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第一話

「いただきまーす♪」


 「ちょっとアニィー! それあたしのプリン! 食べたらブぶッコロス❤」


 俺の名はアニィ、後ろから息を切らして怒鳴り付けて来るのは妹のシースタだ。


 たまたま、部活が遅くなりこんな時間の帰宅。夕食の時間はすでにおわり、夕食を食べ損ねた俺は冷蔵庫に、なにかないかな と思い扉を開けたら、目の前に飛び込んできたのはシースタが、風呂上がりのデザートとしていつもおいてあるプリンだ。

 

 プリン以外にも、腹持ちしそうな大根や、納豆、漬物など、夕飯にだされたであろう、生肉などなどが、きちんと整頓されてならべてあったのだが、プリンを見た瞬間に、シースタの湯上がりのデザートだと言うことを知りながらも手を出してしまったところを、風呂上がりのシースタにみつかり、怒鳴られているといったところだ。

 風呂場からキッチンまではさほどはなれてはいないが、俺が帰宅してきた時にはシースタはまだ湯舟に浸かって鼻唄を歌っていたハズ。


 そして、俺が自室から着替えて冷蔵庫に手をかけるまでの間も桶に汲んだお湯を何度も身体に浴びせ、ザパーンとやっていた。

 それが、僅かな時間で熱気を伴った怒りとともに、俺のバックを取り肩を掴む。


 「ッ・・・・・、」

 肩に食い込むシースタの爪に俺は顔を歪めると同時に俺の思考と行動が、凍りつく。

 「それを戻して、ごーホームよ!」


 おいっ!ごーホームって、俺は犬でもなければシースタの飼い犬でもない。 たかがプリン、プリンごときでそんなにキレなくてもいいじゃないのか?


 そんなことを思いながら、ゆっくりと冷蔵庫にプリンを戻しているときだ。



「それから!、絶対に振り向かないで!」

 

 振り向くなと言われても、ごーホームと言われたら振り向かなければならないのに・・・・・。

 シースタの言葉で、すべてが繋がる。

 風呂場からここまで、こんなに早く移動できたのはズバリ、全裸であるか、バスタオルを巻いてあるだけだと言うこと。

  つまり、おれはまだ負けたわけではない。

 勝利のプリンは、俺のものだ。

 ぷりんをゆっくりしまう素振りをみせて、勢いに任せて、真後ろへターン!


 きめ細かな白磁の素肌をほんのり朱色に染め胸元から上がまる見え、まぁ、シースタの体型は母親譲りのふっくらとしたまるみと突き出た胸が特徴だ。


 バスタオルをただまいてあるだけでは隠せるところは隠せるはずもなく、さらには風呂場から、ここまでの運動量を考えれば、例えバスタオルをきつく巻いていても、ズレるのは自明だ。

 

 さらにいえば、俺の肩を掴んでいたこともあり、バスタオルが落ちてしまうのは明白。


  「・・・・・・・・・・このへんたーい!」


 シースタが絶叫をあげながらその場にしゃがみ込む。


 自室にプリンとスプーンを持ち帰り、容器の蓋をピリピリっと剥ぐ。

 透明なプラカップからも見えていた黄色に近い中身は、蓋を開けた瞬間からたゆんたゆんとゆれ、まるで液体だけが入っているような錯覚。 そして、プリンが入ったプラカップを指でトンッと弾くだけで、中身のプリンが波紋を浮かばせて揺れる。


さらにいえば、黄色く見えるプリンも、ずっと見つめていればまるで乙女の素肌に見えなくもない。


 そういえば、シースタのが掴む肩を勢いに任せて振りほどいたとき、たわわにみのったおっパイも、このプリンのように柔らかそうに揺れ、プリンと同じような色合いと、そして弾力があった。


 世の中では おっぱいは無双とよばれているが、このプリンに比べたらそれ以下だ。

 プリンの表面にスプーンを斜めに差し込むと、すーっと吸い込まれるように入り込む。抵抗力は一切感じない柔らかさ。


そのままスプーンを持ち上げて掬うと、スプーンに載ったプリンがまるで生き物のようにプルプルと揺れる。スプーンの端では、プリンから僅かに剥がれた部位がさらにプルプルと揺れる。


 見ればわかるであろう? これがおっぱいでは勝てないプリンの強さの秘密だ。


 そのまま、スプーンに載ったプリンを見つめながら、口の中にゆっくりと入れるとどうだろうか?

  プリンの柔らかさと、ヒンヤリと心地良い冷たさが、舌先にのる。


  舌先に載ったプリンは卵の風味を撒き散らし咀嚼する頃には、その甘さが口の中に広がり甘いあまーい夢の世界、まるでおとぎの国へと誘われる感触に包まれると同時に、どこか懐かしい記憶を思い出させるような感覚に陥る。


 プリン一口で感動し、涙を流す人がこの世界にいることを知っているだろうか?


  一口プリンを口の中に入れてしまえば、あとはとまらない。

 ぷりんを一心不乱に掬い上げ口の中に運ぶ。

  プリンといえば、小さなスプーンで掬って食べるのだが、あんなに小さなスプーンでも、プリンを完全に食してしまうまでは本当にあっという間だ。


 この現象は、まるで浦島太郎のような感覚。

 いや、プリンの魔法と言った方が正解か。

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