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第六十六話 噂の転校生

 智也がサイディズの家の前へと訪れると、扉が不自然に開かれていた。


「連絡は受けていない、だが」


 ゆっくりと扉へと近づくと、うっすらと開かれた半壊の扉から、何かの気体が漏れ出している。見えないけど、それはわかる。家の中と外で、空気の重さが違う。息をすると一瞬クラっとする。多少中で薄くなったのかもしれないが、長時間吸い続けると意識を持っていかれるかもしれない。


「今からガスマスクを取りに帰るような時間もない、仕方ない」


 そういって、智也は謎のガスが充満した家の中へ、片手に銃を持ち突入した。がその直後に予想していたものとは違う状況が目の前に、


(これは、どういう事だ?)


 そこには二人のスーツの男が倒れていた。次の瞬間、家の窓がすべて開き、ガスがどんどん外へと放出されていく。


(これは一体)


「“入ってきなさい”」


 後ろにあるスピーカーから聞いたことのある声と似ている声が聞こえてきた。


「無事みたいだな」


 地下室への扉の前に立つと、扉がゆっくりと開かれた。


「それで、何をしに来たの? もうプレゼントを持ってきたの?」


「いや、怪しい車が君の家の近くで止まったって聞いたから」


「助けに来てくれたことには礼を言うわ、でも、あの程度の侵入に私が対策をしていないわけないじゃない」


「そうみたいだな」


 そういって地下室から出て帰ろうとしていた智也を後ろからエルザが呼び止めた


「なんだ?」


「お願い、外の人たち、片付けておいてほしいの」


 そう言いながら、計算づくされた男心を掴むための仕草をする。何よりも……、下には超短パン、上には下着がうっすらと透けて見えるワイシャツしか着ていない、真っ白の妖精のような美人。


「なあ、少しは隠せよ」


「私の姿見て興奮するなんて、あなたちょっと変わってるわね」


「そんなかっこした女子を見てちっとも興奮しない方がおかしいと思うよ」


「考えてみなさい、私は遺伝子異常をもって生まれたのよ」


「そんなの、関係ない、お前は女の子なんだから」


「それに、あなたに見られたところで、私には何の損害もないわ」


「全く、なんで俺の周りは……」(Fさんといい、闇といい、あっ、でも、闇さんは最近あまり着替え姿を見せなくなってきた)


「あなたの周り? そういえばあなたの周り、やけに女の子が多くないかしら?」


「そうか?」


「あなたが転校してきてから、あなたが校内で話しているとき75%以上が女子よ」


「……言われてみれば」(誰とも過度に接しないよう、話しかけてきたら応じるという形式で生活していたつもりだったんだが)


「あなたに一つだけ忠告、あまり女の子たちと接しすぎるのは、男たちの恨みをかうわよ」


「気を付けておくよ」


―――――――――――――――――――


その次の日の放課後


「おいお前」


「はぁ~、遅かったか」


「何無視してるんだよ」


「どうしましたか?」


「ちょっと俺たちと一緒に来いよアジアンボーイ」


 あまり学校で問題を起こしたくないから、二人の言われるがままついていった。そして


「映画のままだな」


 されるがまま、ひたすら殴られ続けた、急所をずらし、関節を守り、ダメージを最低限に抑えた。


「ちっ、つまんね、おいおい、こいつちっとも反撃してこないぜ」


「カンフーのポーズとかすると思ったのに、こいつ弱すぎ、何発か殴っただけで倒れちまったよ」


 大体のやつらは、自分たちの気が済み、そして相手が倒れたらそれでやめる。だが、金髪で高身長なリーダー格だと思う、奴の足音が聞こえてくる。頭の近くで足音が止んだ。人間の頭蓋骨は、思っているより硬くはない。だから


―――――――――――――――――――


「うっ、いって~、チクショ、何が、起こった」


 目線を横へすると、さっきまで一緒に“アジアンボーイ”を痛めつけていただちが


「おい、起きろ! おい!」


 ほほを軽くたたきながら、呼び起こそうとすると


「うっ、う……、オエ~」


「うわっ、きったね~! おい、どうしたんだよ」


「ジャン、アイツはダメだ」


「おい、何があったんだよ! おい!」


 そういって、また気を失った


―――――――――――――――――――


 そしてまた次の日


「おいてめ~! あの時一体何しやがった!」


 ロッカーに自分の本を入れていたら、ジャンがまた迫ってきて、壁におしつけられた。


「ちょっと! 何をしているの!」


「おい、お前答えろよ」


「やめろ! ジャン! そいつには手を出さない方がいい! あの時! ジャンが頭を踏もうとした瞬間足首を掴まれて、瞬きした次の瞬間にはそいつ起き上がってジャンのあごに一発くらわしてた。それを見て逃げようとしたが、そいつ、ジャンが地面に倒れこむ前に俺の腹にストレート決めて、そのまま俺も倒れちまって……」


「そろそろ、放してくれないかな」


 はっきりと目を見つめて“頼んだ”、すると、手を放し、距離を取った。そして、その日から、変な噂が立ってしまった。

受験勉強頑張ります!

ちょくちょく更新しますので、引き続きお楽しみください!

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