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ピンチなお兄様 4

にこにこ


「…………」


にこにこ〜


「…………」


僕と綾菜さん、ボディガードの人と二人の店員さんしか居ない店内。僕は四人用テーブルでニコニコ笑顔の綾菜さんと向かい合って座っている


「では美太郎様、この味噌らーめんと言うのは、どのようならーめんなのでしょう?」


「これは主に大豆を発酵させ、熟成させた調味料である味噌を使用した、ラーメンですね」


「大豆を発酵ですか……では、こちらのればにら炒めは、どのような、らーめんなのですか?」


「レ、レバニラ炒めはですね」


お店に入って、既に一時間が経過。僕はラーメン屋さんに入ってしまった事を少し後悔していた


思っていたよりも食事に時間が掛かってしまいそうで、このままでは予定していた時間に間に合わなくなる可能性がある


「…………五目かたやきそば??」 


「あ、それはですね」


楽しいけどね


「…………お嬢様。そろそろお食事を、お済ませになられませんと、川田様との会談に遅れてしまいます」


綾菜さんの右後ろで隙無く立っていたボディガードの人が、綾菜さんに耳打ちをした


「……もうそんな時間でしたか。三谷、先に車に戻っていなさい」


「ですが……」


「戻りなさい」


「は」


三谷さんは僕と綾菜さんに頭を下げ、店を出て行った


「美太郎様」


「はい」


「予定していた食事の時間を経過してしまい、私はもう、行かなければなりません」


「そうですか」


「こちらからお食事にお誘いしておいて、本当に申し訳ございません。美太郎様は、ごゆっくりお食事をお楽しみ下さい」


「いいえ、僕も帰ります」


僕がそう言うと、毅然としていた綾菜さんの表情が、曇った


「……怒っていらっしゃいますわね、当然です。後日改めてお詫びに伺いますので、ご連絡先を教えて頂きませんか?」


「僕は怒ってなんていません。それどころか、とても楽しかったです。もし、また後日お会い出来る機会がありましたら、今度こそラーメンを一緒に食べましょう」


僕は、僕(男)用の携帯番号を手帳に書いて綾菜さんに渡す


「美太郎様……。私、次お会いするのが、とても楽しみです」


「僕もですよ。さようなら法条さん」


綾菜さんと笑顔で別れ、僕も急いで出発だ!




駅前でタクシーを捕まえて、東京方面へ二時間乗る。途中、駅で降ろして貰って別のタクシーに乗り込む


それを四回繰り返し、最後にバスに乗って目指すべき市内地へと入る


ここまで尾行を警戒する必要は無いと思うんだけど、僕だけの問題じゃないので、やってやり過ぎな事は無い


後ろを不自然にならない程度に警戒し、目的地より五キロ程離れた場所で下車。後は――走る!


太い道から細い道に。スピードを落とさず、休まず一気に


「…………ふぅ」


そして着いた場所は、市内から少し離れた閑静な所にある建物の前。170世帯が入る、広大なマンションだ


入口に居る警備員さんに挨拶をして、入口ドア前のインターホンに数字を入れて押す


「…………」


待つ事、数十秒


《…………かつら》


マイクからする声に、僕はこう返す


「うたまろ」


《……久しぶりだな、美里。今、ロックを解除する。入って来い》


ガチャリ。音がし、ドアのカギが解除される


僕は最後にもう一度だけ振り返り、マンションの中へと入った

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