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Vol.13(すたーと)

作者: たまいはる

1


目を覚ましたそこは洞窟だった。



壁や天井は岩で覆われ、私は少しの草が敷かれている岩の上で目を覚ました。

上半身を起こし岩の上から足をおろす。

岩壁にある穴から光が入ってきているが私がいる場所には届いておらず薄暗い。

ここは何処なのだろうかと座りながら辺りを見渡していると少し高めの少年の様な声が聞こえてきた。

「あ、起きた。おはよう。」

そう話しかけてきたのは中性的な見た目で小柄な子だった。10歳ほどだろうか。肩まで伸びた髪の毛は色素が抜けているかのように白く、着ている服装はボロボロで所々汚れている。靴は履いておらず素足を晒していた。

「...おはよう?えっと、君は誰?」

「僕は、ナルだよ。」

自分をナルと言ったその子は明るい笑顔で元気良く、ハキハキとした口調だ。ひとつ質問するたびに動き、まるで落ち着きがない。

「ここは?」

「洞窟の中だね!」

手を大きく広げくるりと回る。

「なんで私はここにいるの?」

「さぁ?」

首を傾げる。肩にかかるくらいの白髪がさらりと揺れた。

「...じゃあ、なんで君はここにいるの?」

「君がここに居るから。」

私の額に指を指す。

「どういうこと?」

「う〜ん。...見てもらった方が早いかな!立てる?」

ナルが手を差し伸べてくる。

私は少し悩んだ後にその手を取り、岩の上から立ち上がる。

「こっち!」

ナルは、私の手を握るとすぐに走り出す。


私が寝ていた場所は洞窟の最深部だったらしい。

広間から一本の道が伸びていた。


ナルに先導されてその道を進む。


すぐに光が見えてきた。


洞窟を抜ける。


そこには、


苔とシダが生い茂り崩れ落ちつつあるコンクリート群が広がっていた。


「えっと...これは?」

そんな景色を見ても言葉を失わなかっただけ褒めてほしい。

そう思ってしまうほど、現実味の無い景色がそこには広がっていた。

「地球だよ。」

ナルが静かに告げる。

「滅んだんだ。数百年前に。」

「...数百年前?滅んだ?なんで?」

「原因は色々だよ。第三次世界大戦や地球温暖化、後は、数百年規模の自然災害が連続で発生したとか。一時は自然も消滅して、全てが焦土になった時代もあった。けど、ここまで自然は戻ってきた。」

「...ちょっと待って。じゃあ私は何?なんでそんなことがあって生きているの?」

「それは、その時が来たらね。」

そんな言葉を返したナルがこちらに顔を向ける。

その表情は慈悲を纏っていた。


意味が分からない。

頬をつねってみる。

痛い。

目の前のそれが現実だと痛みが伝える。

ナルの話からするともうこの世界には人間は疎か動物もいなそうだ。

涙が溢れ出てくる。


何時間ここで突っ立っていたのだろうか、隣に立っていたナルが明るい声で話しかけてきた。

「ねぇ、一緒に世界を歩き回らない?」

「いいよ。」

そんな突拍子のないナルからの質問にまわっていない頭でそう返す。

その答えを聞いてやったぁ!と隣で飛び跳ねるナルは新しいおもちゃを見つけた子供のようだった。



2


「じゃあまずは...髪を切ろう!」

ナルは何処から取り出したのだろうか刃のように鋭く尖れた石を片手に持ちにこやかにそう切り出した。


そういえば...頭が重い。

そう感じ、髪の毛を触ってみる。

「えっ!」

以前はベリーショートだった髪の毛が今は、腰まで伸びている。

否が応でも時間が経っているということを理解してしまう。

「本当に地球は滅んだんだ...」

そんな言葉を漏らすとナルは、そうだよ。と一言返す。

「あそこの岩に座って!」

ナルが指差した岩に腰を降ろす。

ザックザックと髪の毛が切られ始める。

「何処まで切ろうか?」

「なるべく短くして。」

「は〜い。」

短い会話をしながらそういえば格好はどうなっているのかという考えが浮かび、今纏っている服に目を落とす。

それは、以前通っていた学校の制服だった。紺色のセーラー服だ。少しの汚れとほつれが見える。

けど、まだ着れそうだ。


「出来たよ!」

しばらく時間が経ち、ナルが声を上げる。

「うん。ありがとう。」

そう返しながら頭を触る。

後ろ髪は短く切り揃えられ、前髪は少し長く残っている。長い前髪を左右に分け、片方を耳にかける。

起きる前と同じ髪型だ。


「じゃあ行こっか!」

ナルが手を差し伸べてきた。

「うん。」

ナルの手を取り立ち上がる。


何処までいくのだろうか。

私は何故だか無性にワクワクしている。



3



「何処行きたい⁉︎」

歩き出すと同時に質問が飛んできた。

「う〜ん。何処でも...」

「おっけ〜。じゃあ、僕が好きな場所へ行こう!」

「分かった。」


ナルと話しながら歩き続けると真っ青だった空は赤くなり、黒くなる。

だんだんと空には星が輝き始め、気温が低くなる。

「あ〜今日は綺麗だね!」

「そうだね。」

空を見上げながらまた、会話を交わす。


「そろそろ着くかな〜」

また、しばらく歩いた後、ナルがそう声を漏らした。

「やっと〜??」

「うん!もうちょっと!着いた〜」


ナルが目指していた場所は、海だった。

「ここはね、今の地球の海だよ!昔と比べてね、水は少なくなったから、だいぶ浅くなっててね、少し気をつければ、全世界歩いていけるんだ!僕の楽しみの一つ!!」

「へ〜綺麗だね。」

「あはは、そうでしょ?」

「うん。」

足を伸ばせば海に入るという距離に2人で座り込む。

「あ〜疲れた〜」

「お疲れさま。今日はここで休もっか。」

「ん。」

2人で砂の上に寝転び空を見上げる。


一面の星空を眺めながら眠りにつく。

隣から、まだ疲れるよね。おやすみ。というナルの声が聞こえた気がした。



上がったばかりの太陽から照る日光で目を覚ます。

隣にはナルが横になり丸まっていた。

まるで猫みたい。そんな考えが頭をよぎる。

昔、家で飼っていた猫がその姿に重なった。

ふと、ナルの白髪へ手が伸びていく。

硬いが艶のある白髪をゆったりと撫でる。

「君は一体何を隠しているの。」

そう言葉が漏れた。


しばらく撫でているとナルが身じろぎをする。

ん〜と声を上げ、目を開けた。

「ん〜おはよう。」

まだ眠いのかポヤポヤした雰囲気を纏っているナルが体を起こす。

「おはようナル。」

「ん〜。よく寝れた〜?」

「うん。」

「良かった〜」

ナルは立ち上がり、グーっと体を伸ばす。

「はぁ〜今日は何をしよっか。」

完全に覚醒したようでまた、笑顔を見せる。

「何かおすすめは?」

「う〜ん。...じゃあ今日は海を渡ろうか!」

ピコンと右手の人差し指を立てる。

「海を?渡れるの?」

「うん。大丈夫!昨日も言ったけど、今の地球は海が干上がってるからね。多少深い場所はあるけどほとんどは歩けるよ!」

そう話しながら海の中に入り、こちらを振り向く。

「へ〜そうなんだ。」

「うん。だから、世界中何処でも歩いていけるんだ!」

両手を広げくるりと回った。

「歩いて?」

「そうだよ。乗り物は無くなっちゃったからね〜....ってことで、今日は海を渡ろう!」

手を差し伸べてくる。

「は〜い。」

私はその手を取り水の中へ入って行く。

もちろん、靴と靴下は脱いで、片手に持った。


水の中に入り、しばらく歩いても水はくるぶしあたりまでもない。

時折水を蹴り上げつつ歩き続けた。


「君はさ、海の生き物だったら何が好き?」

「う〜ん。...ペンギンかなぁ。」

「へ〜なんで〜?」

「え、だってかわいいじゃん。」

「確かにかわいいよね。子供とかすっごいふわふわしてるよね〜」

「ね、顔埋めたくなるもん。」

「あはは、そうだね〜」

「ナルは?」

「え〜やっぱり...シーラカンスかな〜」

「おーやっぱかっこいいから?」

「うん!それに、ずっといるから!」

「あ〜なんだっけ。生きた化石?」

「そうそう!シーラカンスは、昔っからいるんだよ!」

「すごいね〜」

「うん!かっこいいし!」


歩き始めておそらく数時間経ち、太陽が空の一番上に上がりきった頃。

新たな陸に到着した。

「着いた〜」

「陸だ〜」

そこは、土と少しの植物しかない場所だった。

さらに歩きながら会話を交わす。

「あれ?ここには壊れた建物ないんだね。」

「そうだね!まだここにはないよ!」

「...まだ?」

「そう。だってここは、昔は海だったからね!」

「あ〜なるほどね。」

「うん。反応が薄いね。」

「まぁそうだね。今だって海を歩いてきたからね。そりゃぁ陸になっている海だってあるだろって。」

「あはは!そうだね!君が正しい!」

「ど〜も。」

昔は海底だった場所を進むと小さめの人工物が目に入る。

「...あれ、なに?」

人工物を指差しながら聞いてみる。

「あ〜あれは、飛行機じゃないかな?」

「飛行機?それにしたら小さくない?」

「んじゃ、行ってみよう!!」

ナルは私の手を取り走り出す。


人工物は確かに飛行機だった。

けどそれは、旅客機ではなく、人が数名しか乗れないような小さなものだった。

周りは苔に覆われ、金属部分は腐食しボロボロだ。触るとボロボロと崩れ落ちる。左翼は無い。機体の中には苔で覆われた小さめの山があった。

「...これって...」

ふとなんだか嫌な予感がした。

「あぁ、これはあれだ!戦闘機!...きっと戦争で海に落ちたやつだね!」

ナルが明るい声で言う。

「これが...そっか。」

ナルは戦闘機が珍しいのか辺りをぐるぐると回りながら観察している。私はそんなナルを横目に静かにそれに向かって手を合わせた。


「ね、そろそろ行こ!」

観察が終わったのか飽きたのかナルは私の目の前に立ちそう声をかけてきた。

「そうだね、行こっか。」

戦闘機を尻目にまた、歩き始める。


「ねね、さっきはなんで手を合わせてたの?」

「...日本の風習?だよ。亡くなった方に手を合わせて、成仏を願ったり、ありがとうって感謝を伝えたりするの。」

手を合わせてみつつ返答する。

「へ〜そんな意味があったんだ!」

それを見てなのかナルも真似して手を合わせる。

「そうなんだよ。ナルも覚えておきなね。」

「大丈夫!使わないから!」

満面の笑みを浮かべつつ右手の親指を立て、突き出してくる。

「もしもってことがあるでしょ〜」

「う〜ん...それもそうかな?」

首を傾げ考えるそぶりをする。

「そうだよ。覚えておいて損はないしね。」

「そっか!じゃあ覚えとく!」

ぴょんと小さくジャンプし大きく頷く。

「ふふ。」

コロコロと変化するナルの言動を見ていたら自然と笑みが溢れていた。

こんなに楽しいと思ったのはいつぶりだろう。


「さて、次はどこ行こうか?」

ナルが質問をしてきた。

「う〜ん。...ナルのおすすめで。」

「は〜い。了解!」

きちんと指が伸び、揃えられた右手を頭上に掲げ、敬礼のポーズを取る。

「...んじゃぁ、どうしよっかなぁ〜...あっ!そうだ!あそこにしよう!あっち!」

少し考えるそぶりをした後、どこか思いついたのか進んでいた方向から少し右にずれた場所を指差す。

「何があるの?」

「行ってからのお楽しみ!」

そう言うとナルは前を歩き始めた。



この世界で目を覚ましておそらく数週間。

私はなぜか寝る必要がなくなり、いくら歩いても疲れなくなった。

ずっと歩き続けていたから体力がついたのかなと考えたこともあるがそれではおかしい。

なぜなら一切必要なくなったからだ。

ぼぉっと夜空を眺めていれば太陽が昇り、なんなら昼間も歩き続けた後の夜中も歩き続けることができる。

あと、目を覚ましてから寒いや暑いを感じなくなった。

でも、ナルは寝る時間が増えた。

私が起きた頃は彼の寝ている姿を見たことがない。

それに疲れたと言うことも増えた。

だから今は、ナルのペースに合わせて進んでいる。


今は夜。

ナルは私の隣で体を丸めている。

少しボサボサで艶のない真っ白なナルの頭を撫でる。


明日は目的地に着くかな。


そんなことを考えていると段々と日が昇る。

また新しい日が始まった。


「ん〜おはよう。」

ナルが目を開け、体を伸ばす。

「おはよう。大丈夫?」

「うん?全然大丈夫だよ?」

「そう。目的地までは後どれくらい?」

「...今日には着きそうだけど...雨が降りそうだからなぁ...」

ナルが空を見上げつつそう答える。

空は真っ黒な雲が覆い被さり、冷たい風も吹いて入る。

すぐに雨が降ってもおかしくなさそうだ。

「あ〜、近くに確か洞窟があったな...今日はそこに行こうか。」

空を見上げたまま少し考えていたナルが顔をこちらに向け提案してくる。

「そうだね。雨がやだからね〜」

「よし。じゃあ行こっか。」

ナルが道案内するかのように前を歩き出した。


数十分歩くと洞窟に到着した。

そんなに大きくはないが、少し山を登った場所だったため水が地面に溜まっても流れてこないだろう。

今日はここで過ごすのか。

これまでずっと歩きっぱなしだったからたまには良いだろう。

洞窟の奥に入り手頃な岩の上にナルと隣り合って座る。


勢い良く降り出した雨をBGMにぼぅと過ごす。

いつもだったらナルが話しかけてくるのだが今日は来ない。

そっと首をナルの方に回すと、ナルはこっくりこっくりと船を漕いでいた。

「ナル...眠いので?」

「...うん。」

出会った頃には考えられないほど弱弱しい声が返ってくる。

「寝な。」

「ううん。」

「寝ないの?」

「うん。」

「いつもはすぐに寝るのに...」

「話さなきゃいけないことある。」

「何?」

「君がここにいる理由。」

「....私がここにいる理由?」

「うん。」

「聞かせて。」

静かにナルは話しだす。

「本当は、もっと早くに言わなきゃいけなかったんだけど、君との生活が楽しくて、言えなかった。それは謝らなきゃいけない。ごめん。」

「私も楽しかったよ?」

「それは良かった。」

「うん。」

「それでね...まずは君についてだね。多分、もう気づいているとは思うんだけど...君は、もう食事をしなくてもお腹がすかないし、疲れないし、眠くもならない...はず。」

「そうだね。起きてからご飯とか水を口にしてないし、睡眠時間が少なくても動けたし、何時間歩いても疲れなかった。今はもう寝てないしね。」

「逆に僕はそれらが必要になってきた。」

「うん。そうだね。」

「...君は、神様になったんだ。」

「神様?」

「そう。神様。」

「なんで?」

「話が長くなるけど、聞いて欲しい。」

「良いよ。時間はたっぷりあるからね。」

「そうだね。...まずなんだけど、君は創造主って分かる?」

「あ〜あれ?この世界を作り出したっていう神様。」

「そう。その方は、地球だけじゃなくてね、宇宙も作った。だけど、宇宙は広がり続けていて、新しい惑星や新しい生命がずっと作り続けられるようになってしまった。大昔は、想像主1人でその作り出した世界を見守り続けることができていたけど、広がり続けるそれを1人では見きれなくなった。だから、ひとつの惑星や区域にの中で特徴的な種族から1人を神様にして想像主の手伝いを行うようになった。」

「それが私?」

「そう。君もだし、僕も神様。」

「ナルもなんだ?」

「うん。僕は、前の神様。君の一つ前の。」

「あ〜そういうこと。」

「そう。それで、神様の仕事内容の一つは管轄の世界を見回って、何かあれば想像主に報告する。僕らの管轄は地球全体。」

「え?それだけなんだ。」

「うん。だから僕は、ずっと暇で、君が起きて、一緒に生活してくれて、楽しすぎて、もう一つの仕事を忘れていた。」

「もうひとつ?」

「うん。それは、引き継ぎをすること。」

「引き継ぎ。」

「神様、あ〜僕らは、地球が目覚めて、滅ぶまでの一サイクルが期間なんだ。滅んだ後、新しい神様が目覚めて、その神様に仕事を引き継ぎすると、前の神様の仕事はおしまい。」

「...引き継ぎが終わった神様は、どうなるの?」

「さぁ?僕の前の神様は、引き継ぎをしたらあとは一人で過ごすって何処か行っちゃったから分かんない。」

「...そうなんだ。」

「まあ、地球から居なくなるのは確定だけどね。」

「...やっぱり?」

「うん。...そんな悲しい顔しないでよ...」

「だって、ナルいなくなるんでしょ?私は1人になるんでしょ?」

「そうだね。」

「悲しいよ...」

「まあ、まだ時間はあるから。だからさ、それまでは一緒に居よう?」

「...うん。分かった。」

「じゃあ、今日はお話ししよう。君のこともっと教えて。」

「うん。」

お話はナルが眠りに付くまでずっと続いた。


4


次の日。

ナルが目を開けることはなかった。

いつものように寝ているナルの頭を撫でていたら急にナルが居なくなった気がした。

目の前にナルは居るのに居ないそんな感情が急に芽生えた。

嫌な予感がしてナルの腕を取ると脈がなくなっていることに気がついた。

胸が上下していないことに気がついた。

声をかけてもゆすってみても体は力が入っていないかのようにだらっと揺れた。

もう、ナルは目を覚まさない。

その感情に任せて私は泣いた。


気がつくと雨は止み、太陽が顔を覗かせていた。

目を覚さないナルは、洞窟の岩の上に寝かせ私は一人外に出る。


子供が一人入るくらいの穴を半日掛けて掘り、ナルをそこに埋める。

洞窟の中にあった大きめの石にナルと彫り、被せた土の上に置き手を合わせる。

「ナル。楽しかったよ、さようなら。」

そう言葉を告げ、その場所を後にする。

「君にも、この地球の全てを見てほしい。」

私は昨日ナルがこぼした言葉を実現するために歩き出した。



数日後。

創造主との初コンタクトができた。

彼が言うには新しい世界を見ることで忙しく今更地球を見守り、手助けする理由はない。

別に報告はいらない。

自由にやってろ。ということ、

神様になった者には一つ願い事を聞いてやっている。

前の者は名前を覚えていたいだった。ということの2つを教えられた。

願い事は手記を書きたい。にした。

それを想像主に伝えると二つ返事で持ち運びやすい大きさの手帳とペンをくれた。両方とも永遠に減らないようだ。

さすがは神様って感じだね。


それ以降創造主からコンタクトはない。

一人でずっと歩き回っている。




数百年後。

私が神になって数百年が過ぎた。

今の地球はだんだんと動植物が増えてきた。

前の世界では見たことのない物も居て、以前より楽しみが増えた。

それと、私の髪は時々切っているからあんまり長くはないが、艶のないパサパサとした白髪に変化し、ずっと歩き続けるから靴も履かなくなった。

後は...誰かのお墓みたいなものがあった。岩にナルって掘ってあったけど...ずっと昔からあるんだったらすごいなって思った。


最近、いやずっとなのかな?

記憶があやふやになることがある。

まあ何百年も一人で過ごしてればそうなるだろうねってことなんだけど...

だからこの手記にいろんなことを書いてる。

忘れないように。


まぁあんまり読み返さないんだけどね。

量が多いから。


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