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「奥様は雪女」(セーラー服と雪女 第11巻)  作者: サナダムシオ


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5/9

⑤ FBIの急襲

 簡単に身支度を整えてたニコラ・テスラを連れ出すと、二人は部屋を出て急ぎエレベーターへ向かう。


「膨大な資料は、置いて来ても良かったのですね?」

 速足で歩きながら、気になっていたことを京子が彼に尋ねる。

「ああ、全ては私の頭の中だ。あそこに置いてきたのは、その過程の産物。もしもそれを、誰かが上手く利用できたとしても、できるものはせいぜい電子レンジとかドローンの類までだよ。大したことは無い。」

「…そうなんですね。」

 さすがは天才発明家だわ。京子は今さらながらに感心した。


 エレベーター前に着くと、京子が下りのボタンを押して呼び出す。

 すると、隣のエレベーターが昇って来るのが分かった。

 こちらのエレベーターが先にフロアに着いたので、三人は急いで乗り込む。


 ほぼ同時に、隣のエレベーターがフロアに到着し、中から黒いスーツを着た男が二人出て来るのが見えた。

 こちらのドアが閉まるタイミングで、双方の視線がぶつかる。

 エレベーターが降下を始めた。

「たぶん、逃げ切れると思いますが…もしもの時は頼みますよ、雪女の京子さん?」

「いいわよ。任せて。」


 エレベーターが一階に着く。

 扉が開くと同時に、京子はフロア全体に素早く視線を走らせる。

 右のバーに二人。

 左のラウンジに四人。

 どの人物も、先ほどの二人とお揃いの黒いスーツに黒いネクタイ。

 オマケに夜なのに黒いサングラスだ。


 サン・ジェルマンがテスラをエスコートして、急ぎ足でエントランスに向かい、京子が目を光らせながらしんがりを務める。

 エントランスのドアが開く。

 左の黒いスーツたちに気づかれた。

 こっちに向かって走って来る。


 京子にとっては好都合なことに、折しも外では雪が降り始めていた。

 彼女はほぼ一瞬で、隙間から入って来る雪と冷気を使って、ドアを塞ぐ形に氷の壁を作った。これでしばらく誰も出られないはずだ。


 ホテルの外に出ると、急いで停めてあったビートルに乗り込む。

 まず前席を倒して、後部座席にテスラを。

 こんな時、2ドア車はもどかしい。


 バリン!

 その時突然すごい音がして、ラウンジスペースのガラスが割れた。

 なんと体当たりで、そこからバラバラと追手が出て来たのだ。


「しつこい男は嫌われるわよ?」

 そう言いながら、京子は瞬時に男たちの手を、持っている拳銃ごと凍らせ、次いで彼らの足元の地面も、ツルツルの氷にしてやった。

「今日が寒い日で助かったわ。じゃあね。」

 次々に転んで、うまく身動きができない男どもをしり目に、京子は余裕で助手席に乗り込んだ。


「お見事ですね。」とサン・ジェルマン。

「こんなの朝飯前よ。夜だけど。」と笑顔の京子。

 そしてびっくり顔のテスラ。

「今のはいったいどういう…。」


「説明は後でゆっくりと…それより早く出発しましょう。」

 サン・ジェルマンはそう言うと、例のアジトの座標を入力して、クルマを垂直上昇させ、すぐに時空ジャンプに入ったのだった。


挿絵(By みてみん)

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