2章Aパート
【8月5日】
この日、俺と智瀬、それに夏美は学校に来ていた。
夏休み中なのに登校とかマジでだるい。
何故に学校なのかというと夏期講習があったからだ。
俺と智瀬は物理。 学年が違う夏美は数学。
普通に宿題もある中で何故講習など受けなければいけないのか。
俺の担任曰く、『講習受けないとこの後大変』なのだという。
全くもってダルい。
というわけで、俺は適当に講習を受けたわけだ。
「さと君、それでいいの?」 と智瀬には苦笑されたが気にしない。
さて、講習が終わったので帰るとする。
俺は智瀬と一緒に肩を並べて廊下を歩いていた。
「ん?」 ふと、遠くで誰かがこちらに向かって手を振っている。
「あれって、夏美ちゃんじゃない?」 智瀬は目を丸くして言った。
「本当だ…あいつ、何やってんだ?」
そんなことを思ってると、手を振りながら俺に駆け寄って・・・。
ガスッ!!
「ぐほっ?!」
何故か、俺の鳩尾に肘鉄を食らわせた。
「げほっ…げほっ」 咳き込む俺に夏美は悪戯な笑顔を見せて。
「お兄ちゃん、一緒に帰ろうっ」と言う。
「お前・・・普通に登場できないのか?! 大体なんだよ、今のフライング肘鉄は?!」
フライング肘鉄、そんな技が実際あるのかは知らないが。
「え? こっちの方が私らしくない?」
こっちってどっちですか・・・。 もう訳が分からない。
「ね? ね? いいでしょ?」
夏美の笑顔の矛先は智瀬にいった。
「えっと…うん、私は構わないけど」 と智瀬は苦笑交じりに答えた。
「やったぁ! それじゃ行こう!」
「・・・・・・」
鳩尾を手で抑え、不機嫌そうな俺など何処吹く風で。
夏美は智瀬の手を引き、スタスタと歩き出した。
「ちょっ 待て! 俺を置いて行くなぁ!!」
俺も慌てて二人の後に続く。
夏美は笑っていた。 不自然なくらいに。
しかし、その時の俺は“それ”を気にも留めていなかった。