私の上司は鼻炎のようです。
かつて──〝聖戦〟と呼ばれる戦があった。
それを終わらせた〝英雄達〟がいた。
この物語の主人公はそんな〝英雄〟に救われ、そのような存在に憧れた一人の女性。
……というのはさておき。
鼻炎──それは鼻腔粘膜《びくうねんまく》の炎症の総称。
それはこの魔法や精霊達が存在する世界にも蔓延《まんえん》していた。
「──ぶえっきし…ッ。…あ、ごめんね?僕、魔素《まそ》アレルギーでくしゃみが止まらなくって」
「彼が貴女の上司のギルドマスターよ」
拝啓お母さん、私の上司は鼻炎のようです。