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Last Assassin ~偽りから作られた未来~  作者: †リオ†
第一章 運命の歯車が回りだす
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第九話 《最初で最後の……》2

 ……この世の真実?いまさら何を、さんざん人の命がどんなにもろいものなのか。たった数日で嫌なほど見せてきたじゃないか。智也は端末の画面に届いたメールを見ながら、そう思った。

だが、危険な世界にすでに一歩踏み入れてしまってる智也。このまま毎晩すでに死んだ人達に纏わりつかれてても、何も変わらない、ならば自分を変えよう、自分から変えよう、この汚れた世界を……変えるために。


『しりたい』


そう返事を返した。

すぐに返事が返ってきた。


『それでは、二日後金曜の夜9時にて、羽田空港で君を待っている』


『待ってくれ、俺には学校と妹が』


 すでに冷め切ってしまっている両親のことはいい、いつも出張と言って海外へと行きたまにしか帰ってこない父親の唯一のおきてを守って、妹さえ守れればよかったんだ。


『そちらは、心配しなくてもいい。必ず、君が海外に行くことはバレないから、理由は、当日になればわかる』


二日間、服などの準備を家族にばれないようにこっそりと渡された金属制のバッグに上着とズボンと下着を三着ずつまとめた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


二日が経ち金曜日午後7時


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「? お兄ちゃん、どこかに出かけるの?」


「あぁ、ちょっと友達に会いに行くだけだよ」


「……わかった、気を付けてね」


? 何だか、引っかかるが、なるべく元気に見せよう。家の扉を開け、妹のほうに振り向き、今できる一番の笑顔で。


「あぁ、行ってくる」


 そして、朋美はゆっくりと閉まっていく扉の隙間から見える背中をずっと心配そうに見つめていた。

 電車の中で外の過ぎ去っていく高層ビルの数々、天気は雨、電車の窓ガラスにある雨粒がビルからの光を屈折し、虹色に光って見える。きれいだ。なんて思えるはずもなく、建物の中でのんきに日常生活を送っている人たちがいると、なぜかイライラする。そんなもやもやしたことを考えているとトンネルに入り、窓ガラスに付着した雨粒がどんどん斜め方向に流れていく、窓ガラスが風に吹かれて音をたてると同時に、トンネルを抜けた。暗くて何も見えない、でも、なんだかこっちのほうが今は少し安らぐ。

 スマホの画面を見ながら、好きなアニソンを流し、空港に着くのを待つ……


「ん……いつのまにか寝てた。って、もうついてる!」


“それでは、扉を閉めまーす。無理な乗車はおやめください”


急いで荷物を持って電車から出る。


「フッ、少年、どこに行くつもりだったのかね」


背後にいたのは、ボスと呼ばれていた爺さんだった。


「さあ、ついてきなさい」


 そう言って空港のロビーへと向かう。そこで待っていたのは、あれ? 俺自身? ともう一人身長の高いロシア人っぽい人。


「こっ、こんにちわ」


 まるで本当に自分がもう一人いるようにしか思えない。声も、しぐさも、話し方もすべてがまるで鏡でも見ているようだ。


「紹介しよう彼がCで、こちらの身長の高いのがバルタザール。君の今回の旅の仲間さ、知らないことがあれば彼に聞くといい」


 そして、バルタザールを見上げる。なぜ見上げるかというと、身長二メートルぐらいじゃないか? っと思わず疑ってしまいそうなくらい高い。唇の横には刀傷のようなものが見える。体もかなり筋肉質だ。


「少しの間だけど、よろしくお願いします」


 無言で顔の角度も変えないまま見下ろしてくる。

飛行機に乗る手続きをしに行った。と思うと、行ったことのないルートを通っていく。突然立ち止まり、こちらを振り向き、子供だったら泣いてしまいそうな目つきで、ついてこいと言ってくる。


「おっと、そうじゃ、すまんが君のスマホは彼に渡してくれるかの? この一週間Cが第二の君となる」


「任せろっ」


自分を見ているようだが、心配だ。明美に手を出すんじゃないかと。

まるで心の中を読まれたかのように


「安心しな、こ奴の性別は女じゃ」


 智也は目を丸くし、驚きを隠せない。どう見てもまるで自分の鏡でも見ているような目の前のこいつが、女!? まあ、女なら安心か。

スマホをポケットから取り出し、渡した。


「では、死ぬんじゃないぞ」


「ずいぶんと怖い送り言葉をありがとう」


 そして、バルタザールについていく。いつもの飛行機を乗るルートではなく、なぜか階段を下りていく、そして空港から出て、目の前には滑走路。すると、遠くから何かか近づいてくる。小さな飛行機、自家用ジェットってやつか。それが目の前に停まり、扉が開き、階段が現れた。


「……」


 無言で見つめる智也に対して、バルタザールがそれに向かって歩いていく。

それに乗るの? 一般庶民が一生頑張っても買えないだろう。

乗り込むと、右側には向かい合う座席があり、その間にテーブル、階段のすぐ隣に冷蔵庫のようなものが、さらに向こうには、ベット? シャワールーム? 水はどうするんだろう? 一番後ろにトイレがある。

逆側にはパイロットの座席があり、誰か座っている。あれ? 何だか見覚えがある


「K……さん?」


「よう、また俺がお前を送ってやるよ。どうだ、となり座ってみるか?」


そう言って親指で隣の空いている操縦席を指さす。

振り向いて、くつろいでいるバルタザールを見て、こっちに座ることを決めた。

そして、ついに飛び立ち大型の飛行機と比べると、なんだが安定感が少し少ない。天気もあまりよくないからだろう。彰はただ座っていただけではなく。Kが操縦方法をいろいろと教えていた。


後ろでくつろいでいたバルタザールがジュースを二人分持ってきて座席の隣においてくれた。正直言うと、見た目威圧感がすごい。

飛行機の中で、知識は身についたと思う。そして、いつの間にか寝てしまっていた。


「着いたぞ」


目を開くと、ベットの上にいた。外はまだ暗い、だが端末の時間は確かに過ぎていた。

向こうの時間の夜の12時についた。

空港は、きれいに整備されていた。貴金属や宝石を売っているお店も数知れず。都市部分はとても繁栄していた。


「観光はここまでだ。これから先は、そのバッグを胸も前に抱えろ」


 車に乗り、都市部からだいぶ離れた。薄暗い道を車で進み、あっちこっちからまるで変なものでも見るようにこちらを見てくる人がいる。

進んでいくと、鉄格子に囲まれた屋敷が見えてきた。


 目的地に着き、車から降りた。暗闇にも少しずつ目が慣れてきた。

通ってきた道を見てみると、そこには目を疑う光景があった。

人が、まるでごみのように二人壁の近くで倒れている。

服のはだけた女の人が、客引き? をしている。


 智也は倒れている人に駆け寄り、近づくにつれ違和感が増していく。その人は全く動かない、そしてまるで何かが腐っているようなにおいもする。


「大丈夫ですか?」


日本語で言っても返事がない、当然といえば当然か。

端末の翻訳アプリを開き、自動で翻訳される。


“大丈夫ですか?”


 これでも返事がない、手を伸ばし、肩を触り揺らす。冷たい、その時、やっと気づいた。これは、ただ倒れている人ではない。そこにいるのは、死体だった。

次回は11日に更新します!

読んでいただいてありがとうございます。

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