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二話 覚醒Ⅱ

「あんだって?ステータスってのは、まぁなんだ?うん、ステータスだよ。その他に言い方なんてねえ」

 少しあどけなさの残る男はすげなく返す。


「あぁっもういい!ところでここはどこ?どうして私がこんな所で倒れてるの?」


「えっ?そんなことオレに訊かれても……」

 

 と、男が伸び放題の後ろ頭を掻いたとき──


「あうぅ……うっ!ゴホッ!ゴホッ!」


 少し離れた位置に倒れていた研究員の秋葉が息を吹き返したのである。


「おっと、コッチも生きてたみたいだな。おいお嬢ちゃん!大丈夫か?」


 秋葉はイヤというほど海水を飲んでしまっていたらしく、ヒリつく喉を押さえ、ひとしきり咳き込んでから身を起こし、見知らぬ素朴な男性を涙目で見上げた。


「あ、あれ?ここはどこ?えー?う、海?」

 そして、なにかに怯えるように辺りを見まわした。

「ヒッ!あ、あなたは!」


「フン。そのまま死んでてもよかったのに。そうよ!私が愛と正義の守護者マーベラスファイブのピンクアローよ!」

 桃色のスレンダーなヒロインは胸前で両手を交差させ、謎のキメポーズを披露した。


「はわわっ!!」

 秋葉は目をむいて、砂浜に後ろ手をついてのけ反る。


「あれ?お前達ってーその、仲間じゃなかったのか?」


「フン!私とこんなマッドサイエンティストが仲間な訳ないでしょっ!それよりあなた!いちいち怖がらなくていいから、さっさと説明をよこしなさい!」


「はひぃ!」


「まぁまぁアンタらがなんだか知らねぇけどよ、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃ……」


「うるっさいわね!部外者はお黙り!」

 ピンクアローは腰に手を置き居丈高にわめいた。


「……言ってるソバからこれだよ。ったく、どーにも気の強い女だなー。アンタそんなんじゃ嫁の貰い手もねぇぞ?」

 

「はっ!?なんですって!?ちょっと!それってどういう意味よ!?」

 

「わわっ!いけね、コリャ火に油だったか……」


「あ、あのぅ……」

 二人のやり取りに、哀れなくらいに思い切り遠慮をしつつ、白衣の秋葉が手を上げる。


「なによ!?」


「ひいっ!」


「だから怒鳴んなってーの」


「……えと、ちょっとお尋ねしますが、あの、ここは一体どこなんでしょう?」


「ん?あー、ロウブの海岸だよ。てー、お嬢ちゃん!?あ、あんた17歳で怪物調教師(モンスターテイマー)なのか?へぇ、見かけによらずやるもんだ」

 また額の脇に手をやり、謎の鑑定を行う男。


「えっ!?て、ていまー?」

 無論、秋葉は当惑するほかない。


「フン。怪人の世話役なら、まぁそんなところかしらね。どうでもいいけど」

 ピンクアローは足下を横切る小さなカニの親子を見ながら、ウンザリしたように言った。


「えっ?あのーピンクさん!?私のこと、この方に話したんですか?」


「はぁ?なーんで私がそんなことしなきゃなんないのよ!それとねあなた、勝手に"アロー"を省かないでくれる?」


「えー?でもこの方、今私のことを……」

 秋葉は困惑仕切って、かわるがわる二人の顔を仰ぎ見る。


「……ステータスよ」

 ピンクアローは心底めんどくさそうに言い放った。


「すて?すてー、たす?な、ナンですかそれ?」


「あなたバカなの!?そんなの私が知る訳ないじゃないっ!」

 ピンクアローは思い切り不機嫌かつ無責任にわめいたという。


「え、えー……」


 秋葉は唖然として、ただただ夕陽に染まるヒロインを見上げるしかなかった。

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