お姉様の休日
前にも言ったかもだけれど、ブッチャー学院は凄く校則が厳しい所。
外出許可書が無ければ余程の事情が無い限り、学院内の敷地から出る事すらままならないのだ
さて、その外出許可書。貰う為には様々な条件をクリアーしなくてはならない
一、品行方正である事
二、前回の外出から最低一ヶ月は経過している事
三、成績に問題が無い事
四、保護者の許可がある事
五、行く先が明確である事
などなど。
そんな条件を満たして、始めてこの外出許可書が貰えるって訳
「うおおおお〜!!」
僕の手に持つ外出許可書を見て、夕凪が吠える
「な、な、なんで持ってるのよ!?」
「あ、あまり大きな声を出さないで。隣の子がビックリしちゃうよ」
此処は僕の部屋。食堂で夕食を取る前に夕凪を部屋に誘ったのだ
「聞こえはしないわよ。この寮、どの部屋もうちの会社並に防音性が高いんだから」
夕凪は軽く部屋を見回して、呆れた様に言う
「それより何でそれを持ってるのさ!」
びしっ! と、許可を指差す夕凪
「先週から申請していたんだけど、今日許可が降りて貰って来たんだ」
「……随分気軽に言いやがるわね。あたしなんかもう十回は申請しているけど貰った試しが無いわよ」
「じ、十回も?」
夕凪の成績は悪く無い。授業中は真面目に受けているし、それに品行方正……ま、まあそれは置いといて、大体条件を満たしている様に思える
「何処に行くって申請してる?」
「ん? 一回目と二回目は雀荘で、三回目は熱海温泉。四回目は寿司屋」
「……君は何を考えているの?」
「あ、あたしは正直者なのよ! でもその次からは変えたわよ。えっと五回目は確か……」
五回目、お寺。
六回目、神社。
七回目、老人ホーム
八回目、海の見える白い家
九回目、風香る高原
「で、十回目が」
「も、もう良いよ、ありがとう」
「そう? ……何で駄目なのかしらねぇ」
「……多分信じて無いからだと思うよ」
首を傾げる夕凪
「まぁ良いわ。で、美里は何処へ行くって言って貰って来たのよ?」
「うん、僕はね……」