両極の神々
カインが覚醒者の力に目覚め、その力の背後にある神々の存在について考えを巡らせる中、アイシスはその謎を解き明かすために、カインとリリスを招き、講義を行うことになった。集まった彼らの前で、アイシスはいつも通り冷静な表情を保ちながら、古代と現代の神々について語り始めた。
「まず、この世界には二つの大きな神々の勢力が存在している」
アイシスは古びた書物を手に取り、ページをめくりながら話を進める。
「一つ目は現代の神々。彼らは、カイン、君に覚醒者としての力を与えた存在でもある。彼らはこの世界の秩序を保つために君を導き、魔王討伐にも貢献した」
カインは腕を組んで考え込むように頷く。
「それは流石に知っている。でも、現代の神々がどのようにしてこの世界を統治しているのかは、あまり詳しく知らない」
「そうね」
アイシスは書物を閉じ、説明を続ける。
「現代の神々は、世界のバランスを保つために極力介入しない方針を取っている。でも、必要があればそのバランスが崩れるのを防ぐために、君のような覚醒者に力を授けることもある。彼らは主に『秩序』と『維持』を象徴しているんだ」
リリスも興味深そうに聞き入っていた。
「じゃあ、私たちが戦っている魔物も、現代の神々が干渉するまでもない存在ってこと?」
アイシスは一瞬微笑んでから、再び真剣な表情に戻った。
「その通り。ただし、最近起こっている異形の怪物の出現については、もう少し複雑な事情が絡んでいるようなの。それが、古代の神々と関わっている可能性が高い」
「古代の神々…」
カインが眉をひそめる。
アイシスは再び古い書物を手に取り、慎重にページをめくる。
「古代の神々は、現代の神々が出現する以前、この世界を支配していた存在だ。彼らは破壊と混沌を象徴し、世界をその力で支配していた。生命の創造も彼らの手によって行われていたの」
カインは続きを促すようにアイシスを見つめた。
「古代の神々は『混沌』と『進化』を象徴していた。彼らは世界を統制することを好まず、むしろ混沌の中で生まれる進化や変化を重視していたんだ。だからこそ、現代の神々と対立するようになった」
アイシスは少し間を置いて続けた。
「両者の間には壮絶な戦争があったと言われている。その結果、現代の神々が勝利を収め、古代の神々は封印されたそうだ」
リリスが不安そうな表情を浮かべた。
「でも、もし古代の神々が封印されているなら、どうして今になって怪物たちが出現しているの?」
「それが問題なのよ」
アイシスは少し視線を落とし、考え込むように答えた。
「古代の神々は封印されているはず。でも、その封印が完全ではないのか、あるいは何か外的な要因で影響が出てきているのか…。現状では正確にはわからないけど、今回の異形の怪物たちは、間違いなく彼らの影響を受けているね」
カインは拳を握り締めた。
「つまり、俺が戦う相手は、ただの魔物じゃないってことか。古代の神々の力が関わっているなら、現代の神々だけじゃ対応できない事態が起こっているかもしれない」
「そういうこと」
アイシスは静かに頷いた。
「だからこそ、カイン。君の力は今やこの戦いの鍵を握っている。君の覚醒者としての能力は、単なる戦闘力以上のものがある。現代の神々と古代の神々、両者の力が交わっているかもしれない」
「俺にできることは何だ?」
アイシスは冷静なまま答えた。
「まずは、今の自分の力を理解し、無理をしないこと。そして、どんな時も油断しないことね。この戦いはまだ始まったばかりよ」




