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聖バスティアーナ学園で執事を目指してたら、神々の戦いに巻き込まれました ~メイドとともに、神を救う~  作者: 東束 末木


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46/75

決勝レース!

スムーズなアクセルとクラッチ操作により綺麗なスタートダッシュを見せるゼッケンナンバー054篝火アヤナ。

だがそれをあざ笑うかのような猛烈なスタートを見せた一台のバイクがあった。

アヤナのすぐ後方からスタートしたゼッケンナンバー075のカスミである。


メインストレートの終盤でアヤナを抜き去ったカスミは、そのままトップで第一コーナーに突入した。

(何と荒っぽい……恐ろしくピーキーなセッティング、それを力ずくでねじ伏せるスタイル、これが彼女本来の走りだったのか)

アヤナの走りが柔ならばカスミの走りはまさに剛。対照的な走りを見せる二台がこのレースのトップを争う!




三周目を終え四週目に差し掛かる頃には、アヤナはカスミの走りの特徴をほぼ正確に掴んでいた。

(最高速の伸び同程度、だが立ち上がりの加速はあちらが上か。コーナリング速度はこちらが上のようだ)

ここまでコーナーの出口でカスミに追い付き、そこからの加速で突き放されるのを繰り返してきた。もちろんそれがカスミの作戦である可能性も否定はできないが、それ以上に気になったのは、

(過去のレースと比べて路面の変化や周回遅れに対する反応が恐ろしく速い。反射神経の底上げか、それとも聞いた事は無いが予知・予測のような能力があるのか?)



カスミもまた、すぐ後ろからのプレッシャーからアヤナの力を推し量っていた。

(立ち上がり勝負では勝てているようですが、次のコーナーでまたすぐに追い付かれ、と。ほんに厳しい厳しい)

心の中で溜息を吐くカスミ。

(一度前に出してもうたら、抜き返すのはえらいやろうなあ)




こちらはアヤナから少し離れた三番手、愛知県の西浦ミカワ。

後方の選手を大きく引き離し、彼女は何とかアヤナの背中が見える位置をキープしていた。

(あーもう、何なのあの速さ! 最高速仕様にしたお陰でバックストレートとメインストレートで差を縮められてるけど、どんなコーナリング速度よアレ!)


彼女が得意なのは自動車の運転だったが、バイクの扱いにもそれなりに自信がある。

そんな彼女だったが、前を行く二人は自分とは根本的な何かが違う。コーナーに差し掛かった瞬間に自分の前から姿を消すのだ。


四輪と二輪の違いはあれどレース経験のある彼女の決断は早かった。

ゴール位置がメインストレート半ばである以上、恐らく彼女達の前にゴールする事は不可能。

ならば自分が採るべき戦術は唯ひとつ――何とか彼女達に食らいついて異次元のテクを盗みつつ、三番手をキープする!




「アヤナせんぱーーーい!!」

「頑張れーーー!!」


アヤナがメインストレート前を駆け抜ける度にスタンドから声援を投げるノア達。

その声は爆音に掻き消されアヤナに届く事は無いのだが、そんなの関係ない。

「この周も二位のままだったよね? あと何周かな?」

「今十周目に差し掛かったところだ。二十周でゴールだから丁度半分だな」

ノアの問いにアカリが指を折りながら答えた。

「ううー、あと半分しかないのか―」

「うむ。我であればそろそろ仕掛ける頃合いなのだがな」




(また追い越されたーーー!!)

最後尾の集団で熾烈な争いを繰り広げる彼女達は、すぐ横を駆け抜けていった三台に一瞬呆然とし、だがチームの為に少しでもポイントを稼がねばと気を取り戻す。

(あれは別の生き物、あれば別の生き物……私達のレースとは無関係!!)

そうとでも考えなければやってられない。

(でも、追い越されたのってこれで何回目だっけ……)

運転の授業でトップクラスの成績を収めていた彼女達であったが、もうそれを心から誇れる日は二度と来ない……




(次にあの団子グループに追い付くのは十七週目のヘアピン前S字コーナー。そこで仕掛ける!)

ここまでのレースで、アヤナはコーナーの度に内から外からとカスミにプレッシャーを掛けてきた。無理をすれば追い越す事が出来そうな局面も数回あったが、そこでも追い越す素振りは見せるものの、前に出る事はなかった。

例えそこで抜いたとしても、無理なラインを取る事でコーナリング速度は落ち、立ち上がりですぐに抜き返されるのが目に見えていたからだ。


だが、カスミにしてみればそうだろうとは思っていてもアヤナの動きを感じ取りブロックせざるを得ない。一瞬でも油断すればチャンスと見たアヤナが牙を剥いてくる事が確実だからだ。

(まだ終われへんの? 早う終わってえ)

カスミの神経は本人も気付かぬレベルでほんの僅かずつ疲弊し、集中力が低下してゆく……




(ここに来てペースが上がってる? バックストレートで前ほど距離を詰められない)

前を行く二台はコーナーの度に激しくやりあっている。後ろのバイクはインからアウトからと抜きに行くラインを取り、前のバイクはそうはさせじとブロックのラインを取る。通常ならばそれにより僅かにコーナリング速度は落ちる筈だが、何故か速度は上がっているのだ。

(ああーもうっ! 四輪だったら絶対に負けないのにーー!!)




(来た!)

十七週目のS字コーナー。

アヤナの予想通り、この場所で最後尾のグループに追い付いた。

そしてルークから得た視界により、素早く戦術を組み立てる。

(行けるっ!!)


S字の一つ目のコーナーで最後尾の二台をアウトから追い越そうとするアヤナ。当然それを察したカスミもアヤナをブロックしながら同じラインで追い越してゆく。

そして二つ目のコーナー、ここにでまた二台の周回遅れに追い付く。

(えっ!? ここでも外から!?)

その先に待ち構えるヘアピンカーブを考えれば、ここはインから抜くのが正しい。だが低速なこの集団の中でならアウトでも――


「くっ!」

例え速度が落ちたとしても、アヤナを前に出さなければこれまで同様立ち上がりで突き放せる。ならばここはアヤナをブロックしつつアウトから行く!


周回遅れ二台をパスしたカスミ。

その時彼女が目にしたのは、自分のすぐ横を走るアヤナだった。

(何故そこにいるの!?)


カスミがアウトから周回遅れを抜きに行ったその時、インにラインを変えたアヤナは周回遅れ二台をインからパスしたのだ。


(くっ! でも次のヘアピンの立ち上がりで――!?)

素早く視線を前に向けたカスミの目に飛び込んで来たのは、自分の目の前を走る三台の周回遅れ。

(やられたーーー)


すぐ横にアヤナがいる以上、ここでアウトにラインを変える事は出来ない。

止むなくカスミはブレーキをかけ、マシンは大きく速度を落とす。その間にアヤナはアウトから周回遅れごとヘアピンをパスしていった。


(はぁ、あのレールの上を走るような滑らかなコーナリングは流石ですなあ)

周回遅れの壁に行く手を阻まれるカスミから、力の抜けた視線を受けながら……




「ああっ! アヤナさんトップだよっ!!」

「おお、ここでか!!」

メインストレートをトップで駆け抜けるアヤナに気付き、ノア達チームメイトは大興奮、そして大熱狂の渦を巻き起こした。

「すっげーーーー!!」

「行っけーーーアヤナちゃん!!」

「そのままゴールインしちゃえーー!!」

「先ぱーーーいっ!!」




(くっ、差が……差が縮まらない!)

気を取り直したカスミもまたすぐに周回遅れを抜き去りアヤナを追うが、そこには既に大きな差が出来てしまっていた。

メインストレートでは一度ミカワに追い越されたものの、コーナリングですぐに抜き返し、再びアヤナを追い始める。


だが、目の前の障害が無くなったアヤナはここからラストスパートとばかりに速度を上げ、カスミはその差が広げらないようにするだけで精一杯だった。

そして――――


第一位、篝火アヤナ

第二位、御洲川カスミ

第三位、西浦ミカワ

 ・

 ・

 ・


全国大会第一種目、バイクレースの幕が閉じた。

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