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急報



 カインは他国での滞在が続く中、ふと頭を巡らせていた。王国の上層部がなぜわざわざ彼を他国へ派遣したのか、その理由が見えてきた。討伐自体は特段重要ではなかった。むしろ、カインの圧倒的な力を他国に誇示するための行動だと推測するほかない。覚醒者としての彼の存在を、他国の王侯貴族たちに強く印象づけようという意図があったのだろう。


「結局、彼らは力を見せつけたがっているんだ……」


 カインは心の中で呟く。自分の力が外交の駒として扱われることに、ある種の不快感を覚えていたが、それを明確に否定することはできなかった。王国の安定を守るためには、力を持つ者としての役割もある。だが、それが何のために使われているかを考えると、ただの兵器に成り下がったかのような感覚に襲われる。


 カインは薄暗い部屋の窓際に立ち、遠くの空を見つめた。いつまでもこんな場所にいても意味がない。リリスや討伐隊の仲間たちはどうしているだろうか。彼らと共に前線で戦うべきだったのではないか、そんな思いが胸をよぎる。


 その時、急報がカインの元に届いた。


「カイン様、前線の討伐隊が異形の化物に襲われています!」


 その言葉にカインの胸がざわめく。異形の化物――魔物とは違う、何か未知の存在の襲撃だというのか。心臓が一瞬早鐘を打つように高鳴る。リリスたちは大丈夫なのか。


「詳しい状況は?」


「まだ詳細は不明ですが、報告では、通常の魔物とは異なる存在が現れたとのことです。討伐隊が苦戦しているようです。」


 カインはすぐに状況を把握する必要があると判断し、王都に戻る準備を急いだ。思わず拳を握りしめ、焦りが込み上げてくる。今まで冷静さを保ってきた彼も、この事態にはただならぬ緊張を覚えた。もし、彼が前線に残っていれば――そんな後悔が胸を締め付ける。


「……リリス、皆が危ない。」


 カインはその場に居ても立っても居られず、すぐさま動き出した。彼の中にあるのは、リリスや仲間たちを守らなければならないという使命感だった。王国の上層部が何を考えているのかは関係ない。彼は自らの力で、仲間たちを救うために戻らなければならない。


「馬を出せ、できる限り早く戻る!」


 カインの目には決意が宿り、その身体からは覚醒者としての力が静かに沸き上がってくる。彼は前線に向けて、再び戦場へと足を進めることになる。異形の化物たちが何者であるのか、その正体を明かすため、そして仲間たちを救うために――。






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