死別(父)
今回は、挫折よりは悲しい内容となっています。
では、どうぞお読み下さい。
13年前・・・
―僕の家(夜)―
僕が、中学2年生の3学期の頃だった。
急に、父が、家で倒れた。
直ぐに、救急病院へ。
―病院(深夜)―
直ちに、父の検査が始まった。
血液、レントゲン、色々な検査をした。
結果は、「末期のスキレス胃ガン」だった。
病院の先生は、母だけ呼んだ。
―診察室―
「あ母さん、しっかりと聞いてください。」
「はい。」
「今回検査したところ、ガンが、発見しました。病名は、スキレス胃ガンです。」
「ステージは?」
「末期です。余命は、3か月です。」
「たった、3か月ですか。そうですか。家族に伝えます。」
「そうしてください。」
その後、母からの声で伝わったのは、先生から呼ばれてから、1時間後であった。
―病室(朝)―
父が、目を覚ました。
「せんせいを呼んでくれ。」
父が、言った。
「先生、俺は、まだ仕事が一段落してないんです。俺のことは、妻から聞きました。」
「動くのが、やっとの体です。仕事なんてしてないで少しでも長く生きてください。」
「先生、俺の人生は、俺が決めるものです。仕事が、一段落したら、治療に専念します。ただ、仕事が一段落してなかったら後悔します。」
「そこまで言うのであれば、私が出す薬を必ず飲んでください。」
「わかりました。」
先生との会話が、終わると直ぐに帰る用意をした。
―僕の家(夜)―
父が仕事から帰ってきた。
直ぐに家族会議になった。
「朝、言った通り。仕事が一段落したら、治療に専念することにする。それでもいいか。」
父は、妻、兄、姉、僕に、聞いた。
僕は、「それでお父さんが、十分やったら良いです。ただ、後悔は、しないでください。」と。
僕以外も僕みたいな事を繰り返して言っていたが、僕は、泣かず、僕以外は、泣いていた。
これは、まだ普通の事だった。僕の肉親が亡くなる実感が無かったのだ。
けど、なんとなく分かっていた。でも泣きたくは、無かった。
そんなこんなで家族会議は、終わった。
―僕の家(朝)―
少し、違う朝だ。
今年から、僕は、受験生。
そして、最後の2年生の授業がある。
家族は、いつもの通りの慌ただしい朝では、無く少し時間の流れが遅く感じる。
僕は、いつものように家を出るが、家の周りも時間の流れが遅かった。
―学校―
学校の授業が、始まった。
勉強に集中出来なかった。
それもそのはずだ。親が亡くなるかもしれないのに集中など出来なかった。
勉強態度が悪いと先生に呼ばれた。
「どうした、勉強に集中してないみたいじゃないか。何か、あったのか。」
「いえ、何もありません。」
「今回は、いいかもしれないが、本当になにかあったら俺に言ってこい。」
「はい。」
先生は、優しく相談に乗ってくれた。
月日が流れ、父の病状も段々悪くなって行った。
父は、杖をついて、歩くようになった。
そうして、仕事が、一段落したのは、3月に入って直ぐだった。
父は、病院に入院。
僕は、学校の帰りに病院に寄り、父の看病をした。
父が、入院して、2日後のこと。
―病室―
賑やかな声が室内に広がっていた。
僕が、病室に入ると
「君が、○○君」か。大きなって。」
おじさんが、僕に向かって言った。
「おう。こちらは、俺の姉夫婦とその家族だ。」
「あ、初めまして。」
「覚えてないと思うが、赤ちゃんの時に一度会ってるぞ。」
父が、言った。
父の姉夫婦の隣には、父の弟夫婦とその家族が来ていた。
父曰く、母が、電話で呼んでいたらしい。
僕は、姉夫婦、弟夫婦と仲良くしていた。
その3日後。
次は、僕の姉が彼氏を連れて来ていた。
僕は、姉の彼氏を見たのは2回目だった。
以前から、姉は、彼氏と結婚したいと話をすることがあった。
父は、楽しく話をしていた。
そして、時間が過ぎ、僕の両親は、姉の結婚を認めていた。
父は、婚姻届の一部を書いていた。
父が書いている姿、動いている姿を見るのは、これで最後であった。
その次の日。
僕は、地元の集会に母の代理で出席していた。
勿論、姉の事の報告も兼ねていた。
集会が終わったのが、1時間後で早く終わった。
集会所に出ると僕は、違和感を覚えた。
この違和感が、僕を急がせた。
僕は、集会に出席していた仲間に僕を「病院に行かせてくれ」と必死に頼んでいた。
病院に着くと「ありがとう」と言って、直ぐ父が居る病室に急いだ。
エレベーターから、降りると泣き声が聞こえた。
その声は、父の病室からだった。
―病室―
病室に入ると家族全員と病院の先生がいた。
「全員揃ったようですね。では、19時40分、永眠致しました。この度は、ご愁傷様です。」
と言って病院の先生は、病室から出た。
僕は、絶句するが、泣かなかった。
余命宣告から、まだ1か月しか経っていなかった。
「父側の 伝えの力 常弱く 唯々思う 父の姿を」
この川柳をメモに残して夜風に当たっていた。
3時間ぐらいに母がやってきて、「少しでも父のそばに居てやって」と。
川が流れるように過ぎ、父のお通夜、告別式が行われた。
詳しい内容は、覚えていない。
お通夜、告別式が終わった後、僕は、インフルエンザになっていたこと分かった。
小児科の先生が、「もっと早く来てくれなかったんですか。」言っていた。
そうして、僕のインフルエンザが治った。
また、時間が元通りに慌ただしくなっていく。
いつもの日々が始まる。
今回も、読んでいただきありがとうございます。
文章は、まだまだ未熟ですが、頑張ります。
もし、良ければ感想を書いて頂くと嬉しいです。
作者より