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「奥様は雪女」(セーラー服と雪女 第11巻)  作者: サナダムシオ


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2/9

② 彼の旧友

 たまには貴方の希望する旅に付き合ってあげるわと、京子が提案したので、サン・ジェルマンはいつにも増して上機嫌だった。


 早速二人で旅の準備を整えると、ビートルに乗りこんだ。

 いつものように彼が座標を入力する。

 1905年12月1日14時。北緯40度57分。西経72度52分。

 比較的最近ね。場所は…ニューヨーク州かしら?

 京子もだんだん緯度経度表示の読み取りに慣れて来た。


「実は今から会いに行く人物は、京子さんに出会う前から、これまでも継続的に、何度か会いに行っているのですよ。」

「あら、かなりのお気に入りなのね。貴方もスミに置けないじゃない?」

「誤解のないように付け加えるなら、相手は男性です。」

「へえ、未来には男性同士の恋愛もあるのでは?」

「やだなあ。私は今や、京子さん一筋ですよ。彼は大切な友人です。」

「…そうだといいんだけどね。」


 二人がそんな軽い痴話ゲンカのような会話をしているうちに、クルマは無事に目的地に到着した。

 外に出ると、目の前に、高圧電線をつなぐ大きな鉄塔のようなものが真ん中に刺さった、研究所らしき建物があった。

 それは何となく、真田雪子の研究所を彷彿とさせたが、京子はすぐその忌々しい連想を打ち消した。何で今あんな女のことを思い出しちゃったのかしら?


「さあ、こちらへどうぞ。」

 サン・ジェルマンはそう言うと、それがまるで、勝手知ったる我が家であるかのように、京子を誘ってスタスタと中へ入って行く。

 そのまま建物内部の中央ほどの場所まで出ると、大きな円筒形のマシンが鎮座しており、その傍らの椅子に一人の男性が静かに腰かけていた。


 

※ 例によって、以下の会話は英語でなされているが、物語の進行上、日本語で表記されることをお許し願いたい。



「やあ、久しぶり。また来ましたよ。」と挨拶するサン・ジェルマン。

「ああ、キミかあ。元気にしていたかね?」とその男。

 どうやら知り合いというのは、本当らしい。

 男の容姿は、ダークスーツを隙無く着こなし、キッチリと整えられた黒髪と口髭を生やした、痩身の体躯の、スタイリッシュなイケメンだった。


 あらあら、女性にモテそうなタイプね。何となく京子は思った。 

 しかし、次の瞬間、もう彼女はハッキリと思い出した。


 私はこの人を知っている。

 確かに出会ったことはないけど、子どものころからこの人の写真を見て、その伝説に触れて、憧れを募らせていた時代があったのだ。

 

 その人物こそは誰あろう、レオナルド・ダ・ヴィンチに勝るとも劣らない、世紀の天才物理学者で発明家。

 ニコラ・テスラその人だったのだ。


挿絵(By みてみん)



 

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