第四十四話 嘘
「え~、お兄ちゃんだけ~? いいな~」
「ぬはははは~MVP限定だとさ」
「智也さん、またの機会があればぜひまた会いましょう」
「……」
「……」
「なんだよ」
「そっちこそ」
「リベンジのために仕方ねぇからお前のSMS教えろよ」
「LINKとか?」
「それでいい」
「そんなに知りたいなら教えてやるよ」
「お前こそ光栄に思え、この俺が友達として追加するんだからな!」
「はいはい」
「あの、私も追加していいですか?」
「そうだね。これで美人な知り合いが一人増えたよ」
「……」
「? ……どうした~?」
いてっ、振り向くと明美が若干ほほを膨らませながら足を蹴ってくる。
「お兄ちゃんがいつの間にか天然たらしに~」
そこでさっきの自分の言葉を思い返してみる、あ、Fさんのせいか
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「F姉さんによる~。女性の口説き方講座~! イエーイ~!」
「あ、あの~、Fさん……俺別に女性の口説き方とか知らなくてもいいんで縄をほどいてくれませんか!?」
「では授業を始める前に知識が少し欠けている智也くんに予備知識を、我々のような組織の人は様々な方法で相手のから情報を引き出さないといけないのです! そして、君たち男にとって弱点は?」
「酒?」
「ある意味あっているけどね。ぶっぶー。正解はハニートラップよ!」
それからいろいろと、吹き込まれた。というより、なんだろう、洗脳?知らない間に俺あの人に洗脳されてたのか!?
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「なんか最近お兄ちゃん最近よく考えこんでるよね~」
「う~ん、そうだな、最近少し考え事が多いだけだよ」
「じゃな~」
そうやって帰りの飛行機を見送った。
「おや、どこに行くのですか?」
そう言って空港から遠くに見えている研究施設を指さす。
「余り感が良すぎると嫌われますよ」
そう言って背後から音もたてずに現れたのがあの狐目の社員。すこし油断していたとはいえ、十分暗殺を行ってきた智也の背後を、その男は簡単にとった。
「あんた、かなり強いだろ」
「何のことでしょうか?」
「わざわざ民間のド素人を雇う必要があったのか?」
「君こそ、もう十分血の匂いが君の周りを漂っているよ」
「どこまで、知ってるんですか?」
「そう、ですね~。あなたが何らかの組織に守られている。っという事ぐらいです」
? 守られている?
「我々はこの東京中のすべての監視カメラにアクセスし、君のこの一年間の行動を見てこの仕事に君を迎え入れようとした。だが、普段の君はどこをどう見てもただの高校生。まあ、コンビニでアダルトコーナーをチラ見することくらい誰にでも経験あるさ。男なら」
「あまり口にしてほしくない事実だ」
「ただ、君の行動範囲の半径20メートルの監視カメラが動かなくなる時期が観測された。そこで何をしているのか我々は知らない。ただ、君が不法出入国をしていることはわかっている」
「それを知って、逮捕、するんですか?」
「我々には、君の出入国を証明する実際の証拠がない。何せ、監視カメラに決定的正午が残念ながら映らないからね」
「それは残念ですね」
「これはあくまで頼みなのですが。君には、あそこで一か月ほど、クイーンのボディーガードをしてほしい」
次回は21日の予定です~!