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「奥様は雪女」(セーラー服と雪女 第11巻)  作者: サナダムシオ


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⑥ 時空のカーチェイス

 車窓から見える風景が歪む。

 シルバーのビートルは時空を越えつつあった。

「テスラさん、乗り心地はいかがかしら?」

 ちょっとした好奇心から京子が尋ねる。


「アドルフ・ヒトラーの❝肝いり❞で作ったドイツの国民車が、まさか空を飛ぶなんてね…驚いたが、乗り心地は悪くないね。」

 テスラは車内をあちこち見ながら答えた。

「実はコレ、私が特別にカスタムさせたものなのですよ。」

 サン・ジェルマンが自慢げに口を挟む。


 しかし次の瞬間、サイドミラーに映る影に気づいた彼は、緊張した声になった。

「おやおや、追手ですねえ。この空間に入れるということは、どうやら向こうにも、似たようなカスタムをする者がいるようです。」

 京子とテスラが振り返ると、黒い❝キャデラックシリーズ60スペシャル❞が、ヘッドライトを光らせて、追いすがって来ていた。


「仕方がないですね。あまり手荒なマネは、紳士のスマートな振る舞いとは言えませんが…。」

 そう言いながらサン・ジェルマンは、コンソールボックスのスイッチを、おもむろに一つ選んで押した。


 するとビートルの後部ドア…つまりリヤエンジンフードだが…が開き、中からピンク色の、テニスボールのようなものが一発、発射された。

 それがキャデラックのフロントフードに当たって弾けると、ピンクの膜がクルマ全体を包み込み、そのまま機能停止に追い込んだのだった。


「殺傷能力はありませんよ?念のためですけど。」

 彼は京子に言う。

 私だってイタズラに人を殺めたりしないわよ。

 と、彼女は思った。


「しばらくしたら、あの膜の効果が無くなって、彼らは無事に帰路に着けるでしょう。これに懲りたら、❝サン・ジェルマンには関わらない方が良い❞とは思ってくれないかな?」

「あら、随分とお優しいこと。」

「私はいつだって紳士ですよ?」


 テスラがそんな二人のプチ痴話げんかを見せられているうちに、いつの間にかビートルは、目的地に到着していた。

 場所は名護屋市中区錦のセントラルパーク前。

 そこから地下の駐車場へ入って行く。


 現地の時刻は22時ごろだろうか?

 三人は車から出ると、エレベーターへ乗り込んだ。

 そして見かけ上はTV塔の展望レストランの、異空間アジトへ帰って来た。


 エレベーターの扉が開くと、ウエイター兼スタッフの若い男が待っていた。

「お帰りなさいませ、旦那様、奥様。それに、テスラ様も。サン・ジェルマン城にようこそ。」

「ただいま、杉浦君。」

 京子がニッコリ笑って挨拶を返す。

 そう、その男はあの元神童、❝杉浦鷹志❞だったのだ!


挿絵(By みてみん)

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