第一話 洗面所
新作でーす。超気まぐれです。
まだ完結してないのが沢山あるのに‥‥。楽しんでいただけたら幸いです(^^)
茶髪に染めたセミロングの女はYシャツの首にリボンを引っかけ、鏡を見ながら鼻歌を。
なぜか、マ◯ンガーZのメロディだ。
『あっれ〜なんでひっかかんないかな〜』どうやら制服のリボンのフックが上手くいかないらしい。
邪魔。俺にとってこの上なく邪魔だ。
『どけ、不器用女』
低い声で俺は言い放つ。
『うっわっ!!?』
身震いをして、その女は鏡越しにまるでこの世の終わりかのような顔をして振り向く。
実にきもい。
『なっびっくりさせんじゃねえよ!!いるなら言えよな、ほんと鳥肌もんだぜ』
あたふたしてこの口調。変に強がってるバカ女。
こんなのと血が繋がり、同じ屋根の下で生活していると考えただけで鳥肌が立つ。
『何十分も洗面所を独占するな。お前のことなど誰も見ちゃいない。リボンなどせずとも立派なコスプレに見えるぞ』
『まあ?私がコスプレするっていうより服が私にされる側っていうか、それは認めるけど‥‥って!!なあにが、コスプレじゃボケェ!!せ・い・ふ・く、だろうがあ!!』
『そうか、お前は小学生じゃないのか。』
『そうだよ!なめてんのかクソ兄貴!!とっくに小中卒業してるっつーの』
すごい剣幕だな。まったくめんどくさい女だ。
『人に洗面所を使わせることもできんとは情けない妹を持ったものだ』
『はあ?!しょうがないじゃんっ高校生になったばっかでこの制服慣れないんだからっ』
『いいから、どけ。朝は戦場だと言っているだろ』
『そんなの初めて聞くわ。第一、あんたみたいに家では亭主関白気取りな奴ほんと無理。』
なんの話やら。
『ていうかさ〜学校でぼっちなんでしょ?』
‥‥くっ
『下らん会話に付き合っている暇はない』
『私の友達がさ〜あんたの学校に進学していろいろ聞いてんだよね〜それはもうお気の毒な光景だと』
『お前は根掘り葉掘り俺のことを友達とやらに偵察させているというわけか』
『まあね〜、だって一家の恥みたいなもんじゃんあんたって。根暗でぼっちとか最悪』
『‥‥通りで最近、後輩の女が俺に接触して来る訳か』
『そーそー、そうしたら、周りも次第にあんたのこと分かって来て打ち解けるんじゃないかな〜って。あ〜わたしってやさしーマジ感謝しろよ』
なんて気持ち悪い女だ。
『って‥‥やっやだ私、なに口滑らせてんのよ』
顔を真っ赤にしながらもごもご言っている。ハムスターか。
『と、とにかく、あんたはわたしの友達に手出すんじゃないわよ!?」
はあ〜さっぱりこの女が何を考えてるのか分からん。
『ふんっリボンもセットできたことだし、行くわ』
‥‥ふっ、永遠にな。
俺は薄ら笑った。
『おえ〜キモい顔』
妹は再び真っ青になり去って行った。
あ〜。しかし、俺も俺だ。あのバカに気を遣われるとはな‥‥。
『感謝しちゃうぞっ』
そうボソっとこぼした。
読んで下さった方ありがとうございます!