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M男はどこでもMだった  作者: 梅宮姫乃
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1話

 1話を開いていただきありがどうございます。どうぞお楽しみにください!

 「誰か!うちの子が川に!」


 その日は歴代最高クラスの台風が日本列島に上陸しており、俺は急ぎ学校からの帰宅する途中だった。


 「とぅ!」


 荒れ狂う川に流されている少女を見かけた俺はいてもたってもいられずに川に飛び込んだ。持っていた鞄を浮き代わりに使い少女の元へ進む。俺は少女が溺れる寸前で見事救い上げると自分の中の鞄をを彼女に持たせ岸へと運んだ。


 「うああん!!おぐぁざん!!」

 「あの、ありがとうございます。あなたも早く」


 少女のお母さんは少女を川から離れた場所に追いやると俺を引き上げとようと手を伸ばしてくる。俺がその手をつかもうとした━━━そのとき。誰かが悲鳴をあげる。近くにいたお爺さんは妙に慌てて上がるように急かしてきた。

 

 そんなに急かされても流れが早くて直ぐには上がれない。


 あまりにも必死に言っていたので川上をみてみる。すると黒く太い物体が俺の顔にぶつかった。その衝撃で俺は思わず岸から手を離した。もう一度岸へ戻ろうとするも上手く手足に力が入らない。それどころかなにか足に絡まっている気がする。


 「あっ」


 そして俺は遂に沈んでしまった。


*****


 「ここは・・・」


 上も、下も、視界一杯。一面真っ白な世界に俺はたたずんでいた。本当になにもない。


 ああ、俺、死んだのか・・・


 川での出来事が脳裏をよぎる。


 「へぇ以外と落ち着いてるね~、てっきり泣いてたりしてるもんだと思ったんだけど」


 そう言って現れたのは美しい女性だった。いや女性と言うには若すぎるだろうか。


 「あの・・・どちら様で」

 「ああ、ごめんごめん。私一応神様?やってま~す。名前はあるけど人間ごときには教えられないだ~ごめんね!」


 なんかイラッとする人だ。いや、自称神、か。


 「え~っと君は・・・佐藤さとうたけるだね。超ふっつーの名前だね。で、死因は・・・へぇ以外とやるじゃん。女の子を助けて自分が溺死したと」

 「そうみたいですね・・・」


 やっぱりそうだったか、今更だが我ながら余計な事をしたかな。もしかしたらもっと楽しめたかも知れないのにね。


 「あっ!でもちょっとコレはー。なに?濁流に呑まれるプレイをしてみたかったって、コレは余計でしょ。ってかキモいわ。君ってMなんだ、さっさと仕事終わらせないと。Mがうつるわ」


 なにそれ、ヒドイ!人の性癖を病原菌見たいによんで・・・いや、俺が病原菌なのか?

 

それはともかく男としてここは一つビシッと言ってやらねば!


 「おい!━━━━」

 「決まりだから仕方ない。君、生き返れるから。そうだなー場所はトロイヤでいっか。じゃあバイバイもう二度と来んなよ」

 

 一言も聞いてもらえなかった・・・


 「って、おいおい!なに勝手に生き返るとか決めてんの!てか、トロイヤってどこ?なにそれ?美味しいの?」

 「なに最後の君、バカなの?バカだよね。ってかさっさと行ってよ!生き返るのは自由だけど、君も好きでしょ、魔法とかがあるいわゆるファンタジー的な世界。トロイヤってのはそんな感じのやつ」

 「あ、それなら是非行きたいです。てか、行かせてください!おねがしゃっす!!」


 生き返り即決定!そりゃそうでしょ、死んで、神に会って、生き返って、異世界転移、ここまでこればあとは魔王とか出て来てそれを倒してこいとか言うやつでしょ。俺がチート的に強くなるのはお約束で。


 「あっそ、ならさっさと行って。そこの門くぐれば直ぐだから」

 「ありがとうございます!では行ってきます!」


 俺は突如出現した門へ目指して歩みを進める。が、数歩ほど歩いて止まった。


 「そういえば、俺、なにかチート的なスキルとか貰えんですか」

 「は?んな分けないでしょ」

 「え、だって魔王とかいるんでしょ!俺、勇者なんでしょ!」

 「魔王はいるけど、向こうにも強い人いるし」

 「え!?でもほら、こ●●ばとか、い●●マとかだと神様になにか与えられて出発するじゃないですか、んでそれを使って世界を救うみたいな」

 「は?なに?ちょっとマンガのみすぎでしょ、ほらはやくいった」


 地面に急に穴が開く。まるでダストシュートのような感じのやつに俺は落ちた。


 「そうそう、ステータスだねはチーム級だから」


 最後にそんな事を言われて俺の意識は闇へと落ちていった・・・


 「で、ここどこー!!」


 俺がいる場所は一面水、水、水、水しかみえない。コレはなんだ、ああ、神様も失敗はするよな、しょうがない、しょうがない━━━━んなわけあるかボケェ!!

 なにこれ、え、俺なんか悪いことした?え?え?なに、コレ何て言う虐め?

 

 「おい!神、さっさと俺を助けろやボケが━━━!!」


 力一杯に叫んでみる。もちろんどこからも声は聞こえない。今度はもっと力を込めて━━━━


 「あの!神様!生意気言ってスンマセンシタ。ほんと、ほんと~に反省してますんで、どうかご慈悲をををを・・・」


 水の上で力を入れればこうなるのはわかっていた・・・はずなのだが・・・


 あふゎゎゎ。あ、これなんてプレイ!ちょ、あっ!なんかキ、モチイイ・・・


 そんな感じに俺が一人水攻めプレイを楽しんでいるとなぜか力がみなぎってきた。これなら行けるかも。そう思った俺は平泳ぎの要領で水を蹴る。

  

 バシュンッ


 ごがぁがぁがぁがぁが・・・


 うぷっ。し、死ぬかと思った・・・ってなんか俺、流されてね?


 どうやらさっきの殺人級のひとかきで、川まで登って来たようだ。よくみると少し遠くに岸がみえる。俺はもう一度泳いで岸へ向かう。一掻き、二掻き、三掻き・・・やっとの事で岸に片手を着けたときだった。なにか音がするので川上をみてみると黒い物体が視界一杯を覆った。


 「あっ・・・」


 デジャブだ。またなにか巨大なものを顔に受けて溺れてしまった。


 ああ・・・また溺死か・・・意識が遠退いていく。この感覚は二度目だ。息苦しい。もがいても、もがいても無駄。余計に沈んでいくこの感覚。今回は助けてないし、このままあの世行きかな・・・もう少し異世界ライフ堪能したかったな、まあここが本当に異世界かわからないけど・・・


 「ねぇねぇ、大丈夫~?」


 どこだろうここ。天国・・・それはないか。だって目の前にいるのが可愛い女の子じゃないんだもん。目の前にいるのは筋肉ムキムキで黒髪ロングの漢女だった。もしかしてこの世界の男は皆こうなんだろうか・・・


 「んもぉ~なかなか起きないから心配したのよ~よかったわ~。どこかいたい場所はあ~る~?」


 おっふ。ムキムキの巨体で体をくねらせながら聞いてくるのは少し怖いな・・・


 「あ、大丈夫です。どこも痛くないですし。ありがとうございました」

 「いいのよ~よくなるまで休んでいってね~」


 ん、第一印象はいい人だ。自分でいうのもなんだが、俺のいいところは人を見た目で決めない事だと思う。さっきの自称神見たいに見た目がいくらよくてもあんなに性格が悪ければいやだし、この漢女みたいに、見た目は多少、いやかなり凄いけどそれでも、こおゆう人の方が好きだ。俺は彼の言葉に甘えてベッドで休ませてもらうことにした。

 窓からみえる外の景色は煉瓦造りの家々が並んでいた。


 「あ~こうゆうのみると異世界来たって実感するな」


 外の喧騒を子守唄としてもう一眠りつくことにした。


 起きると既に日は落ちていた。外は暗く、ポツポツとある街灯が僅かに夜の街を照らしていた。


 「あら、起きたのね」

 「はい、おかげさまでもうすっかりよくなりました」

 「あら、よかったわ~。私これからもご飯なんだけど、一緒にどお?」


 ご飯か、確かに長い間食べていなかった気がする。うっ、心なしかお腹が急に空いてきたような・・・


 「すみません。お金がないものですから」

 「あら、そうなの?いいわ、なら私がご馳走してあげる」

 「いや、さすがにそこまでしていただくわけには・・・」

 「いいのよ。人の好意は受けられるうちに受けときなさい。それで、いつか気が向いたときに少し返してあげる。それでいいのよ」

 「そんなものですか」

 「そんなものよ。ほら行きましょ」


 結局ご馳走してもらうことにした。階段を降りて行くとそこは酒場になっていた。皆木製の皿やジョッキで飲み食いしている。THEファンタジーといった感じだ。


 「そこのあなた、ビールと干し肉、パンを二人分お願い」

 

 オーダーを受けた女性は元気よく返事をすると厨房へ大声で伝える。うん、なかなかいいふいんきだ。暫くして頼んだものが届く。


 「じゃあ乾杯と行きましょ。沢山食べてね」

 「はい、ありがとうございます!」


 ビールは未成年なのではじめてだが一気に飲んでみる。喉の奥でパチパチとしていい感じだ。ただ少し苦い、そこで俺は干し肉を食べてみる。


 「美味しい・・・」

 「あら、よかった。どんどん食べなさい」


 この少し硬い肉がビールとよく合う。俺はそのままパンを食べてみる。パンはボソボソしてあんまり美味しくないがこれこはこれでありだろう。最高だ。


 「そう、あなたこれからどうするの?もう少しの間なら面倒みてもいいけど流石に私もずっとはできないから、早く仕事を見つけないと」

 「あ、はい。冒険者、になろうと思っているんです」

 「あら、そうだったの、私と一緒じゃない。ならちょうどいいわ。私明日登録に行く予定だから一緒に行きましょ」

 「是非お願いします」

 「決まりね!そうと決まったら明日は早く起きなくちゃね」


 俺達はご飯を掻き込むと直ぐに寝た。明日は早い・・・


 「うぁー!!寝れねぇ~」


 完全に寝すぎた。全く眠くならない。完全に目が冴え渡っている。それにあれだ、旅行前の興奮しきって眠れない小学生みたいなやつだ。やべ~なんとかして早く寝ないと・・・


 「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹、羊が六匹、羊が七匹、羊が八匹、羊が九匹、羊が十匹・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・羊が百匹・・・ダメだ!眠れん!」


 もうむり、どうしようもない。それに見知らぬ街で外にでたらヤバイやつに捕まりそうだし。ああ~どうしよう━━━━


 で、結局朝になりました。


 「おはよう。よくね━━━無理だったのね。まあ私も興奮しちゃって眠れなかったしね。まあそれはともかくギルドへ行きましょ」


 俺達はまだ日も昇らない朝靄のなか歩き出す。商魂旺盛なものは既にお店をひらきはじめていたが、基本的にはまだ寝ている人の方が多いようだ。暫く街のメインストリートを歩いていると遠くに立派な建物が見えてきた。


 「あれがここ、フェルナンの街のギルドよ」

 「へぇ~かなり立派ですね」


 どうやらあの建物がギルドのようだ。まるで国会議事堂のような建物の屋根にはなにやら旗が掲げられている。おそらくあれがギルドのマークなんだろう。


 「あら、朝早くから珍しいですね。それにはじめて見る顔、登録ですか」

 「はい、二人お願い」

 「かしこまりました。登録手数料として千ゼノ戴きますがよろしいですか」

 「はい」


 彼、そういえば名前知らない。彼が俺の分とお金を払う。


 「確かに受けとりました。では一人づつそちらの水晶に触れてください。これでステータスがわかりますので」


 まずは彼から、彼が水晶に触れると水晶が輝きだし一筋の光がカードに文字や数を記していく。


 「はい、ありがとうございました。凄いです。初期でここまでステータスが高い人はじめて見ました!それより、なにこの固有技能・・・チート?」

 

 俺はできたばかりのカードを見せてもらった。ってかこの世界にもチートとかゆう言葉あるんだ・・・ファンタジー


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 カイン・ロベルト LV 1


 VIT 20  DEX 70  AGI 15

 

 STR 50  INT 25  LUK 10


 HIT 15

 

 固有技能


 乙女の力(ミラクルパワー)


 家事万能、ステータスを倍加。LVに応じて倍率上昇

 

 可愛いは正義キューティーイズジャスティス

 

 相手を恐怖状態にする


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 うん、ステータスはよくわからないけど固有技能とかはなかなかに凄そうだ。それよりも彼ら、スッゴい男前な名前だった。


 「そういえば、固有技能って何ですか」

 「ああ、固有技能はその人個人の経験が反映されて生まれるものです」


 うん、よくわからなかった。とりあえずカードをカインに返して俺も水晶に手を置く。さっきと同様に水晶が輝きだし、一筋の光がカードに文字や数を記していく。


 楽しみだ。あの自称神、ステータスだけはチートだって言ってたからな。


 「はい、ありがとうございました。あ・・・そのサトウさん、大変申し上げ憎いのですが、冒険者はお辞めになった方がいいかと思われるのですが・・・」


 そうか、そうか、チートすぎて困るから辞めたほうがいいと。うんうん、流石俺。


 とりあえずカードを受け取りみてみる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 タケル・サトウ LV 1


 VIT 1 DEX 1  AGI 1

 

 STR 1 INT 1  LUK 1


 HIT 1


 固有技能


 最凶アンラッキー


 不明


 M能力(キモイヤツ)


 不明


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 あれ?


 「あの・・・これって・・・数値が低いほど強い・・・とか?」

 「いいえ、そんな事はございません」


 え・・・うそ・・・なに、じゃああれ、ステータスがチート級ってのは、つまり、弱すぎてヤバイって。そうゆうこと?これでどうやって魔王と戦えってんだよ。


 「ねぇ、これでどうやって冒険者やるの?ねぇ、これでどうやって魔王と戦うの?ねぇ誰か、誰か教えてよ!ねぇってばー!!」

 「ほら、ちょっと落ち着きなさい。あたしがパーティー組んであげるから、レベルあげて、そうしたら強くなれるから」

 

 カインの優しさが心に染みる。


 「ガァギィンン~《カイン~》」


 思わず俺はカインの胸に飛び込んでしまった。この肉厚な胸が温かい。人って温かいんだ・・・


 「でも、不思議ですね。固有技能が不明って。もしかして読み取れなかったとか?」

 「どうゆうことです!」

 「ああ、可能性としては弱すぎて読み取れなかった。とか?」


 ガーン。あ、死のう。もう死のう。ダメだ。


 「あ、でもでももしかしたら強すぎて読み取れなかった、とかかもしれませんよ、ほら。ね、ね」


 こうもあからさまにフォローを入れられると余計に傷つく。ダメだ、流石に心へのダメージは喜べない・・・


 「と、とりあえず一番簡単な依頼を受けたいんだけど」

 「は、はい、そうですよね。わかりました、ではこれなんてどうですか」


 依頼の紙をみてみる。大量発生したスライムの討伐だ。スライムは女性の服のみを食らうらしく。女性の冒険者にはとても不人気だか、その分報酬が高くて弱いので男性の冒険者には人気だそうだ。たまに来る新人のためにとっておいてくれているらしい。


 「じゃあそれにするわ」

 「かしこまりました。装備がないようでしたらレンタルできますがどういたしますか、レンタル料は報酬より引かせて頂きます」

 

 放心状態の俺をおいてどんどん話が進んでいく。結局俺はフル装備でカインは戦斧のみの装備だ。


 「では行ってらっしゃいませ」


 俺達は町外れの廃屋へ向かって歩く。あ~最悪だ。


 「ほら、元気だしなさい。そんなんじゃ私も守りきれないじゃないのよ」

 「ああ、そうかもしれないな。ん、なんならこんな役立たず盾にするなりなんなりしてくれ」

 「も~なにいってるの!元気だして、いくの」


 ・・・で、やって来ました。目の前には無数のスライム達。てか、スライムってどうやって倒すの?ねぇ、教えてよ。見た感じ目とかないし、これ確実に斬ったら分裂するヤツだよね。ねぇ、誰か答えてよ。ねぇってばー!!


 「スライムはこおやって、細かく刻んで、踏み潰す!」


 地味だったー!なに、斬って斬って踏み潰す?え、なにこの作業。これで死ぬとかスライム弱っ!

 作業開始から数分・・・ヤバイっす助けて欲しいっす。ねぇこの数酷くない、斬っても斬っても直ぐに湧いてきて、ついには囲まれてスライムの体内へ・・・


 「あっ!あぁぁぁん!!きもちいい」


 なんとゆうことだろう。このブルブルかん。なかは少し温かく湿っている。今はかろうじで顔が出ているから息ができるがそろそろ時間の問題だ。あぁぁ、新しい、なんと言う素晴らしいプレイィィィ!!


 「タケルー!!」

 「あ、ありがとうございます」

 「いいのよ。それよりも仲間なんだかさっきみたく砕けた感じに話してよ」


 みると辺りのスライムは全ていなくなっていた。凄い・・・俺は四、五匹しか倒していないのに。


 「さ、依頼も達成した事だし帰りましょ」

 「ああ、そうだな無事に終わってよかったよ」

 「そうね、これで当分ここも安全でしょうね」


 俺は気がついてしまった。フラグをたててしまったことに、ああ、終わった。今度こそほんと~に、終わった。さようなら皆さん。また来世で会えることを願っています。


 「ヒヒィィィン!!」


 やっぱり来たー!!ってかなにあれ!ヒヒィィィンとか言っときながらおもいっきり豚みたいな見た目してんですけど!?


 「やべぇぞヒップホースだ!タケル俺が足止めしてる間にお前だけでも逃げろ!!」

 

 「おいおい言葉遣い戻ってるぞ」なんてこんなときに言えないけど漢女が男みたいな(男だが)言葉遣いをしているとか、なんかシュールだな。


 「あ、まじで。あざーす。じゃ、達者でな」


 カイン逃げろと言うんだ。それならいいだろ。これは勇気ある撤退だ。ありがとうカイン。さようならカイン。


 「までやごらー!!なに本当に逃げようとしてんだよ。そこは普通俺も戦うのとか言う場面だろ」

 「いやね、だって見るからに強そうじゃん。なら一人でも生き残れる方を・・・」

 「んなわけあるかボケェェ!建前だ、ジョークだ。嘘だ!あんなの強敵を前にした仲間同士の会話の定石だろ!なに真に受けちゃってんの!?バカなの?バカだよね?」

 「うっせぇ、馬鹿馬鹿言うな!バカって言う方がバカなんだ!バーカ、バーカ!!」

 「ヒヒィィィン!!」


 まあね、来るよね、そんな話をしている間にもヒップホースは目の前までやって来ていた。

 

 あ、マジやべぇ、こっち来るんじゃね。


 俺はとっさにカインの影に隠れて後方へよける。


 「あっ!きたったねぇ━━━」

 「カイィィィィィン!!よくも、よくもお前カインを、カインを殺したな!!覚えてろよ、次会ったときはただじゃおかねぇからな!!」

 

 俺は目尻に涙を浮かべて走り出す。


 「まてぇぇぇ!勝手に殺すな!ってか敵とれよ」

 「え?死んでなかったの?じゃあ━━━」


 手近にあった石をカイン目掛けて投げる。しかし、そこをちょうど通りかかったヒップホースがガードした。そしてそのまま俺は撥ね飛ばされた・・・


 あっ、きもちいい。もっと、もっとその強烈な突きを、突いてぇぇぇ!!


 ヒップホースがやって来て・・・ぶっ飛ぶ俺、またやって来て・・・ぶっ飛ぶ俺。


 「お前、遊んでないで早く逃げるかどうにかしろよ!」

 「あ、じゃあバイバイ━━━━━なんてな、全身凄く気持ちいいし。もっと受けていたいけど、流石にこのままだと本当にカイン死にそうだし。しょうがねぇ!やってやるぜ!」


 俺に向かって突進してくるヒップホースを前にして、俺は借り物の剣を構える。そしてすれ違い様に・・・


 「あれ?」


 当たらなかった・・・ってか、当たるわけないよな!俺剣ふったことないし。


 「おい!なにからぶってんだよ!!」

 「仕方ねぇだろ!剣なんて使ったことないんだしよ!!」


 あきらめた、ダメだ。こうなったら男尊!この一発に全てをかける!もう一度突進してくるヒップホースに向かって今度はボディーブローをかます。するとヒップホースが面白いように飛んで行き、いくつかの木と動物を巻き添えにして倒れた。


 「や、やったぁぁぁぁ!!」

 「ウォォォォォォォォァォ!!」


 ばっ、あいつ怪我してんのに大声だしやがって。


 さあ帰るか。あいつを吹っ飛ばせたんだしカインを担いでいくぐらい問題ないだろ。


 俺はカインを担ぐとギルドへ向けて帰路に着いた。


 



 

 

 読んでいただきありがどうございました。

 

 どうだったでしょうか、個人的には凄く楽しかったのですが、まぁ感性は人それぞれということで、もしよろしければ感想などお願いします。


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