第3話
ハローワークは仕事を探す若者、年寄り、女、男でいっぱいだった。
仕事を検索するまで、何時間かかるんだろう・・・・・・
何度、面接を受けたら仕事が決まるんだろう。
オレは既に疲れていた。
身体的より精神的に。
待ち時間の間にもオレは同居人になったばかりのニシキヘビの「彼女」のことを思い出していた。
彼女と2人でいる時だけ、心が休まる気がしていた。
彼女のハツカネズミに食いつくさまに見とれる日々・・・・。
ボーとしていたオレに
「Sさんでは?」と声をかけてきた女性がいた。
今まで一緒に働いていた派遣のMさんだった。
Mさんもリストラの対象だったんだ。
「あのね。上司のKさんなんだけど・・・・・。」
Mさんは話しづらそうに 顔を曇らせながらこちらを見上げた。
「亡くなったらしいの。山で滑落して。」
そう言うと 彼女の番がまわってきたらしく いそいそと自分の番号の検索機の前に早足で行ってしまった。
上司のKが死んだ!?
オレは昨夜、夢に見たKの姿を思い出した。
恨んでいた上司でも死んだと聞くと後味が悪かった。
しかし、驚きと少し嬉しいような気持ち・・・・・
オレは、やはりまだ オレをリストラした上司のKを恨んでいたのだろうか。
きっと、恨んでいたのはオレだけじゃないさ。
と、自分に言い聞かせた。
今日はもう帰ろう・・・・・
オレはハローワークを後にした。
本当は早く会いたかったのかもしれない・・・・・
早く上司のことを報告したかったのかもしれない・・・・
家で待っている彼女に。