第四十六話 不死者の村
アメリカ北西部にある村で、村人が消失する事件が発生した。霧に包まれ、まるで住民すべてが死に絶えたような、そう、そんな感じ。
「ハロー! 誰かいますか~?」
そう扉をたたいても、誰も反応しない、警察が立ち去ろうとしたその直後、家の中から物音がした
「おい! 誰かいるのか!」
扉に手を置き、ゆっくり回す
「おい、この家、鍵がかかってないぞ」
この村を調査しに来た三人の警官の一人がほかの二人を呼んできた。
「それじゃ、入るぞ」
「ああ」
扉を開けると、そこにはもう何か月、いや、何年も人が住んでいなかったような部屋、壁にはクモの巣がかかっている。歩くだけで、床の材料となっている木材が悲鳴を上げる。すると、奥の部屋から再び物音がした。
警官三人が銃を構え、奥の部屋の扉を開ける。
そこには長い髪をし、赤いドレスを着た女の子が立っていた。
「そこの君、一人なのか? お父さんとお母さんは?」
そう問いかけても、返事が返ってこない、ただ、ゆっくりと頭をこちらに向けてきたと思うと。急に襲ってきて三人のうちの一人にかみついた。
頸動脈から血液が勢いよく噴き出し、もう一人の顔にもろかかった。二人は銃を構え、少女に向ける。
「おいおい、悪い冗談はよしてくれよ」
少女が着物悪い動きで再び残った二人に振り向く。
小声:「撃て」
「なんて?」
「いいから撃て!!」
銃声が鳴り響く
「もう、動いてないよな」
「あ、ああ」
「一体この子はなんだったんだろうな」
「でもよ~、この状況映画だと襲われた仲間が」
そう、言い終わる前に、噛まれた仲間が目の前で話していた警官にかみついた。
「ヒィ~」
急いで外に出た最後の警官。だが、周りの音に、ひたすら恐怖を感じた。さっきまで誰もいなかったはずの家の扉が、窓が、中からたたかれている。おびえた警官は乗ってきた車に乗り込み、霧の中ひたすら逃げた。
やっときりを抜け、後ろを振り向くと、霧の中人影が動いていた。
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それを知った政府は特殊部隊と研究員を現地に派遣し数名の犠牲を払い、人を食らう屍と化した村人の一部を拘束し、そして、囚人護送車に入れ、その村の外に運び出そうとした。だが、霧を抜け出すと。護送車内の屍たちが突如暴れだし。そして、静まり返った。
念のために、護送車を開き、中を見てみると、びくともせず、本当にただの屍となっていた。
「もしかすると」
一人の研究員が、ある実験を提案した。それは単純で、ただ、村から車速をかなり落とし、霧と霧のないところを通過する。そして結果はやはり、苦しそうに悶え、本当の意味で死んだ。
そして、もう一度、今度はさらに速度を抑え、霧から出て完全に死ぬ前に再び霧の中に戻る。すると、一度は苦しんだように見えたが、元の生きるしかばねに戻っていた。どうやら、この霧は、やつらにとって酸素のようなものらしい。
霧は森の奥まで続いていて、そしてそこには、女の子がゾンビたちに指示を出していた。
次回は29日に更新する予定です!