第五十六話 金剛石
「あの~、やっぱり、そういう事ですか」
「そういう事です」
「そろそろ時間だ」
バルタザールがそう言うと、機体の後方が次第に開いていき。もともと機内に響いていたエンジン音と機内に吹き込んでくる風の音が混ざり、イヤホン型の通信機なしでは話し声なんて絶対に聞こえない。
「あっ、あの~、俺あとで車で向かっても、、、」
「さあ、もう行くぞ」
「えっ、ちょっ、ちょっとまっ、あああああぁぁぁぁぁぁぁ~!」
バルタザールに首根っこの近くをつかまれ、そのままずるずると引きずられるがまま飛行機からバルタザールとともに飛び降りた。そこは上空高度3000メートル。建物は見えるが人くらいの大きさじゃ小さすぎて全く見えないくらい高い。
降下中バルタザールが一言、こう言ってきた。
「こどもがもし武器を持っていたら殺せ、武器を持っていなくても殺せ、いいな」
そう言って、バルタザールとは空中で別れた。そして、バルタザールさんのほうを見ると。なんかもう縄斬ってるし! まだ10メートルはありそうな高さから縄斬ってるし!
ここは敵の本基地、バルタザールさんのいるそこにはまさに敵がいる真っ最中の場所。あの巨体からは想像もできない速さで敵の弾を避けていく。そして、何発か弾が当たっているように見えるんだが。一切痛みを感じているように見えない。
「おっと、俺は俺の仕事をするか」
智也の仕事は、人を殺すのが目的ではなく。テロ組織の通信をすべてダウンさせること、そこにあった。情報によると、通信機器はすべて土地の中央の地下にあるという情報が手に入っている。そこをつぶしたら即離脱。それがいまするべきこと、だが、
「なんだこれ、渡された地図と全く違うじゃん。まあ、いつもの事か……」
何かが割れた音がした。振り向くと、小さな男の子が何やらおびえながら、どこかへと逃げていく。目的に場所がどこにあるかわからない、そんなときのやり方は決まっている。知っている人に聞けばいい
「おい、そこの子供、待て、逃げるな。聞きたいことがある」
男の子を追いかけ、その子を箱がたくさん積み上げられている部屋まで追いかけた。そして、箱の前で、足を止め、その子はびくびくと震えながら……。銃声とともに、子供が持つには、あまりにも重いものとともに、地面に倒れた。
「本当に、殺す必要あったのか……?この子には、まだ流せる涙があったのに」
その涙の理由はわからないが、その男の子にはまだ人間としての感情があったはずなんだ。可能なら救いたかった。だが、ここは敵の本拠地。それに、助けるには、この子の手からはフルーツの匂いでも、土の匂いでもない、鉄の匂いに満ちていた。
やっと見つけた地下室への通路、だが、そこは通信機器の格納庫ではなく。小さな、怪物たちの監禁施設だった。今、この檻を壊せば、この子たちは自由に羽ばたいていけるのか。脳裏にこの子たちが自由に走り回る映像が過ぎた。だが現実では、ここには二種類の子供しかいない。
「ガシャン! うわう! ヴぁ! あああああ!」
檻へと手を伸ばし、鎖に手が触れた瞬間。男の子がまるで肉に飢えた獣のように飛びついてきて、檻の中からもうすでにそこにはない爪で、智也を傷つけようとしている。その音は大きく。地下に響き渡る。その音に、興奮し、暴れまわる小さな子供たちもいれば、ひたすらおびえ、檻から遠ざけ、部屋の角でひたすらふるえている。
「確かここに、あった」
そう言って取り出したのは、一つのガラス瓶、その中に入っていたのはピンク色のした少し透明な液体。それと腰にぶら下げていた口と鼻を覆うくらいのマスク。それを付けた後に、思いっきりガラス瓶を地面に投げつけ、中の液体があっという間に気化した。そしてすぐに智也に近い子供から順番にどんどん意識を失っていく。
全員が倒れたのを確認した智也は、檻のカギを次々壊し、中に閉じこまれている子供たちの手錠も壊し、最後手錠を壊し終わり、監禁部屋から出ようとしたその瞬間、智也の手首を何者かがつかんだ。
皆さんお久しぶりです!少しずつ書いててやっとおちがかけたので投稿しました!(テスト期間なのに何やってんだろうw)
勉強ばかりでは脳が疲れますのでたまには趣味に走らないと
次回はもう一つのほうを更新します!