるのはお母様では無くお子様ご本人で無ければなりません」

 ご家庭からの質疑。少なくとも合唱団の存在は地域に認識されたようだ。

「全てぴーちゃんの希望通りになっただすな」

 保護者に紛れ込んだブドウ・サイモンがほくそ笑んだ。


●塾開き

 数学塾。最初の授業はオリエンテーリング。

「みなさんにプレゼントです。どんな子でも算数が出来るようになる魔法のアイテムです」

 そう言ってハムから渡される塾特製の1冊100円の22行ノート・プラスチックのミニ定規・削ってある赤鉛筆1本と1ダースのBの鉛筆。

「シャープベンシルとボールペンは使いません」

「使っちゃ駄目ですか?」

「駄目です」

 即座に応えるハム。 

「みなさんは学校で教科書を使ってますね? 塾でもそのまま使います」

 ご近所の小学生である。その大半は知立小の子で、皆知立市の子供。教科書は同じ物を使っている。

「プリントは使わないんですか?」

 一人の子ががっかりのしたように質問した。

「使いません。プリントでお勉強すると算数が出来なくなります」

 ハムははっきりと言い切った。


「ヒロ……随分変わった塾だな」

 ジャンが緋色にぼそり。ほぼ同じやり方である戸島学級の子以外は戸惑う。

「学校と同じ物を使うと、便利だよね」

 病気のせいで勉強が遅れている冬慈がほっとした一言。塾と学校のどちらかで判ればいいのは気が楽だ。

 その日は、ノートの使い方などの説明で授業が終わった。


●インド人の先生

 数楽塾。5年生のクラス最初の授業である。

 その日現れたのは、インドから来たシュリーマティー・ヤクシャ先生だ。

「九九の復習をします。二一が?」

「2」

「三五?」

「15」

 そうしている間に、遅れてきた子が慌てて席に着き、新しいページを開きいて日付を書く。

 頃合いを見て、

「ノートに(1)と描きなさい。丁寧に、美しく、出来れば早く書くんですよ。丁寧に大きく書くと出来るようになります。ぐちゃぐちゃだと絶対に出来るように成りませんからね」

 言いながら


(1)4+2


 と板書して、

「+や=はミニ定規を使って書きます。出来た人から見せに来なさい。見せるときには両手で持ち、先生の方に向けて出しなさい。反対に出しても見ませんよ。雑だと×を付けてやり直しです」

 5年生である。1年生の足し算が出来ないわけがない。

「早いですね。黒板に式と答えを書いて下さい。ちゃんと定規を使うのですよ」

 先に合格した10人に、10等分した黒板に式と答えを書かせる。書き終わったら机に戻って赤鉛筆で丸を付けるのだ。

「出来ない人は黒板を見て写しなさい。写すのもお勉強です」

 早い、待ってと言っても待たないのがこの塾の御約束だ。

 次にシュリーは


(2)4m+2


 と、板書。(1)と同様に持って来させる。シュリーは嬉々として持ってきたノートに大きく×。

「間違いは消さずに、赤で書き直すこと。消したら算数の力は付きませんよ」

 緋色も含め全員が×であった。3回チャレンジした霧華も正解できない。

「皆さん。授業中に間違えた問題は、家でもう一度やって貰います。やってこなかったら、休み時間にやって貰いますよ。算数は必ず間違えます」

「先生。どんなに考えても出来ません」

 霧華が口を開いた。みんなも頷く。

「この問題は、判らないのですか? それとも出来ない問題だと言うのですか?」

 シュリーの揺さぶりに霧華は口をつぐんだ。

「出来ない問題だと思います」

 答えたのは葉月。

「ご名答!」

「えー?!」

 シュリーが示す正解にざわめく教室。

「誰でも間違えます。でも、どんなに間違えても、赤で写している内に出来るように成るんです。前に九九が出来ない五年生が居ました。毎回キチンと写して家でやり直すようにしていたら、6年生になって85点が取れるように成ったんです」


 以降、

(3)4÷2(2)

(4)4m÷2(2m)

(5)4÷2m(出来ない)

(6)4m÷2m(2)


 このあたりになると、×をもらうことに対する抵抗も薄れ、何も言わなくとも÷の横線に定規を使う子が現れた。


(7)4×2(8)

(8)4m×2(8m)

(9)4×2m(8m)


 このあたりになると熱気がみなぎって来る。


(10)4m×2m


 最後は難問だった。なかなか正解者が出ない。次々と×を貰う子が出る中。1回で丸を貰う子が出た。

「えー!」

 病気のためかなり勉強が遅れている冬慈。逆転現象である。

 2回目で葉月と霧華、3回目でジャン、4回目で緋色が丸を貰う。

「時間切れです」

 正解は8平方m。長方形の面積だ。


 シュリーは授業の締めくくりにこう話す。

「算数が出来ると思っている子は、自分が思っているほどに出来ないのです。出来ないと思っている子は、自分が思っているよりも、出来なくは無いのです。大切なのは、丁寧に言われた通りにやって行くことです。一緒に算数が出来るようになって行きましょう」

 終わりのチャイムが鳴るのも、学校と同じ。


 授業が終わった後、玄関で屯する子供達を送りながら、インドの話を聞きたがる子供にシュリーはちょっとした話をした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 0から9までの数字と小数点があれば、全ての整数と小数を扱うことが出来ます。

この0と言う数は、今から1500年ほど前、インドで発明されたと言われています。

 458年に記されたシャイナ教の教典・ロカヴィバーガに位取りによる数やゼロを表す

言葉が書かれていて、インド式記数法とゼロの意味を伝える最古の文献とされています。

 インドでは、一億二千三百四十五万六千七百八十九を一ヴィアルブダス・二コオティス

・三プラユタス・四ラクサス・五アユタス・六サハスラ・七シアタ・八ダシァン・九

と言うように一桁づつに名前を用いました。

この結果、空位の場所にゼロを入れておく必要が生じたのです。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


●ライトスタッフ

 そして合唱団の結成の日。結成式に集まった保護者や参加希望者の前でハムの挨拶。続いて創始メンバーである子供達が壇上に上がる。極楽丸・武道・冬慈・霧華・葉月の5人だ。

 3部合唱で歌うアンパンマンのマーチ。伴奏はシュリー。ハムの発明した自動演奏装置は、予めセットしてある譜面データに基づいて主旋律に合わせてキーのリズムを取れば良い優れ物だ。指二本で誰にでも弾ける。

 音色はオルガン。鍵盤ハーモニカのような感じで、息の吹き込み方で音色の表情に変化を付ける仕組みだ。

 間奏が流れる中。葉月が呼びかける。

「歌は人の心を和ませ、笑顔を呼び、優しくします。本当に歌の下手な人は世の中にはいません。心を込めて楽しく唄えば、それは人の心を打ち楽しませる事が出来るのです。私たちは胸を張って皆仲良く頑張っていきたいと思います」

 冬慈は壇上から子供達の様子を眺める。

(「この中に、他の人のいう事を一発で聞いてくれないような子は何人居るかな?」)

 言われた事を『出来ない』子ではなくて、『しない』や『聞かない』は。

 塾では学校と違ってお勉強が出来るようになることが目的に来る子が多いから、居てもあまり目立たない。シュリーも烏鳩も、ハムの指導方法に合わせてアドバルーンを潰している。

 でも、縛りが少ない合唱団なら目立つはず。歌いながら冬慈は、そう言う子のほうが向いて居るんじゃないかと考えていた。


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