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「奥様は雪女」(セーラー服と雪女 第11巻)  作者: サナダムシオ


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9/9

⑨ 彼のコレクション

「杉浦君、テスラ先生を、お部屋にご案内して。」

 サン・ジェルマンが会合を一旦お開きにした。

「かしこまりました。」

 鷹志が彼をエレベーターに乗せて行った。

 そう言えばアレの乗り心地、以前より改善されたわね。

 京子は今さらのように、そのエレベーターでの、かつての不快な体験を思い出した。

 

「さて、我々も一休みしましょうか。さすがに疲れましたね。」

 サン・ジェルマンに声を掛けられ、京子もどっと疲れが押し寄せるのを感じた。いくら不老不死でも、不死身でも、痛みは感じるし、疲労とも無縁では無いのだ。


「ねえ、貴方、もう一つ訊いてもいいかしら?」

 京子には、まだ疑問が残っていた。

「なんなりと。マイハニー。」

 一仕事為し終えたサン・ジェルマンは、何だかゴキゲンだ。


「貴方、どさくさに紛れて❝コレが初めてじゃない❞って言っていたような…。」

「ああ、やっぱり聞こえてました?」

「貴方はいつもサラリと、聞き捨てならないことを言うわよね?」


「なにしろ、生まれつきウソがつけない性格なんで。」

「…よく言うわよ。それで?それは、どういう意味なのかしら?」

「言葉通りの意味ですよ。この行動は、前にもやったことがある…。」


「⋯つまり、過去にも歴史上の人物を保護した事があると⋯?」

「はい。正にその通りです。」

「どんな人物を?」


「死因のよく分からない、不審な死を遂げた人物や、結局死体の見つからない、行方不明の人物などから、私のコレクションの趣味に合う方を選んで⋯。」


「⋯まさかその中に、織田信長とか、アドルフ・ヒトラーとか、そういう危ない人は居ないでしょうねえ?」

「⋯さて、どうでしょうか?まあ、貴女は私の大切なパートナーですから、コレクション・メンバーには、いずれ必ず会わせて差し上げます。楽しみにしておいて下さい。」

 そう言うと、彼は意味深な笑顔になった。


 まったく、つくづく食えない男である。

 そう言えば初めて出会ったころ、自分は投資家でコレクターだと、自己紹介してたわね。

 そんな懐かしい事を、今さらながらに京子は思い出したのだった。


 同時に、今後どんな歴史上の偉人に出会う機会があるのか、不謹慎にも楽しみになってしまうのだった。


 それにしても、彼の行いはどう考えても、あの真田雪子より、数段大掛かりな時空介入である。

 4次元や5次元の住人たちから、睨まれたりしないか、京子はふと、心配になったりもしたのだった。


挿絵(By みてみん)


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