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限界を超えて

 


 カインが前線に到着した時、目の前に広がる光景は絶望そのものだった。無数の異形の怪物たちが押し寄せ、討伐隊の隊員たちはそれに抗うように必死で戦っていた。リリスはその中心に立ち、魔法の光を放ちながら防衛の指揮を執っているが、怪物の猛威に徐々に押し流されそうだった。



「リリス!」



 カインは彼女の名を叫びながら、敵の群れへと飛び込んだ。覚醒者の力を解放し、神速の脚を駆使して戦場を駆け巡る。彼の動きはまるで閃光のように速く、次々と怪物を斬り伏せていく。しかし、敵の数は想像以上に多かった。倒しても倒しても、無尽蔵に湧き出てくるようで、討伐隊の防衛線は今にも崩壊しそうだ。



 リリスがふとこちらを振り向いた。彼女の顔には疲労が色濃く刻まれているが、それでもなお、その目は戦意を失っていない。



「カイン、来てくれたのね! でも、これ以上は持たない……!」



 カインは歯を食いしばった。このままでは全滅する。彼らの力だけでは、この圧倒的な数に抗い続けることは不可能だ。



「何か手を考えなければ……!」



 その時、彼の胸元に浮かび上がる覚醒者の紋様が再び輝き始めた。以前よりもさらに強く、そして鮮やかに。カインはその光に吸い寄せられるように意識を集中させた。アイシスの言葉が脳裏をよぎる。――覚醒者の力は、限界を超える。



「俺には……まだ力があるはずだ……!」



 カインは覚醒者の紋様に全ての意識を集中させ、限界を超える覚悟を決めた。神速の脚――その能力を進化させるために。体の中に溢れ出す力が、さらに強まるのを感じる。そして、それと同時に、カインの体が光に包まれ、次の瞬間には新たな力が発現した。



 彼の体から放たれた光の波動が、まるで神の審判のように敵を包み込む。周囲の怪物たちはその光に触れた瞬間、次々と消滅していった。まるで無慈悲な裁きを受けるかのように、敵の群れは一瞬で崩壊していく。



 他からはまるでそのように見えたであろう。だが、その実それはカイン自身が光の速さで移動し、敵を倒して回ったのである。その速さにより、それは敵をほとんど同時に殲滅する範囲攻撃となったのだ。



「これは……!?」



 リリスや討伐隊のメンバーも、その光景に息を呑んでいた。カインの放った力は、まさに神の力そのものであり、無数の怪物たちを一掃していった。どんなに凶悪な怪物でも、その光の前では成す術もなく、ただ消えていくしかなかった。



 カインはその光の中で静かに息を整えた。神速の脚は、ただの速度ではなく、今や範囲攻撃としても機能するように進化していた。これなら、どれだけ多くの敵が襲いかかってきても、対応できる。力の限界を超えたカインは、再び仲間たちを守るために立ち上がった。



「まだ終わりじゃない……! 俺たちは、この戦いに勝つんだ!」



 カインの声に答えるかのように、リリスと討伐隊のメンバーも立ち上がった。カインの神の力を目の当たりにし、再び戦意を取り戻した彼らは、カインと共に最後の戦いへと挑むのだった。






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