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第六十三話 found and lost

 天才少女からの願いは、とても天才とは思えない依頼だった。なんで天才とは思えないって? 本当の天才なら、罪を犯したりなんかしない。 いくらまぶしい星であろうと、銀河比べればその光は、簡単に飲み消され、肉眼では特定すら難しくなる。自分の力と社会の力の差を理解でき、自分が不利になることはしない。さらに天才なら、きっともっと簡単に他人、更には社会までをも操るだろう。

 そんな風に考えていたが、実際の天才は思っていたほど頭がよくないらしい、それか、天才たちは、ある一点においてのみその才能を発揮するのかもしれない。

 そして、目の前のこの子は論理に特化しているのかもしれない。だが、それでも矛盾が生じる。論理性に長けているのなら、逮捕され、法で裁かれる未来だって、予測できるはずなのだから


「あなたに両親を殺してほしい」


「気づいていたのか、まあ、当たり前か、君に知らないことなんて、多分ないんだろう」


「いいえ、私だって、わからないことがたくさんある。例えばあなたのこの数年間、あなたがコロコロ身分を変えていたことしかわからなかった。具体的に何をしていたかなんてさっぱり」


(十分知られている気がするんだが、日本の警察よりも俺のこと知られちゃってるぞ)


「どうやって情報を集めたか、聞いてもいいかな」


「そうね、場所を変えましょう」


 そう言って、彼女は女子寮の方向へと向かって歩き始める。


「おいおいっ、さすがに転入初日で女子寮へ侵入は……」


「何を期待したのかはわからないけど、私の住んでいるところはここよ」


 巨大な女子寮の隣にある二階建ての一軒家、その一軒家は園内を流れる人工川のすぐそばにあった。扉に書かれていた名前は“サイディズ”


「大学の敷地でもないのに、なぜこんな建物があるのかね」


 その一軒家には巨大なアンテナがついていた。


「この一帯は、私が学園長から買い取った場所よ、つまり私の場所、ここは私の自由よ」


「マジか……」


 智也の資産も、このころにはすでに豪邸を買えるくらいの余裕は持っているが、もともと物欲があまりなかったから得たかねはほとんど貯めてしまっている。

 智也の金銭感覚は、そうやって保たれているようだ。


「私が見せたいのはここ」


 オレンジ色の光が扉と窓から差し込む、暗い廊下をひたすら進んで右に曲がると、生体認証の扉があった。その扉はずっしりと重く、分厚い金属でできていた。

 扉の先にあったのは足元だけが青く照らされた地下への階段。


「これは……」


 目に移りこんだのは部屋中にあるモニターの数々、床にはピアノのような模様が描かれている。その上を歩くと、ピアノの音と同じ音が奏でられる。モニターのほとんどには、誰かはわからないが、一つのモニターには一個人が繰り返し表示されている。

 見る限り、リアルタイムで様々なカメラを使い一個人を映している。そこには、個人の所有しているスマホのカメラらしきものも含まれている。


「なるほどね、これで情報を集めていたと」


「そう、そして、あなたを見つけた」

いつも読んでいただきありがとうございます!

新学期や新社会人の皆さん、新しい環境で皆さん頑張ってください!

ちまちまと書いていますのでどうぞ長いお付き合いを

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