他国にて
カインは命じられた通り、他国へと向かい魔物討伐に従事していた。この地では特に魔物の行動に異常は見られず、カインの圧倒的な力で討伐はあっけなく終わった。覚醒者としての力を持つカインにとって、彼らの動きは遅すぎた。戦いの場に足を踏み入れた瞬間から勝敗は決まっていたかのようだった。
「討伐完了か……」
カインは剣を収め、振り返った。周囲には他国の兵士達が少し離れた場所から戦いを見守っていた。彼らはカインの強大な力に恐れを抱き、まともに目を合わせようともしない。その恐れは他国の貴族たちにも伝わっていた。
討伐が終わった翌日、カインは他国の王城へと招かれた。迎え入れられた部屋には、豪華な食事と共に上品な雰囲気が漂っていた。だが、その場の空気はどこか冷ややかで、緊張感が満ちていた。
「カイン殿、本日はご苦労様でした……どうぞお楽しみください」
国の上層部の者たちが貼り付けたような笑顔を浮かべながらカインに声をかける。彼らはカインの機嫌を取ろうと必死だった。目の前で圧倒的な力を見せつけられた以上、彼らには恐れ以外の感情を抱ける余地がなかったのだ。
「ありがとうございます」
カインは落ち着いた声で礼を言いながらも、心の中では冷ややかに状況を見つめていた。これが、力を持つ者に対する人々の反応なのかと。彼が求めていたのは称賛ではなく、ただ自分の役割を果たすことだった。だが、このような負の感情を向けられることはやはり堪えてしまう。
「また、我々の国をお守りいただけると……」
国の高官が恐る恐る付け加えるが、カインは軽く微笑み、杯を口に運んだ。その無言の返事に、彼らはさり気なく目線を交わし、ちらりと心配そうな表情を覗かせたのだった。




