危険な月曜日 5
部屋の中に静寂が訪れた。どんな小さな音でも出すのが躊躇われる程の静寂
その静寂の中で、男として何かを失ってしまった僕は、天井を見上げてただたそがれていた
「…………ひひ」
ぽつんと響く、女の子の笑い声
「どうかしまっ!?」
「うがぁ!」
女の子を覗き込んだ僕の顔に振り上げられた、カッターの一撃。首を逸らし、紙一重でかわす
「何をするんですか!?」
「お、お姉さまが穢れてしまっ!? お、お姉さまがあぁ!!」
口から沫をふき、右手でカッターを振り回す女の子。
身を捻ってかわし、振り下ろした所で腕を上から抑える
「離して!? 離して!! ボクはお姉さまと死!」
パシン!
澄み切った音が部屋に響く
「目を覚ましなさい! こんな事をしても貴女の気持ちは伝わりませんよ!!」
「お、お姉さまがボクを……ぶった」
右の頬を押さえ、力なくへたり込む女の子
「……ごめんなさいね。でも貴女の想いは一方的過ぎます。人はその様にコミュニケーションを取るものではありません」
「……ボ、ボク…………」
「とにかく貴女の部屋に行って着替えて着なさい。その後は……」
「は、はい……先生の所」
「僕の部屋でお茶にしましょう。美味しいお菓子があるんですよ」
「あ……お、おね…………うわああああ」
泣き止んだらまず名前を聞かないとね。
そんな事を思いながら、泣き止むまで女の子の背中をずっと撫でていた