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第2話 AIの神と呼ばれて ~農耕、発電、教育を一週間で~

――それは、たったひと粒のトウモロコシから始まった。


「この土地じゃ、作物は育たねえんだよ」

「星が怒ってる。昔、祟りがあって……」


村の老人たちは、そう言って諦めていた。

だが、カイルは違った。ポッド内のサンプルケースを手に、言い放つ。


「そんなもん、水と光と栄養とAIがあれば、どうとでもなる」


彼は地表を走る“ローバードローン”に命じた。

地質を分析し、水脈を探り、人工肥料を合成し、土地を整える。

やがて、一筋の若緑が芽吹く。


「……育ってる、奇跡だ」

「いや、これは科学だ。祈るより耕せ。俺がやり方を教える」


**


次に取りかかったのは、発電。


壊れた旧帝国の観測基地から“地熱ユニット”を回収。

そこに、カイルが搭載していた“マイクロAI群”が接続される。


ドゴォ……と、大地が軽く震え、やがて灯りがともる。


「この明かり……昼みたいだ!」

「これが、“太陽を持ち帰る”ってやつさ」


**


そして、教育。


ノヴァが設計した“簡易型学習キューブ”は、触れるだけで

文字・数・歴史・論理思考を視覚と音声で教えてくれる。


「わ、わたし……名前が、書けた……」

「それが第一歩だ。“未来”ってのは、書くことで始まるからな」


**


一週間で、村は変わった。

畑が生まれ、電灯がともり、子どもたちは数字を数え始めた。


やがて、村人たちは彼を“技術の神”と呼び始める。


**


「俺は神じゃない。ただの整備士だ」

「違う。“神は直す者”という意味もあるのです」

と、リュカはまっすぐに言った。


「……そのうち、俺のことを恐れる奴も出てくるさ」


そして、カイルは空を見上げた。

遠い軌道上、何かが動いた気がした。


帝国の目が、こちらを見つけ始めている——。

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